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中島戦記  作者: 大きな鯨
1/11

異世界転移

スピンオフ元の「花と魔王」もよろしくお願いします。

 これは、中島君が異世界に転移した一年とちょっとを記した物語……「中島戦記」である。


 友人の涼介と一緒に、大学の入学式に向かう途中、立ち寄った公衆便所の個室からこの物語は幕を開ける。


 また、この物語は、「花と魔王」のスピンオフという扱いなので、そちらもご覧いただければ幸いである。

 出来れば、「花と魔王」の一話だけでも読んでからこちらを見ていただけると嬉しい。




 **********




 ガチャ


『はぁ……涼介の奴、わざと隣に入りやがったな……。なんであいつはちょいちょい意味もなくこういう事するんだ?』


「涼介」とは、一緒の大学に通う事になった友人で、高校時代を一緒に過ごした仲だ。

 大学の入学式に行く途中、たまたま出会い一緒に向かっていた。

 途中に公園を見つけ、公衆便所でスッキリさせてから入学式に向かおうという事になったのだ。


 カチャカチャ


『まったく……これじゃあ、気になって気持ちよく出すもんも出せねぇよ……ん? なんかやけに静かだな……』


 俺は涼介が隣の個室で何か企んでんじゃないかと思い、ズボンを脱ぐ手を止め、上を見る。


『流石にあいつでも、隣の個室を上から覗くなんて悪趣味なイタズラはしないか……』


 イタズラ好きの友人でも、そこまでモラルを欠いた行動をする事は無いだろう、警戒していた手を動かし、ズボンを下ろす。


『なんか緊張してきたな……普段のあいつなら、からかい半分で声かけてきてもおかしくないのに……本当にいるのか? ってくらい静かだ……ちょっと便意が引いてきちまった』


 中島は男の癖に結構デリケートな一面があった。

 ペットボトルの回し飲みがNGだったり、銭湯に入る時は終始タオルで前を隠すのがデフォだったり、満員電車では、必ず周りが男性になるようにも警戒していた。

 そんなグラスハートを持ち合わせた一般市民は、友人の非常識な行動を疑う事を忘れない。


 しかし、あんまり疑い過ぎてもしょうがない。

 中島は、再度上を確認して便座に腰を下ろした。



「うわぁ!」



 ダン!


 便座に腰を下ろしたつもりであったが、そこに便座は無く、バランスを崩した体は尻餅をつく。咄嗟に手をつこうとするも、間に合わず、その勢いで床に背中を思い切り殴打してしまった。

 流石の友人も、学校の椅子のようにトイレを引く事は出来ないだろう。



「いってて……」



 一体何が起こったのか?

 中島は状況を確認しようと上半身を起こし、あたりを見回す。



「キャー!」



 状況も把握出来ないうちに、女性の悲鳴が飛び込んできた。


『え?』


 女性の悲鳴に軽くパニックを起こす。

 焦る気持ちとは裏腹に、理解が追いつかない。女性の悲鳴、座れなかった便座、トイレではないどこか、だだっ広い空間、ズボンを下ろしたままの自分……。


『あ……』


 気付くのが遅かった……。中島は下半身を露出したまま倒れ、女性と鉢合わせたのだ。


『ヤバイ!!』


 ヤバイと思っても、もう遅い……女性は後ずさりしながら、怯えた顔でこちらを見ている。

 中島は横になったまま、急いで下ろしたズボンを上げ、すぐに立ち上がりベルトを締めた。

 そして、悲鳴を上げ、後ずさる女性に向かって誠心誠意謝罪をする。



「すっすみませんでした! あっあの! 僕は……」


「—————!!」

「—————!!」



 突然後ろから意味のわからない言語で叫ばれる。

 驚いて振り向くと、槍を持った騎士がこちらに刃を向けていた。

どうしても、中島君の今までを描きたくてはじめました。花と魔王の過去回想として出すか迷いましたが、こういったやり方もありだろうと思いはじめました。

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