042(憧れと嫌っている)
バサラ達は上空へ行き、マスドライバーにゆっくり近付く。採掘場からマスドライバーまで1キロメートルほどだ。
バサラはチェーンのセンサーで視る。
「トラピストの使徒は居ない。作業が終わったか。いつでも発射出来るかもしれない。マスドライバーってより鉄塔だな」
「兄さん、マスドライバーのバリアはどう?」
「判らない。もう少し近付こう」
マスドライバーは小高い山の上にある。周りに木々はない。
バサラ達は索敵しながら、マスドライバーの近くに着陸する。バサラはアールから降りて指示を出す。
「二人とも、インカムのスイッチを入れて。アール、このバリアはどうだ?」
アールは暫く調査している。
バサラが率先して指示を出すのに、アダムは憧れている。木村は自分より階級が下のバサラに指図されるのを嫌っている。ハイブリッドだからじゃない。自分よりバサラのが強いからだ。
「ピーピーピーピー」
「おい、頭から煙を出すなよ?」
「このバリアは外からの侵入は出来ません。それと、マスドライバーは未完成です」
「どういうことだ?」
「中に何かしらのウィルスを探知しました。しかし、それを発射するだけのエネルギーがありません」
「兄さん、もしかしたら、ビームで打ち上げるんじゃないかな」
「ナコシの体内エネルギーは未知数だ。奴ならこれくらいは」
ガタン。……バサラ達以外の気配。ドラム缶が数個置かれている方からだ。木村が見に行った。すると、トラピストの使徒を1体、ホールドアップさせて連れてきた。
「ブーストガンでロックオンしてるからな。逃げた瞬間に木っ端微塵だからな」
「わっ、私は手伝わされただけだ!」
アダムが、バサラに良いところを見せようと尋問する。
「ほう。死にたくなかったら正直に話すんだな。このマスドライバーは何のために造られた?」
「……地球の大気を変化させるんだ」
「何かを撒くんだな?」
「TOAだ! 私はテロリストじゃない! 解放してくれ!」




