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ブースト・VASARA  作者: ルク穴禁
第7章(島の激戦へ)
46/102

046(命の重さの差)

バサラはチェーンの両方をナイフにして後方へ飛ばす。ザン! ザン!「グオオ…………」2体のテロリストの胸にナイフを刺して、ノーネームの前に投げ捨てる。2体とも小型ビーム兵器を持っていた。


「ノーネーム、空爆のお返しは自爆か? 手下を使って」

「お前ら人間は俺達を物扱いしてるじゃないか。トラピストの使徒を殺しても、殺人より刑が軽い。いや、ハイブリッドだったな。……また来る」


ノーネームが撤退しようとした時に、キノがブーストガンを撃つ。バキン! シールドで防がれる。


「クッ!」

「追うぞ!」


木村が追撃しようとするが、キノが制止する。


「待て! 深追いはダメだ。それより、この2体のテロリストを始末するんだ。回復される前に。捨て駒はたいした情報を持ってないだろう」

「はっ! 分かりました」

「俺がトドメを」


バサラは日本製のブーストガンに持ち替え、2発撃つ。テロリストは木っ端微塵だ。


キノはフライングバスから対宇宙人地雷、〝針鼠〟を持ってきた。針鼠はセンサーに引っ掛かると、銃弾より強烈な無数の針が飛ぶ。


「誰か南東の入り口に針鼠を仕掛けてくれ」

「僕がやろう」


シュナイダーが志願する。危険物を取り扱うなら、元軍属の泥棒だ。慎重かつ速やかに仕掛ける。


次にキノは、チリーに聞く。


「それで、チリー。トラピスト・エレメントを食べたのか?」

「実はな、墜落した小型UFOの破片を食べたんだ。伸び悩んでた。酔っ払ってた」

「よく死ななかったな」


チリー・ジョーの不思議な暴露だ。トラピスト・エレメント計画は何十年も前に危険と判断されて、頓挫している。1000人ほどの被験体が用意され、UFOのボディーに含まれる物質を投与され、超人的な能力を持たすという計画だったが、被験体全員は苦しみながら死んでいったと、最終報告がまとめられている。チリーがチーム9の中心的役割を果たせるのは、自殺行為から生まれた奇跡だ。


「運が良かった。ノーネームと五角に渡り合えるのは俺だけだ」

「そうだな。チリーならワープでビームガンを避けられる。しかし、攻撃面で劣るぞ」

「針鼠を顔面にめり込ませてやるさ」


すると、ガオームが意気込む。


「じゃあ、ナコシの首を俺が千切ってやる」


ピピピ。フライングバスの通信機が鳴り、キノが応対する。

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