人間界のトップ8!その2
あれから、数時間話し合ったがいまいち進展しなかった。それもそうだ、魔力を察知した以外の情報がないから対策しようがない。人間界に悪影響を及ぶことさえ分からない。彼らは苦悩していた。
「言いたいことは分かったが、流石に動揺し過ぎではないか? 今更魔界が人間界を侵略しようなんて思わないだろうに。......ごくっ。」
「動機が全くないからな。もう少し様子見たらどうだろう?」
「私もそう思います。ただ、魔界の連中は魔族なので何をするのか分からないですね。こちら側に、危害が無いとは言い切れません。」
意外と皆は、そこまで悲観はしていないが、空気が少し重たい。
人間界と魔界が、分けられてから何千年も経つのだ。今更何かする理由は、どこにも見つからないがただ、言える事は何かしら新たな変化が起きるかもしれない。
「やはり、魔界に送った諜報員が何か情報を得るまで待つしか無いだろう。」
「私もそう思うなー。今考えても何も出来ないし。」
外から走ってくる音が聞こえた。かなり急いでいるようでこの場所に向かってくる。
「失礼致します。諜報員からの情報で、魔王が魔界に何かを召喚した模様です......。」
「なんだ?化け物か?」
「いえそれが、ただの人間らしいのです。」
「え?」
予想とは違う答えに戸惑う。この世界が終わるかもしれないと悲観していたはずなのに、人間を召喚したと聞いたら、肩の荷が降りて脱力する。
しかし、余計に困惑をする。莫大な魔力量を消費して召喚したのがただの人間である筈がない。
人間の皮を被った、化け物の可能性も捨て切れないのだ。
「人間を召喚したのは間違いないな?」
「はい、それは間違いありません。」
「まぁー人間なら大丈夫じゃない?魔族が召喚したのは事実かもしれないけど、だからといってその人間も魔族みたいに悪い奴じゃないでしょ?」
「それは、一理あるな。むしろ、友好的かもしれない。」
「だがしかし、安心は出来ぬ。人間とて中身を知るまで分からん。ストーリアどう思う?」
「正直、どういった人間なのかも分からない上に、今どこにいるのかすら不明だ。」
「いきなりだがお邪魔するぞ、ストーリアよ。」
現状、情報があまりにも少ない。ただ、明らかな魔物ではないのが事実な為、安心材料ではある。
魔界が争いごとを侵すような事は今のところないからこそ、なるべく早く対策したいところでだ。
突然、ストーリアの耳に聞きなれた声が聞こえた。
「おお……!アルベロではないか!久方ぶりじゃな。それにしても急にどうした?」
「会議を開いてると聞いて、ここに来た。例の召喚された人間に関してだろう?つい最近、その人間と会って話してきた。」
「なんだと!?」
皆が、一番知りたかった情報を持ってきたアルベロに注目が集まる。ストーリアにとってアルベロの持ってきた情報が全情報の中で最も有益である。ストーリアはやっと解決に近づきそうな話に期待を寄せる。
「その人間は、別の世界から来た人間の男であり。身体的な強い力もなければ、特別な今のところ能力もない。ただ至って、普通の人間とそう変わらない。」
「じゃ、大丈夫じゃん!会議は終わり!解散にゃ!ノービレ一緒にデートするにゃ!」
「まて、まだ話は終わっていない。」
「そして、彼は魔族が大好きだ。」
「え?」
沈黙が起こる。あまりの現実離れしている発言に呆れた表情をする者や理解に困っている者などいたが思っていることは同じであった。正気なのかと。
「それは、あまりにも悲しい事です。今すぐにでも、その方を保護しましょう。魔族に何をされるのか分かりません。」
「カリーナ落ち着けよ、その人間がマゾかもしれないぞ? 保護は大げさだ。それに、どうやって見つけて保護するんだ?」
「……アルベロそれは、本当なんだな?」
「間違いないな。自分でそう言っていた。確かに、多少のマゾかもしれないな。」
「いや、ちょっとまってよ。人間界の危機だと思ってたのに、その正体がマゾな人間なの?」
「これだから男は……。」
「アハハハハハッ!それは面白い! 是非会ってみたいな! そう思わないか? ファッブロよ。」
「うむ、たしかに面白い。……ゴクゴク。」
「ストーリアよ。たしかに正体が分かるまで、人間界からすれば安心できないかもしれないが、そこまで脅威になるとは思わんぞ。同じ人間としてノービレはどう思う?」
「今の話を聞けば、恐れるに足りないが、魔族が好きというのは引っかかる。」
「万が一の為に、ここはやはり一時的に保護するのが最も安心かもしれぬ。」
「保護は良いけど、どうやって保護するのー?」
「チェッリーノ分かってないですね。男性ですし、これは女性から誘えばイチコロですよ。」
「カリーナが誘えば誰でもイチコロに決まってるじゃん……。でも、異世界から来てるしいつも通りでは通じなさそう。」
「たしかに…。じゃ各種族から代表で選ぶ?あまり手荒な真似をすると、人間界のプライドにヒビがはいるので。」
「そこまで、心配する必要はない。彼に、ある程度この世界に関して説明している。」
「ストーリアよ助かる。では、各種族から男性に手慣れている人を選び、ここへ同行してもらおう。
そこで彼が本当に危険ではないのかを調査し決断する。」
「ここまで話が進んで悪いが、男性陣に意見を聞かないのか?酒の誘いやデューロが彼を乗せて流れでここに行くやり方だってあるだろ?」
「一理ある。」
「うむ。」
ストーリアを除く男性陣が腕を組み大きく頷く。
「誰が、ニートのおじさんと酒を飲みたい人がいるんですか?背に乗せるまでどうやって誘うの?考えてから言って下さい。これは女性が誘ったほうが一番平和です。それに彼も嬉しいでしょう。」
「……わかったよ、じゃそうしな。」
「意見も纏まったようだな。彼を見つけ次第、自然な流れでここに連れてきて一時的に保護をする。
問題なければ、開放する。それ以降は、何も手を出さないように。よいか?」
「異議なし。」
全員の賛成をとりやっと会議が終わり、一斉に自分の場所へ帰る。
アルベロは、いつの間にか居なくなっていた。彼には、とても助かったので何かの機会があれば恩返しをしたい。今回での彼の発言が無ければ、ここまで話は進まなかったであろう。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
やっと書き終わりました。会話がメインだと大変ですね。ここでやっと人間界が動きだします。
主人公の時間軸だと、ゲートに向かっている最中です。
次は、魔界の話になります!




