転移者とはいえ能力に期待はよく無い
朝起きると隣にスクーラがいる。私の初彼女で年齢は不詳。
普段から体を動かしているからか、彼女の体はかなり引き締まっていて出るところはしっかりある。
海外の女性と骨格が似ているなーと思いながら彼女の顔と長い耳を見つめていた。
起床したときに隣で誰かがいるというのは安心する。今まで、ずっと一人だったから孤独感があったが、これからは、そんな寂しさともおさらばなのだ。
「おはようスクーラ。」
「……たつきおはよう。」
起きるのが苦手なのか、まだ目を閉じている。前夜の勇ましい姿とは対照的に女性らしい弱さが見える。
「今日は冒険者が集う場所に行くんでしょ?早くいかないと今日中に間に合わないよ!」
「じゃ……起こしてよ……。キスで、そしたら直ぐに起きられるからさ。」
「分かったよ。……ほらどう?」
恥ずかしいが、キスで起きてくれるならと思い頬にする。未だに慣れない。
「ありがとう!これでチャージできたから行動できる!よし行くぞ!」
直ぐに起き上がり、背伸びをしたら荷物を持って行く準備をする。さっきの眠たそうだったのは嘘で、キスが欲しいが為にこんなことをした様だ。
歩みを進め、目的地に行くまでの道中に川があるらしいのでそこで水浴びをすることにする。
私もさすがに汗臭いので助かる。ここまでは、ゴブリンのみで倒しながら突き進んできた。
私は変わらず戦闘に参加はしなかったが、討伐の証として耳をそぎ取る役をやった。
「やっと川に到着したな!水分補給忘れるなよ、私から水浴びするから見るんじゃないぞ?」
私は木の後ろに隠れて、コップで汲んだ川の水を摂る。直ぐ後ろでは、彼女が裸だと思うと見てみたい気持ちはあるが、またナイフで殺されたくないので、これ以上やましい事は考えないようにした。
(この絶好な機会でも見れないのは辛いな……最悪キスさえすれば許してくれそうだけど。)
「おい!なんでこっちに来ないんだよ!男なら気になるだろ?まさか私に女として魅力がないのか?」
服を着替えた彼女が声を掛けながら、木の後ろからやってきた艶やかな白い髪の毛が印象的だ。
「えっ?見るなっていうから殺されないためにもじっとしてたんだよ。スクーラは魅力的だよ!」
「誰が恋人を殺そうとする人がいるんだ。嘘つくなよ?はぁ……お前ほんと真面目だな、でも嫌いじゃない。次は覗けよ?わかったな」
「ん……?分かった、次は覗くよ。」
(あれれ?昨晩、年齢聞いた時にナイフを首元に当てられた気がするんだけどな…。気のせいかな?昨晩寝てたスクーラとは別人か二重人格か?)
私も服を脱ぎ、水浴びをする。今は気温が比較的高い為かあんまり川の水が冷たくない。
髪の毛を洗い念入りに川に浸かっていると、小学生の頃を思い出した。当時は、よく友達と川で遊んでたな……。今はどうしてるのかと気になってしまう。
川から出て彼女から借りた布で体を拭いてたら、若干匂いが付着していてる。彼女の良い匂いがした。
拭き終わりスーツを着るのだが、どうしても億劫な気持ちになる。こんな場所であえて不便な服を着る必要がないからだ。
それから再度、歩き続けたら道が開き町が見えてきたら、急に彼女は私に服を着替えるように言って来た。私は、言われた通り地味な服に着替える。なんで水浴びの時に言わなかったのか聞いたら、単に忘れていたらしい。
「よし!着いたぞここが目的地のチッタという町だよ。じゃ、たつきの能力やステータスみよっか。そもそも身分証とか持ってる?あれが無いと不便だよ」
やっと町に到着する。全体的に賑やかな中規模の田舎の町というイメージだ。エルフや人間、ケンタウロスやドワーフ色々な種族がいる。みんな仲が良さそうで周囲から楽しそうな会話が飛び交う。
スクーラは、頭にフードを被り目立たないようにしている。
「いや、何もないよ。身分証は役場みたいなところで作るの?」
「そうだよ、役場みたいな所で作れるし、能力とかも見れるのもその場所。一度そこに行けば態々役場に行かなくても自分で能力やステータスが見れる。じゃいこっか!」
離れないようにぐいっと腕を掴まれくっついたまま移動する。少し周囲の目が恥ずかしいが気にしないようにする。
「こんにちわ。身分証の作成と能力のチェックをお願いします。」
役場に到着し扉を開けて入口に入る。意外と中は広く目の前に事務員が何人かいる。そのうちの一人の前に行き身分証明書の作成をしてもらう。受付嬢は人間の方で安心した。
「はい、ありがとうございます。それではこの書類に名前とここに一滴血を垂らして下さい。」
ペンらしきもので書類に自分の名前を書いていると、右側に置いてある大きな石板の真ん中に少しの凹みが見える。多分ここだろうか、スクーラのほうを見たら頷いていた。
血を出すのは、初めてだったので彼女に軽くナイフで指に切り傷をつけて貰いそこに垂らした。
「ありがとうございます。これで身分証の作成は終わります。これをどうぞ。
能力のほうですが、この水晶に手をかざして下さい。画面が表示されて確認できるかと思います。」
小さな四角いカード?みたいな物をくれた。紐が付いていたので首にかける。
これの中に自分の血が入っていてデータとして確認できるらしい。
「ありがとうございます。では……。」
(そして待ちに待った能力チェック!!アニメで学んでいるからある程度把握している。ステータスが極端に高いか、普通か低いけどスキルがあったり。ワクワクするなこれ、呆れさせるなよ?)
画面をみるとレベルとステータスとスキルが表示されていた。
上からレベルは1で特にスキルも無し。最後に呪いマークがありとっても気になるが詳細を見れない。
後ろから見ていた彼女が真剣に見た後ニヤニヤとしている。
(……転移者なら、何かしら特別なものがあると思っていたのに特筆すべき点は一切ないな……。それよりも、呪いってなんだよぉぉぉぉお!!まぁ、別に俺ツエエエエしたいわけじゃないくてただ、魔族を愛でたいだけなので気にしない。)
「じゃ、確認も終わったし魔界に行こうか!行きたかったんだろ?そっちに向かえば敵もある程度強くなるから丁度いいと思うんだ。」
「あっ……うん!そうだよ魔界に行ってみたい。魔族好きだから見ていたいな。でも、この町でなんか買わなくて大丈夫?それにちょっと気になるかも初めてこういった町に来たから。」
魔界に行くなんて彼女に言った覚えはなかった気がするが、都合も良いし気にしないことにした。
露店が多く、武具や食材や色々あった。美味しそうな屋台もある。
「魔族好きなのか?買う必要はないよ!此処にはまた来れるから、それに魔界のほうが楽しい。」
「魔族好きだよ勿論、ダークエルフも。まぁーそうだね、また来れるならいいや。」
「……ん? ダークエルフじゃなくて私でしょ?」
お得意の殺意スマイル頂きました。慣れたけど、本気で殺しそうだから尚更怖い。
「そうやってナイフを当てるの止めようか!?はい!ダークエルフじゃなくてスクーラが好きです!ごめんなさい!!」
背中越しに鋭利な感触がある……ナイフである。ただ、町中なのか控え目であった。多分、いつも通りの森の中なら間違いなく首元にナイフを当てていたに違いない。
「よろしい、では魔界のあるゲートまでここからまた長く歩くから、覚悟しといてな敵もゴブリンじゃなくてもっと強い魔物がいるから。」
「ふぅ……。かれこれ、いっぱい歩いたから楽ちんよ!ほかの魔物楽しみだなーどんとこい!」
ナイフの感触がなくなり、安堵する。やっぱり魔族は悪性が強いというのは…正しいようだ。
でも、根っこから悪い訳じゃないし私のことを助けてくれたから気にしないことにする。
ここまで、読んでくださりありがとうございます!
冒険者が集うチッタの町に来ました!主人公どんまい!でも、戦闘はメインではないのでこれで良いです。
次の話は、魔界に行く話か人間界に関する話にしようか...…正直、自分でも書いてみないと先が分かりません...!
次もお楽しみ下さい!




