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恋愛綴り  作者: 茶太朗
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美容室にて

私は美容室が苦手である。

自分が思っている髪型を上手く伝えられないからだ。

前髪はどうする。

サイドはどうする。

後ろはどうする。

全体的な長さはどうする。

パーマの強さはどうする。

カラーリングはどうする。

長々と説明しても、結果は大抵違っている。

「いかがですか。」

などと言われても、

「もう少し長くしてください。」

だなんて言えないし。

だから毎回憂鬱で、もどかしいまま美容室を出る。

友人からは写真を見せて、

「『これにしてください。』でいいじゃない。」

なんて言われるけど、

これはもっと曲者だ。

ヘアモデルさんたちは皆かわいい。

『お前の顔じゃこんなかわいくならないよ。』

などと思われるんじゃないのか。

さらに言えば、それでも思った通りにならなかった時に、

恨むべきはやはり自分の顔なのか。

そう考えたらできない。

考えすぎなのはわかっているけど。


そして憂鬱なまま美容室に足を運ぶ。

あれ、いつもの人がいない。

「いらっしゃいませ、今日はチーフはお休みなんですよ。代わりに僕が担当しますよ。」

そう言ったのは長身でゆるふわ髪の素敵なお兄さんだ。

男の人に髪を触られるのって緊張するけど、

断る勇気もさらさらない。

「じゃあどうするか選んでくださいね。」

と渡されたヘアカタログ。

問答無用で選べと言うのか。

パラパラとページをめくると、思った通りの写真があった。

しかしまずいことにモデルさんが超かわいい。

「これでお願いします。」

もういいや、後は知らない。

「これですね。」

ちょっと難しそうだなって顔をしてる。

「大丈夫ですよ。元が違うって分かっていますから。」

するとお兄さんはにっこり笑った。

「そうですね。同じ髪型にすると写真の娘よりかわいくなっちゃいますね。」

私の顔はみるみる赤くなった。

次からはこのお兄さんを指名しようかな。


だがしかし、結果は全然違った髪型となった。

もっと腕を磨いてからお世辞を言えよ。

私の髪とときめき返してくれよ。

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