040(索敵)
「ゴーゴーゴーゴーゴー!」
バサラ、キノ、アダム、ヨッシー、チリー、ガオーム、シュナイダー、アール、木村。8人と1機はブーストガンを構えて、フライングバス周辺を索敵する。近くにテロリストは居ない。
「クリア!」
バサラはフライングバスを覗く。
「牡丹、出て来ていいぞ」
「あ~、心臓に悪い」
「牡丹は俺達が守る。基地と通信してくれ」
「うん」
ピピピ。バサラの腕時計ウェアラブル端末が鳴る。昴からだ。
「もしもし、昴さん。そっちはどう?」
「母船が射程外に行ったのは、予想できなかったわね」
「昴さんは人工衛星をコントロールしながら、情報を送ってね」
「ねえ、ダイレクトな通話は出来る?」
「内耳に埋め込まれてる通信機か。倫理的な問題で今は使われてない。インカムなら着けてるよ」
「デザイナーズベイビーそのものが倫理違反でしょ。使おうと思えば使えるのね?」
「ああ、デザイナーズベイビーでハイブリッドだけは。周波数はとっくに忘れたけど」
「こっちで調べるわ。それと…………」
「何?」
「このミッションで、私の前科は消えるの?」
「宇宙人によるテロがなくなるかもしれない。クリアすれば、前科なんて吹き飛ぶよ」
「そう。なら良いんだけど。…………ちょっと! 大変よ、真田さん! 衛星映像で宙界島全体を視てるけど、バリアに覆われていくわ。オレンジ色なんて見たことない!」
「そうか。都合が良い」
「真田さん…………出られないのかもしれないのよ?」
「ナコシ達が操作したんだろう。テロリストのボスと一蓮托生もまた一興だ」
「覚悟は出来てるのね」
「それに、出られないと決まった訳でもない。バリアがオレンジ色なのは不安定な証拠だよ。普通は緑色だからね。あと〝真田〟はやめてくれ。弟と混同するおそれがある」
「分かったわ。えーっと、バサラさん」
ピッ。バサラは通話を切り、サソリのメンバー皆に提案する。
「多分だけど、ナコシ達が宙界島にバリアを張ったみたいだ。不安定だから誰か飛べる奴に調査を頼む」
キノは調査隊をすぐに決めた。
「木村中尉とアール、境界線まで行ってバリアを調べてきてくれ」
「はっ!」
「了解しました」
アールはブースターで飛び、木村はチェーンのガンを下向きにしてブースターの代用にして空を飛ぶ。バサラには出来ない芸当だ。




