わたしのどこがすき
「私のどこが好きなの。」
高校生にもなると、両親でさえ私を好きだと言ってはくれない。
友達同士でふざけて言うくらいだろうか。
でもノートを貸したときに言われる『好きだよ』は打算的で嫌いだ。
そして何より、私は私のことが嫌いだ。
私はクラスに好きな人がいる。
その人はこれといった特徴がない。
この人のどこが好きなんだろう。
あえていうと、なんとなく私と同じにおいを感じるから。
今、私は同じクラスの男の子に告白されている。
「君のことが好きだ。つきあってほしい。」
背も高く、成績も良く、いつも堂堂としている彼。
そんな彼が少し頼りなげに見えてくる。
「私のどこが好きなの。」
彼は口ごもってしまった。
めんどくさいやつだと思われたかな。
でも私はめんどくさいやつなんだよ。
「文化祭の時に結構話してて、なんかいいなあって思って。」
やっぱりなんとなくなんだ。
「私、好きなひといるよ。」
『だれ』と聞こうとしたが飲み込み、言葉を変えた彼。
「かまわないよ。オレのこと見てくれるまで待つ覚悟だ。」
ここまで言われると、私のことじゃなく、私のことが好きな自分が好きなんだろうな。
「君とつきあうとクラスの女子全員を敵にまわしそうだよ。」
彼は結構女子人気が高い。高スペックだから当然かな。
「関係ない。君はオレが守るから。」
完全に酔ってるな。でもここまで言われると少しうれしかったりもする。
「じゃあ付き合おうか。」
私は私のことを好きになれそうもない。
だから私を好きだという人を好きになろう。
そこから始めてみようと思う。
男である私を好きと言ってくれるのだから。
読んでいただきありがとうございました。感謝します。