第三話
この作品はフィクションです。実際の人物、団体等とは一切関係ありません。
最高の目覚めだった。
定番の、妹が乗ってくるやつ。
「お兄ちゃん、朝ですよ」
わが妹は結構可愛い。眼鏡をかけており、髪は長く、おろしている。ちょっと恥ずかしくなりながらもこんなことやってくれるのも可愛い。
正直今すぐ抱きしめたいところなのだが、兄としての威厳を保つために必死に我慢する。
「どこで覚えたんだ」
「友達が言ってました。世の男性はこれで喜ぶって」
「どんな友達だよ」
「お兄ちゃん、ほら、早く起きて下さい。遅刻しちゃいますよ。」
「ううーん」
俺は大きくのびをすると、起き上がった。
朝食には、ハム、卵、トーストなどが並べられていた。
我が家は父子家庭で、父は単身赴任中だ。
なので、この家には俺と妹の二人しかいない。
家事はほとんど妹がやってくれている。ありがたい限りだ。妹は中2。重度のブラコンだ。とても几帳面な性格。
「はいお兄ちゃんこれ今日のお弁当。私は部活の朝練だから、もう行くね。」
「おう、じゃあな」
妹に何でもやってもらっているお兄ちゃん。部活の朝練も行かないお兄ちゃん。駄目人間じゃん。
「明日からは行ってみようかな」
そう小さく呟いた。
ドアを開けて、鍵をかける。
マンションの5階から1階までエレベーターで降りる。
俺の家は駅まで徒歩3分くらいのマンションだ。
改札に入り、階段を降りて地下の相鉄線ホームへ。
ちなみに小田急は地上2階である。
ホームに降りると、ちょうどボーーーーという接近音がして電車が来た。
2番線、快速横浜行き。
電車に乗ると、もう出発だというのに今階段をかけ降りてくる輩が。いつも思うのだが、もうちょっと早く家を出ればいいのに。うえ、しかも俺の方にやってきた。マジでやめてほしい。皆さんも経験あるのではないだろうか。おっさんが自分のいるドアに駆け込み乗車。
さて、ここで問題。俺の最寄り駅はどこでしょうか?
チッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッ(タイマーの音)
はい、それでは正解の発表に移らせていただきます。
正解は、大和駅でした!
さて、茶番はおいておいて、各駅の紹介をしていこう。
瀬谷駅。ごめん、あんま紹介することないわ。いや、地味に2面4線・・・あれ?3線だっけ?
駐輪場がでかいイメージがある。商業施設と学校がすぐ近くにある。遊園地を作る計画があるみたいなのを聞いたが真相は不明。次。
三ツ境駅。駅ビルが広い。あとは、まあ、うーん。
強いて言えば、駅から数百メートル歩いたところにある地下通路にロマンを感じる。以上。
希望ヶ丘駅。(やばい何も思いつかない)
そう!坂だよね!足腰が鍛えられること間違いなし!
えっと、後はね、あのね、うん。交番が設置されたって聞いたよ。知らんけど。自分で調べてくれ。(お前が始めたんだろ定期)
そして、俺の高校がある、二俣川。大きい駅だ。免許センターは坂の上。俺の学校はさらにその先。坂の途中にがんセンターもある。お隣鶴ヶ峰駅との間の線路は、地下化計画絶賛進行中。あと、相鉄のグッズショップもある。
さて、今日も学校への坂を登って行くとしますか。
特に何もなく学校に着きました。梅宮さんは休みみたいです。
俺のせいじゃない・・・よな?
まあ多分大丈夫だろう。
昼休み。弁当を完食し、図書室に行こうとすると、後ろから目を塞がれた。
「だーれだ」
???マジでわからん。
「すいません、誰ですか?」
パッと手が離された。
後ろを見ると、全く見覚えのない人物が立っていた。
「申し訳ございません、どなた様でしょうか?」
「なんでそんなにかしこまっているのかしら?」
「いえ、初対面ですので」
「うんうん、良い判断だわ。私は相原清音。よろしくね。」
そういって、彼女は手を差し出してきた。
握手ってこと?
俺が手を出そうとすると、彼女は手を振りかぶって・・・・・・
バチーン。
乾いた音が響きわたり、俺は悶絶した。
「え、いや、痛っ。痛っ。え?」
「私に名前を自分から言わせるなんて・・・断罪に値するわ。」
「え、なんで?なんで?ビンタする要素あった?」
「話聞いてる?」
「あっはいすみません」
「わかる?あなたは私のことを知っているはずよ。ほら、もう一度、よく考えてみて」
10秒経過。
「どうやら死にたいようね」
「いや、考え直しましょう!落ち着いて。」
そこで、俺はやっと気づいた。相原?相原って、うちの学園の名前じゃん。つまり・・・
「理事長の・・・娘?」
「やっとわかったのね」
俺は、その場に正座し・・・
「すみませんでしたぁぁぁ!」
思いっきり土下座した。理事長権限で何をされるかわかったもんじゃない。媚を売らないと。
「ありがとうございます」と「すみません」は、とにかく使いまくるのが俺流だ。
「わかれば良いのよ?奴隷」
「ありがとうございます!って・・・奴隷?」
「うん!君は今日から私の奴隷ね!よろしく奴隷!」
意味がわからないが理事長権限で退学にされるのは避けたいため、奴隷になるしかないようだ。
「かしこまりました、相原様」
「じゃ、仕事とか頼むかもしれないからよろしくー」
そう言って彼女は去っていった。
なんで俺の周りには変人しかよってこないのだろうか。
しかも最後の方はめっちゃ機嫌良くなってたし。
「梅宮さんに続いて人付き合いが苦手なやつ登場か・・・」
俺は、図書室に入ると、「人付き合いのコツ」という本を借りて家に帰った。
読んで下さりありがとうございました。