077(ブースト計画へ出発)
ーーガオームはシュンとしている。留置場で目を覚まし、キノが身元を引き受ける。ガオームは50万円の罰金刑。
キノとガオームはアンタレスのフライングカーでアンタレス飯田基地へ向かう。自動運転だ。
「悪かった、キノさん」
「反省はしているようだな。日豪ブースト計画の警護で取り返せ」
「任せろ。俺が、ナコシの首を引き千切ってやる」
時間は8時30分。サソリのメンバーが続々と、アンタレス飯田基地に集結する。
クルーがアメリカ製のフライングバスにブーストガンやフライングバイク等を積み込む。フルウェポンだ。
今井長官代理がキノに問いかける。
「今度は大丈夫ね?」
「分からん。しかし、手は尽くすよ」
「ブリーフィングでは、日豪ブースト計画の近くに飛行円盤が確認されたわ」
「いかんな。挑発行動では済まんぞ。搬入を急げ!」
キノはクルーに指示を出した。
クルーの整備長がキノの元へ来る。
「キノ少佐、積み込み終了だ。いつでも飛べる」
「ありがとう。皆、乗れ!」
「おおー!」
搭乗員はバサラ、アダム、キノ、牡丹、チリー、ガオーム、シュナイダー、ヨッシー、アール、木村が乗る。遠隔で昴も参加する。
ガオームが運転席に座り、フライングバスを離陸させて、太平洋へと向かう。
木村がキノにそもそも論を聞く。
「キノ少佐。我々はいつまで、サソリを組むのですか? もう、トラピストの使徒のトップシークレットは手に入っているのですし」
「織田長官の遺産…………。ナコシ、ノーネーム、徳川を殺害するまでは、組織として機能させるよ。降りたければ降りてもいいぞ、木村中尉」
「滅相もありません。織田長官の仇を討つまでは、この木村、最後まで戦わせて下さい」
「うむ。そうだ、それでいい」
バサラは牡丹にチラチラと視線を送られ、困惑していた。
(あの晩、何があった? やっぱりイケナイ事か? 牡丹は何をしたいんだ!?)
バサラは堪らず、フライングバスの助手席へ移る。皆が居る前で牡丹を問いただす訳にはいかない。




