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ブースト・VASARA  作者: ルク穴禁
第9章(ミッション失敗)
55/102

055(クビ)

ーー「……さん!……兄さん!……兄さん!」

「…………うっ……気を失ってたか。いや、あの世かな?」

「何言ってるんだよ! まだこの世だよ!」

「アダム……か?」


バサラはアダムにおんぶをされていた。アダムは夕暮れの中を走っている。逃げるかのように。


「兄さん、逃げるよ!」


バサラは夢現だ。


「…………あっ! キノさんが!」

「少佐なら、もう自力で逃げたよ!」

「無事か、良かった」

「あんまり良くないよ」

「あの怪我ではな」

「そうじゃなくて…………」


アダムは立ち止まる。


「どうした、アダム」

「僕達、サソリは捕まるかもしれない」

「ちょっと待て! 誰に? トラピストの使徒にか?」

「違うよ。警察に。国際裁判所で裁かれるかも…………逃げる?」

「そこから、逃げちゃダメだろ」

「だよね。でも状況は不利だよ」

「俺達のオリジナルか」

「うん…………」

「あの野郎、余計な事を! 生きてたと思ったら、テロリストの味方しやがって! ぐう、痛い」

「あんまり大声を出さないで。そろそろ宙界島の外だよ」


アダムは歩き出す。


「他のサソリは? ノーネームは?」

「皆は無事だよ。但し捕まってるけどね。ノーネームは倒したよ。チリー・ジョーがやってくれた」


アダムはまた立ち止まる。


「警察だ! そこで止まれ!」


6人ほどの警察官が現れ、バサラとアダムを取り囲む。


「兄さん、どうする?」

「抵抗するな。おとなしくしよう」


「お前らが例のサソリか? 網膜スキャンするから」


まず、アダムが読み取り機で、チカッとスキャンされる。


「背負われている男、確り目を開けて!」


チカッと、バサラも網膜スキャンされる。バサラとアダムは抵抗をしない。


「えーと、真田アダムと真田バサラ……元アンタレスか。しかも、ハイブリッド」

「ちょっと待て! 元アンタレスってなんだよ!? 元って!」

「お前らはアンタレスをクビになったんだよ」

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