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異世界チートは眠れない!~夜間無双の救世主~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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第47話 一件落着

 ヒーロは結局、マトモス王子の命を助けた事と、その部下であるガイス・レーチを王子の元へ運んだ報酬は、ガイス・レーチがヒーロの元に置いて行った金貨の入った革袋一つだけであった。


「ガイス・レーチを運んですぐに戻ってきたんですね」


 朝食時、レイはヒーロが報酬を貰う気満々だと思っていたので、意外だった事を告げた。


「俺も慈善事業で自己満足する気はないから、最初は人助けの報酬に貰うつもりでいたんだけどね……。あのガイス・レーチとこれ以上いたら、俺の正体がバレる気がしたし、報酬を貰う時にあの王子殿下に側近のトラージ、魔法使いマーリン、送り届けたガイス・レーチ達にこれ以上勧誘されたら面倒臭いでしょ? それを想像したらぞっとしてすぐに引き返してきたよ」


 ヒーロは苦笑して本音を答えた。


「……確かに王子殿下を助けた報酬をもらってしまうと、持ちつ持たれつの関係になって、次から何か頼まれる可能性はありますね……。それに、殿下達もすぐにクルエル第一王子暗殺未遂の容疑者になっているダークと私に名前からすぐに同一人物だと結びつけると思うので、報酬を貰わないで恩を着せた状態の方が、あちらも深入りしてこないと思います」


 ダークの正体を知るのは唯一レイだけであったから、その辺はよく理解し納得してくれた。


「第一王子暗殺未遂の容疑者だったの忘れてた! ──これ以上はマトモス王子と接点作るとあちらにも迷惑をかけるから、次から気を付けよう。でも、今回のマトモス第二王子暗殺未遂の一番の容疑者は第一王子だから、ややこしいなぁ」


 ヒーロは、王都で今後、第一王子派と第二王子派で衝突する可能性を考えると、お互い相手を討伐する免罪符になりそうな理由に自分の存在が関わっていきそうだと思うのであった。


「……第一王子派は暗殺未遂犯のダークと接触していた事を知ると第二王子派を討伐する理由にするでしょうし、第二王子派は自分達を暗殺しようとしたのが第一王子であり、それを救ったのがダークですから……。完全にヒーロは争いの関係者になっていますね」


 レイは考え込むと冷静な分析をする。


「それがダークだけで良かったよ。でも、これ以上はガイス・レーチを通して正体を暴かれると昼の俺の身が、危うくなるからマトモス王子を今後助けるにしても目立たないようにしないとね」


 ヒーロはそう言うと、朝の朝食を終え、冒険者ギルドに向かう。


 レイも一緒だ。


「お二人共おはようございます。──というかレイさん、ヒーロさんのクエストを今後もお手伝いするなら冒険者登録しておきませんか? 商業ギルドには登録したんですよね?」


 美人受付嬢のルーデはヒーロとレイがいつも通り、Fランクのクエストを一緒に持ってきたのでいつも付き添いのレイを勧誘した。


 レイはこのデズモンドの街でヤアンの村で作られた商品を大々的に売る為、商業ギルドに登録してそれを可能にしていた。


「……私が冒険者ギルドに登録する得ってありますか?」


 どこかで聞いた事がある似たようなセリフをレイが受付嬢のルーデにする。


 受付嬢のルーデは、昇格時にそれに近いセリフを言っていたヒーロの事を思い出し、そしてその顔を見て、思わず吹き出した。


「あははっ! そうですね……。例えばヒーロさんが周囲から変な目で見られなくなりますよ。冒険者ではない女性をいつも連れてギルドに来ているとそれだけで注目されますから」


 受付嬢ルーデの指摘通り、ヒーロは他の冒険者から変な目で見られていた。


 一体どんな関係なのかと。


 最初は依頼主としてレイは現れていたが、それが毎日となり、ヒーロのクエストを手伝っているようだとなると恋人か? とも疑われたが、二人共、日中はそんな疑わしい行動や雰囲気は何一つないから、どうやら違うらしいという結論に冒険者の間でもなっていた。


 それだけに美女であるレイとお近づきになりたい者もいたが、ヒーロとの関係がよくわからないから微妙な距離をみんな取っていたのである。


「ヒーロが変な目で……。でも──」


 レイはチラッとヒーロを見る。


 冒険者登録をすると、その証であるタグを通して、今後、犯した犯罪等がギルドに知られる可能性があるのだ。


 ダーク=ヒーロと共に今後も悪人を斬る機会もあるだろう。


 そうなるとレイのタグにその記録が残るので、作るのはマズいと思えた。


 ヒーロは夜のチートモードで動いてもタグがヒーロとダークを同一人物と認識しないから記録されないのだが、レイは普通の立場だから同じようにはいかない。


 日中モブであるヒーロを守る為にも、レイは何かあった時、相手を斬る事に躊躇はないから、余計登録は出来そうになかった。


「一日、時間貰えますか? 俺がレイとちょっと話しますので」


 ヒーロは受付嬢のルーデに渋るレイを説得するような雰囲気で答える。


「──わかりました。こちらも、強制するわけではないのでじっくり話し合ってみてください。──そう言えば、ヒーロさん。先日、ヒーロさんの事について聞き回っている方がいましたよ?」


「え?」


 ヒーロは寝耳に水とばかりに聞き返した。


「冒険者の方や私にもヒーロさんがどんな人物かと」


「どんな人でした?」


「ガイス・レーチと名乗ってました」


「「あ……!」」


 ヒーロとレイは思わず声を上げた。


「あの人、ここにも来てたのか……、早く追い払っておいて良かった……。──それなら知っている人ですが、もう、来ないと思うので大丈夫です」


 ヒーロはレイと見合わせてから受付嬢のルーデにそう答えると、今日のクエストの手続きをお願いするのであった。

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