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手料理
「私の手料理召し上がれ。」
僕の彼女は料理上手だ。
今までに付き合ってきた誰よりも上手だ。
女性は男性の胃袋をつかむといい、
などと言うが本当だ。
どんなケンカをしたとしても、
三日も彼女の手料理を食べないと不安になってしまう。
「貴方、また浮気したわね。」
「ごめん、出来心なんだ。頼むから料理は作ってくれ。」
いつもなら許してくれる彼女も、
今度という今度は許してくれなかった。
「私たち別れましょう。」
「いやだ、僕は君の料理がないと生きていけない。」
そういうと、彼女は懐から枯れた草を取り出した。
「大丈夫、このハーブを使えば私の味は再現できるわ。ちょっと中毒性が強いから気をつけてね。」
ハーブ・・・。
「あら、気をつけるも何も手遅れだったかしら。」




