043(トラピストの使徒の目的)
バサラもそのトラピストの使徒をブーストガンでロックオンする。
「でも、テロリストに加担してるよな?」
「待てー! 全部話すから、命だけは!」
ホールドアップされたトラピストの使徒は汗をかいてる。木村が尋問を続ける。
「TOAとはなんだ!?」
「トラピスト・オブ・アース……。トラピスト1系列惑星fの大気に近付けるためのウィルス。通称〝トア〟だ」
「地球を乗っ取るつもりか!?」
「まだ未完成だ。撒いても正常化するか判らん」
「ナコシとノーネームはどこだ!?」
「分からない。南東の元アパートを拠点にしてるはずだ」
「宙界島のバリアはなんだ!? どうなってる!?」
「ゴールドだ、ゴールドが足りなかったから、中途半端なものになったと聞いている」
「金は母船の燃料じゃないのか!?」
「それは、流布した嘘だ。ナコシ様の体内エネルギーが全回復するまでバリアを張っている」
聞いてもいないのに、ベラベラ喋ってくれる。このトラピストの使徒はかなり焦っている。
木村に代わって、バサラが尋問を続ける。
「ナコシはビームガンを連続で何発撃てるんだ?」
「分からない。銃身が溶けるまでは撃てると聞いている」
「……数百から数千発だな。おい、宇宙人。マスドライバーを発射したら人間は死ぬのか?」
「死にはしない。但し、人間がマスクを着けて暮らす事になるだろう」
木村がボソッと本音を言ってしまう。
「なるほど。ハイブリッドには関係ない話か」
「木村中尉、僕も混血だよ」
「あっ。失礼しました、真田アダム大尉」
「ククク。そうか、ハイブリッドか。我々、トラピストの使徒に手を貸さないか?」
アダムは怒りながら、トラピストの使徒にブーストガンをロックオンする。
「ふざけるな!」
バサラはなだめる。
「まあ、落ち着け。そういう訳だ。キノさん、どうする?」
「始末は任せる」
バサラはインカムでキノと通話した。そして、トラピストの使徒は命乞いをする。
「き、聞こえたぞ! 始末って…………命だけは!」
「アダム、このテロリストを拘束して。採掘場まで戻るぞ」




