めんどくさい
めんどくさい
「今日のオレっていつもと違う気がしない。」
「気がしない。」
「いやいや違うっしょ、もう少しオレっちに興味もとうよ。」
正直めんどくさい。
「ほら、髪切ってるし。全然昨日までのオレとは違うし。」
2歳年下の彼は、正直めんどくさい。
「美容室の席に座った途端、眠くなっちゃってさ、気がついたら前髪バッサリだよ。ひどくね。」
「前髪切らないでください、と言わなかったお前が悪い。」
「お前だなんて、口悪いぃ、女の子は可愛くね。」
付き合い始めたころは、これがなんか可愛いなんて思ってしまった。
でも今では、正直めんどくさい。
私も大概めんどくさい女だと言われる。
重い女とも言われたことがある。
私はただ、愛情を一身に注ぎたいだけなのだ。
でも重くめんどくさいらしい。
今は少しだけその気持ちがわかる気がする。
「悪いけど、ほんとにめんどくさいんだけど。どうしてそんなにめんどくさいの。」
彼は黙ってしまった。
しまった、言い過ぎた。
私は私を傷つけた、あの元彼とおんなじだ。
そして彼は口を開いた。
「だって、オレがめんどくさい男だったら、キミがめんどくさい女なんて呼ばれたりしないだろ。」
そうか、知ってたんだ。
私のことを付き合う前から見てたんだ。
「ごめんね、私が悪かったよ。」
彼は笑っていた。
そしてめんどくさい男に戻っていた。
そう、めんどくさい男・・・正直めんどくさい。