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68:覚悟してください

レブロン隊長にエスコートされ、バルコニーが見えてきた。


本当にこじんまりとしていて、定員は二人きりというのには納得だ。私を窓のそばまで送り届けると、レブロン隊長は「では」と優雅にお辞儀をして去って行く。


そこで視線をバルコニーに向けると。

当然だが、そこにノア王太子がいる。

こちらには背を向け、後ろ姿であるが。

スカイブルーのマントが見えている。

マントにはソーンナタリア国の王家の紋章である薔薇と白馬が美しく刺繍されていた。


アイスシルバーの髪は。

夜空の下、オリエンタルブルーに見えている。

身長もあるノア王太子は。

後ろ姿も本当に秀麗。

ドキドキしながら窓を開けようと取っ手を掴むと。

音に気づいたノア王太子がこちらを振り返った。


その瞬間。


優美な笑みがノア王太子の顔からあふれ、そのあまりの素晴らしさによろめき、窓枠に寄りかかってしまう。


「サラ、どうしました!? たちくらみですか!?」


心配そうな顔のノア王太子は、すぐに私の体を支えてくれる。


そう、心配して支えてくれているのに。

ノア王太子が腕や背中に触れていると思うと、とんでもなく心臓がドキドキしてしまう。


「大丈夫です。何も問題ありません」

「本当ですか!? 病み上がりのようなものです。無理はしないでください」


限りなく優しいノア王太子に、既にもうメロメロだ。


「本当に問題ありませんから。それよりも花火を見ましょう、ノア王太子様。もうすぐですかね?」


そう言ったまさにその時。

あの花火を打ち上げる音が響き、そして。

ドン、という太鼓を叩くような大きな音がした。

パチ、パチ、パチという音と共に、夜空に大輪の花、小ぶりの花が咲き乱れる。


「始まりましたね。さあ、サラ、コチラへ。念のため、体を支えておきます」


ノア王太子はゆっくり私をバルコニーへと誘い、後ろから私を抱きしめるように包み込む。

確かにこうされていれば。

どんなに甘い言葉を囁かれ、意識を失っても問題ない。

だが。

こんな風に抱きしめられている状況に、私の心臓はまたも時限爆弾と化し、いつ爆発してもおかしくない状態だ。


「サラ、今の花火、見ましたか? 美しい紫のグラデーションの花火でしたよね。ぶどう祭りで打ち上げる予定の花火だったので、紫やグリーンの花火が何発も打ちあがるそうですよ。あ、ほら、今も紫の花火が」


ノア王太子の言葉に夜空を見ると。

確かに中心分が濃い紫で、外側に行くにつれ、淡い紫、そして白い色に見える花火が見えた。


「精霊達は、年間を通じ、いろいろなお祭りをしているそうです。自然と連動したお祭りが多いそうですが、年内には秋の味覚を楽しむお祭り、紅葉を愛でるお祭り、初雪を祝うお祭りなどもあると聞きました。興味があれば、遊びに来てくださいと精霊王様が言っていましたよ」


「!! そうなのですか。ロセリアンの森へはそう簡単に入れないと聞いていましたが……」


するとノア王太子は、コバルトブルーの煌めく瞳を細め、優雅に笑う。素敵な笑顔に時限爆弾の針がぐぐっと進んでしまう。


「わたしとサラは特別ですから。むしろ理由をつけ、ロセリアンの森に来て欲しいと、精霊王様は思っているでしょうね」


「なるほど。聖獣でもあるノア王太子様が優遇されるのは分かりますが、私まで……。いいのでしょうか?」


ノア王太子は一瞬、キョトンとして、「サラ、あなたという人は……」と囁くと、そのまま私の体をぎゅっと抱きしめる。まさかここで抱きしめられるとは思わず、時限爆弾があっけなく爆発してしまう。だが、ノア王太子がぎゅっと抱きしめてくれているおかげで、倒れることはない。


「サラは私の妃であり、つがいなのですから。わたしにとって自分の命よりも大切な存在。もし精霊王様が、わたしだけ招くようなことがあれば……そんな誘いには一切応じるつもりはありません」


ノア王太子の、まさに溺愛を感じさせるような言葉に、すっかり酔ってしまう。こんな、こんな、こんな珠玉の言葉を私に対して言ってもらえるなんて……。


これは現実なのだろう?

まさか夢オチなんてこと、ないわよね……!?

不安になり、思わずノア王太子に尋ねてしまう。


「これは夢でありませんよね? 現実ですよね?」


突然そんなことを尋ねたので、ノア王太子は「えっ」と声を漏らし、驚いている。でもすぐにあの輝くような笑顔になり「現実ですよ」と囁く。


「どうやったらこれが現実だと信じてもらえるのでしょう。夜空にはこんなにも雅な花火が打ち上げられ、大きな音も響いているのに。そしてわたしは何度もサラを抱きしめているのに、まだ現実感がないですか?」


「はい。こんなにも雄大な森の中、宇宙みたいな夜空と花火を眺め、ノア王太子様のような、私にはもったいない方と一緒にいるなんて……。非現実的に感じてしまいます」


するとノア王太子は大きく息をはき、再び私をぎゅっと抱きしめる。もはやこのぎゅっと抱きしめるはデフォルトになり、私の感覚は若干麻痺してきていた。


ぎゅっとがないと、抱きしめているとは認めません!みたいな。


「サラはわたしに自己評価が低くなり、自分のことがよく見えている……なんて言いますが、そんなことはありません。サラは十分、魅力的です。あの精霊王様も。賢者アークエットも。ルドルフだって、サラのことが大好きなのですよ? 私も含めた四人の異性の心を捉えてなお、自分に魅力がないというのですか?」


「そ、それは……」


いつの間にそうなってしまったのだろう?

多分、ヒロインも悪役令嬢もいないから……?


「四人もの男性の心をサラは捉えていますが。もう一度伝えておきます。サラはわたしの妃であり、つがいなのですから。よそ見をさせるつもりはありませんし、よそ見できないぐらい愛しますから、覚悟してください」


まさに意識が飛びそうな言葉を囁いたノア王太子は。

そのまま何度も何度も優しいキスを重ねる。

花火を見るためにバルコニーに来たのに。

結局、音しか聞かず、ノア王太子とひたすら甘~い時間を過ごしてしまった。

このあともう1話公開します!

20時台に公開します。


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