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ブースト・VASARA  作者: ルク穴禁
第9章(ミッション失敗)
56/102

056(良い旅を)

「アンタレスの指揮権と人事権はキノ・ベロッキオ少佐が持っている。外部がとやかく言う事じゃない」


バサラの意見は筋が通っている。しかし。


「キノ・ベロッキオ被疑者か。織田アンタレス長官殺害の容疑で特殊刑務所に送られたよ」

「何でだ!?」

「お前達、ハイブリッドを使って殺害したそうじゃないか」

「違う! ノーネームはテロリストだ!」

「はいはい、ハイブリッド同士仲が良いようで。じゃ連行するから」

「真田バサラ。お前は怪我をしてるようだな。まずは警察病院へ。真田アダムは特殊刑務所に直送だ」

「待てよ! 俺はマスドライバーを破壊したぞ!」

「俺達、純血は半年もすればマスクなしには生きれなくなる。お前ら、サソリはスケープゴートかもな。誰かが責任をとらないと」


ーーバサラとアダムは別々に連行される。バサラは警察病院で治療を受ける。


術後、バサラは個室に閉じ込められる。当然、チェーンは取り上げられてた。


ーー3日後の朝。バサラの病室に背広の男と軍服の男が入ってきた。


「真田バサラ。怪我の具合はどうだ?」

「お陰様で治ったよ」

「じゃあ、特殊刑務所に連行するから」

「なあ、オッサン。ノーネームはどうなった?」

「同じ刑務所で仲良く暮らすんだな。手錠を嵌めるから両手を出して」


警察が正式に採用している手錠……。バサラは素直に両手を出す。


「1ついい?」

「なんだ?」

「SLR32ってロボットはどうなった?」

「あのロボットならアンタレス飯田基地に返されたよ」

「もう1つ」

「なんだ、往生際が悪いな」

「俺を含め〝9人〟は全員捕まった?」


これは嘘だ。バサラは昴の事を伏せた。昴は上手くやっただろう。


「ああ。女性元アンタレス所員は人間用の刑務所だが、男どもは宇宙人がウジャウジャ居る特殊刑務所で終身刑だな。さあ、行くぞ」


ガチャン。バサラは手錠で拘束される。


バサラはフライングパトカーの後部座席に乗せられた。乗員の警察官は2人……倒せる。


「上田市の特殊刑務所か?」

「そうだよ。良い旅を」


ゴーーー! フライングパトカーが屋上から離陸して巡航モードに入る。手動運転だ。


「おい、コースを外れているぞ」


助手席の警察官はナビと景色を確認する。

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