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幾千、幾万の中で巡り会う奇蹟
彼女との夜のドライブ
僕らは、とある山の山頂へとやってきた。
どこまでも続く星空に、飲み込まれてしまいそうだ。
「街では見られない星の数だね。幾千幾万いやそれ以上。こんな星達と同じように、幾千幾万の人々の中から僕らは出逢えた。それってすごい奇蹟だね。」
彼女は僕の言葉に頬を赤らめ、黙り込んでしまった。
そして次に口を開いた時、衝撃が走った。
「奇蹟って、確かに奇蹟的に運が悪いわ。よりによって貴方と出逢ってしまうなんて。」
彼女は頬を赤られていたんじゃなかった。
笑いを堪えていただけだった。




