1/11
序 その思いは石の下に埋めた
先がないと気付いたのは、いったいいつのことだっただろうか。
プロ試験に落ちるのが5回を超えたときだっただろうか。
同期の今出川と初めて対局したときだっただろうか。
初めて、プロ棋士の指導を受けたときだっただろうか。
――それとも、囲碁を始めたときだっただろうか。
いずれにせよ、そう気付いている人間が門をくぐれるほど、プロの世界は広くはなかった。
そして、18歳の夏。僕は囲碁をやめることにした。
あれから1年以上、僕は碁石を握っていない。