これがリア充の世界
これが天国なのだと確信した。
目の前に、美人がいるダークエルフだろうか…綺麗すぎて息が止まってしまった。
視界は半分くらい見えないが……端麗な顔立ちと長い耳に、サラサラな白い髪の毛で長さは肩よりは上だろうか、瞳は紅く吸い込まれてしまいそうだ。
この景色は最後の記憶になると思い目を閉じた。
(いい景色だったな……グッパイ異世界……ダークエルフは存在していたんだ。)
「おい!!折角目を開けたのに閉じて寝るな!!」
体を大きく揺すって起こそうとしている。
「あぁ……すまない、あまりにも綺麗すぎて夢だと思ったが現実なのか?もう一度目を覚めたらゴブリンの慰めになってるとか勘弁だよ……。」
ふと頭の下に少し柔らかい感触があった……多分これ膝枕では?と思いながら彼女を見つめる。
たわなな物が目の前にあり、服が薄いのか形が丸分かりで目のやり場に困る。
「綺麗とは何のことだ?いやゴブリンは男に興味ないぞ…多分。それにしてもなんであんな所で倒れていたんだ?ここには危険な魔物はいないと思うが…。」
困惑した表情で聞いてくる。首を傾げた仕草がなんともかわいい。
「いやなんでもないよ。実は、今日何も食べてないんだ…水も飲んでなくてそれで倒れていたんだと思う。」
流石に、ずっと膝枕をされたままだと恥ずかしいので体を起こし胡坐をかく。
「そりゃ倒れるよ。ハハハッ!じゃ、ご飯を食べないとな丁度今食べ物があるからあげるよ。」
高笑いした彼女は、枝を目の前に置き魔法を唱えると木に火が付き始めバッグから出した大き目の骨付き肉を炙る。
「え?いいの!ありがとう!優しいんだね。ずっと何も食べてなかったからお腹すいたよ
そういえばあなたは、所謂ダークエルフ?」
「これくらいするよ。お前困ってるしそれに、私を見ても逃げなかったから嬉しかったんだ。
そうだよ私はダークエルフだ。」
「やっぱり……。逃げる?なんでそんなことされるの?今回に至っては命の恩人だよ。」
「ん?お前知らないのか?人間界ではダークエルフは避けられているんだよ。悪性が強いから何されるのか分からないって。確かに、ダークエルフは悪性が強いものが多いが全員がそういう訳じゃない。反対にエルフは善性だから人間界で住んでいる。私は、人間界の空気が好きだから此処にいる。魔界より空も綺麗で心が浄化されたよ。あっ、肉焼けたよ熱いから気をつけてね。」
顔は明るいがどこか声は暗くこの世界の闇を見た気がした。
「なるほど…。確かに悪性が強いからと言ってすべてがそうなる訳ではないよね。あなたはとても良いダークエルフなんだな。それに…こんな綺麗で人助けも出来るなんていいお嫁さんになるよ。」
骨付き肉を受け取り噛り付く、現世とは違い味も付いてないので味はないが、そんな事もどうでもいいくらいお腹が空いているので無心に食べる。
「お前冗談もほどほどにしておけよ?私が……何歳なのか分かってるのか?でも、ありがとう。素直に嬉しいよ。それにしても…そんな急いで食べたら喉に詰まるぞ?ゆっくり食べな、水もあげよう喉も乾いているだろ。」
言い方はあれだが、照れくさそうな表情をしており笑顔が眩しい。
バッグからコップを出して魔法を唱えると何もない空中から水が出現しコップに注がれる。
「さぁ…水も飲みながら食べるといい。どうだ?少しは腹を満たせたか?」
「冗談じゃないよ、本当に素敵だと思う。私は知っている……ダークエルフは長寿だから見た目よりも年齢が高いことを。でも、年齢は関係ないんだよあなたは優しいし気も利くし笑顔も素敵だ。
それは、年齢なんてどうでもいいと思えるくらい魅力的だよ。」
私は、食べるのを止め彼女の顔を真っ直ぐに見つめて伝える。ここまでいう必要は無かった気がするが本心から思ったことだったから口がつい動いてしまった。
(なんか、告白みたいなことを言ってしまった……。現世で言ったことないセリフばっかりだ。正直恥ずかしい……。)
平静を装いながらも心臓はバクバクしているこれがキングエンジン。
「水もありがとう!んっ…ほんとここが異世界なんだなってつくづく実感するよ。魔法を唱えると火も水も出現するなんて。」
再度、肉を食べながら水も飲むやっと生き返ってきた気がする。彼女のほうを見ると顔を反らし俯いている。
「お前……今の言葉の全部嘘じゃないよな?誰にでも、こんな言葉言ってないよな?もし、嘘なら……殺す。クズ男は死すべきだ!!」
照れていた顔が一瞬で険しくなり私に迫ってきた。私を押し倒し首元にいつの間にかナイフを当てている。首元にナイフの冷たい鋭利な感触が伝わっている。
「落ち着け!!本当だよ!!嘘じゃない嘘ついたところでどうするんだよ…。本心からそう思ったんだ。種族で決めつけるつもりはない。あなただからこそそう思ったんだ。信じてくれ。」
(いやいや、なんでこうなった?やっぱり変なことを言うべきではなかったな……。いきなりナイフを当てるなんてこれだから悪性が強いと思われるのでは……これだけは絶対言ったら殺される首が飛んじゃう。本当に。)
食べていた肉が、押し倒された衝撃でどっかに落ちコップもこぼれている。
私の体に覆いかぶさり彼女の顔が近い、体の一部に感じる柔らかな感触を味わいながらも冷静に伝えた。
「おお……そうか、じゃ……嘘じゃないなら証明してくれ。」
じっとこっちを見つめてくる。その眼差しは本気で真剣であった。
「証明……わかった。」
(まだ、好きとも伝えてない彼女に付き合うと伝えるなんて順番が違うかもしれないでも、証明するにはこれしかないだろう…。ここではっきりとさせておかないとナイフが飛んでくるに違いない。死を覚悟して伝える。
「私は、あなたに惚れました。是非、お付き合いさせてください。」
姿勢を真っすぐに、頭を下げて伝えた。相手の表情が気になって仕方ない、彼女の次の言葉で私の命運が決まる……地面に冷や汗が滴る。
「ん?それだけか?」
不満そうにこちらを見つめてくる。
「えっ……。」
言葉に詰まってしまい沈黙の時間が流れる。冷や汗がこれ以上ないほどに垂れていく。これ以上ない言葉を準備したはずなのに。
(ヤバい……!!言葉を間違えたか?いや…でもこれ以上になんて言えばいいんだ?付き合うだけじゃなく下僕になるとか……?それしかない。)
「大変すいませんでした!私をあなたの下僕にさせてください!」
土下座のポーズをとり、頭を地面にこすり付ける。みよこれが日本魂!!
(もうどうとでもなれ、少なくとも素敵なダークエルフと付き合ことは叶うのだから…。)
「おい!私はそんな趣味はない!ダークエルフをなんだと思っているんだ!!
ただ…付き合うだけじゃ物足りなかったんだ。その……伴侶になってくれ。」
赤面しながらも、そう伝えてきた。彼女の眼は冗談ではなく本気であった。
「えっ……あっそういうことね!安心した……。でも、結婚は少し先でもいいかな? 会ったばかりだからもう少しスクーラのことを知ってから伴侶になりたい。あと、あなたの名前も知らない。」
「確かにそうだな……お前の言う通りだよ。もっと仲を深めてから正式に伴侶になろう。
自己紹介をしよう。私はダークエルフのスクーラだ。よろしくな。」
手を伸ばし、握手を交わそうとしている。
「私はたつきよろしく。」
しっかりと手を握る。ほっそりとしているが、手のひらは固く普段から戦っているが分かる。
手を放そうとしたら中々手を離さない。もう片方の手でぎゅっと抱きしめられ頬にキスをされた。
柔らかくとても幸せな気持ちになり、リア充の気持ちを味わえた。
彼女は周囲を気にせずに突き進んで行く。スクーラのほうが身長が10センチくらい離れているため胸との距離が近い。
(身長差カップルも悪くない。むしろ良い。)
「ふふっ……たつきはキスは初めてなのか、初々しいぞ。」
ニヤリとしながらこっちを見つめてくる。
「そうだよ……モテたことないし少し気になっても声も掛けられなかったからね。」
キスの感触が忘れられず、もう頭はキスでいっぱいだった。
「これからどこに行く?私は自由奔放だから目的は特にない。」
彼女は、バッグを担いで既に行く準備をし始める。
「そうだ!元々、冒険者が集う場所に向かってる途中だったんだよ。最低限の戦える力がないから鍛えておきたいんだ。」
今の状態では、きっと野生の魔物に食べられるだろうし、身を守れるくらいには鍛えておきたかった。
それに彼女の事を守って、少しはかっこいい所を見せたい。
「なるほどね。でもそこにかなくても大丈夫だ、私はそれなりに強いから教えられると思う。
たつきは自分の能力とか分かる?分からないならそこに行く必要があるね。」
自慢なのだろうか、袖を捲り笑顔で上腕二頭筋を見せてきた。確かに小さいが立派なコブが鍛えられていた。
「え?本当に?それはありがたい!人が多そうな所に行って鍛えるよりも、一対一の方がやり易いから助かるよ。全く分かりません!」
どうやらこの世界では、自分で勝手に能力を見れる訳ではないらしい。そこは、今までのアニメでの知識と違うが何事もテンプレは面白くない。
自分にどんな能力があるのか楽しみになってきた。
「よし!行くか!私から離れるなよ。」
後ろ姿が勇ましい……。これが歴の差なのか。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
訂正)半ば、強引ですが付き合う事になりました!
中々区切りいいところまでいくのに大分文字数が増えてしまいました。
それにコメディーぽさを多くしたかったのですが、うまくいきませんでした。
あとでいい案を思いついたら改訂する予定です。




