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揺らぎのエゴ  作者: 佐原凍理
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前日譚:人格更正プログラム

前日譚です。

 現代では、暴力的な人間が増加する傾向にある。そこで、当研究所が発明したのがこの「人格更正プログラム」である。このプログラムは、暴力的な性格を持つ人間の意識を失わせ、深層意識から善なる心を持つ部分だけを抽出し、元の性格と対面させる。そして善なる心を持つ人格、つまりは正しいほうの人格に意識内の仮想世界の支配権を与え、元の人格を消去させる。そして最後に記憶と知識を補完して、元の人間と性格以外は変わらないように調節するのである。だが、僕はこの研究所の末端でありながら、このプログラムの欠陥に気づいていた。最後に記憶と知識を補完するために、正しいほうの人格を形成した初めのほうは記憶と知識を持っていないのだ。そして取り戻したとしても、仮想世界でのことを忘れさせるために一旦リセットし、再び入れ直す。そのため、仮想世界での正しい人格は脆弱なのだ。支配権こそありはするが、それを元の人格に利用されないとも限らない。だから、僕はプログラムの中に少し手を加えることにした。元の人格が正しい人格を何らかの手段で消去した場合、それを検知して正しい人格を再構成するというシステムだ。それに加え、そのままでは同じようになってしまうだけなので、不自然にならないように元の人格と混ぜるのである。これでもしプログラムが失敗したとしても、被験者の暴力性は多少薄れるということだ。明日、初めての被験者が来る。本人はどうやら結構な数の罪を犯している割には罪悪感がないらしく、この実験にはちょうどいいかもしれない。明日が楽しみだ。

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