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待ち合わせ
待ち合わせに遅れてしまった。
アラームセットしてたけど、まさか充電切れてるなんて。
慌てて飛び乗った電車は逆方向。
これはまずい、連絡しなきゃと取りだしたスマホ。
だから充電切れてるんだって。
詰んだ、もうダメだ。
こうなったら瞬間移動なんてできないだろうか。
できるなら、寿命が3年減っても構わない。
彼女を強くイメージするが、瞬間移動するはずもない。
5年、いや10年でもいいのに。
こうして着いた次の駅、急いで飛び乗る反対のホーム。
10年じゃ足りないなら20年、いや彼女に会えるのならもう死んだって構わない。
そして何事もないままに、辿り着いた待ち合わせの駅。
もう1時間も過ぎている。
絶望が頭を渦巻く。
エスカレーターなんか乗ってられない。
階段を一気に駆け上がる。
そして俺は宙を駆けていた。
天と地が入れ替わっている。
目の前が真っ暗だ。
声だけが聞こえる。
ああ彼女の声だ。
俺は彼女に会えたんだ。
そして意識が遠のいた。




