039(勝ち名乗り)
「あっ! もしかしたら、アールが使えるかも。アイツなら今頃」
アメリカ人はアールを知らない。
「知らない奴だな。誰だ?」
「シンギュラリティになり損ないのロボットだよ。チリー」
「日本製のロボットか?」
「日本製だ」
「それなら、信頼できそうだな」
キノがバサラに指示を出す。
「バサラ。アールの状況を確認してくれ。ウェアラブル端末に専用アプリが入ってるはずだ」
「分かった」
バサラは腕時計型ウェアラブル端末を操作して、アールとスピーカー通話する。
『バサラさん、どうされました?』
「今、マシンのテリトリーに居るな。状況は?」
『はい。皆、おとなしくなりました。人間に攻撃はしません』
「断言出来るか?」
『98.0パーセントの確率で断言します』
「残りの2パーはなんだ!?」
『演算に10分下さい』
「やらなくていい。宙界島にターゲットが行かなかったか?」
『99.99パーセントの確率で宙界島にナコシとノーネームが居ます』
「分かった。後で拾いに行くから、そこを動くなよ」
『了解しました』
ピッ。バサラは通話を切り、皆の方を向く。
「そういう訳で、宝くじが当たるより高い確率で死ぬかもしれない」
「それでは、我々サソリを核に、動けるアンタレス隊員を連れて宙界島へ行くぞ」
ーーバサラ達、サソリはフライングバスで宙界島へ行く。ガオームの運転で。単細胞じゃなさそうだ。バサラはガオームに指示を出す。
「そろそろ、マシンのテリトリーだ。スピードを落として、ハッチを開けてくれ」
「了解」
ハッチが開くと、アールがブースターで飛行して、ゆっくりと着艦する。
「拾った! ハッチを閉めてくれ!」
「了解」
チリーは不思議そうにアールを見る。そして、キノに聞く。
「これが、例のロボットか?」
「そうだよ」
「旧式のロボットじゃないか。大丈夫か?」
「安心しろ。……アール、ブーストガンデバイスを持ってきた。装備してくれ」
「了解しました」
サソリのメンバーを乗せたフライングバスはマシンのテリトリーに入っている。2パーセントの確率で撃墜されるかもしれない。アメリカの隊員は皆、手で十字を切る。バサラは見よう見まねで、力士の勝ち名乗りをやる。特に意味はない。
木村もサソリと共にフライングバスに乗ってるが、ご機嫌斜めだ。最初から選抜メンバーに入ってなかったからだろう。
「元気出せよ、木村。夜勤組を叩き起こして、通常勤務してもらってるんだし。俺達はテロリスト抹殺に集中出来る」
「ふん!」
突然、ガオームが叫ぶ。
「おい! ロックオンされたぞ!」
「アール、頼む」
「了解しました」
アールはマシンと交信を始める。
『ピコピコピー……ピコピコピー……』
「ロックオン解除! ロックオン解除!」
バサラ達を乗せたフライングバスは無事にマシンのテリトリーを抜ける。バス内には安堵の空気が漂う。キノはバスの前方へ行き、ガオームに指示を出す。
「宙界島にバリアは張られていない。マスドライバーの近くに停めてくれ」
「了解」
バサラ達を乗せたフライングバスは宙界島に入る。様々な施設が廃墟となり、そびえ立ってる。
バサラもバスの前方へ行き、チェーンの子機をセンサーにして索敵する。
「ナコシは? ノーネームは? どこだ!? マスドライバーは…………待て、ガオーム! マスドライバーにはバリアが張られている!」
キノはガオームに指示を出す。
「そこの建物の広場に着陸してくれ」
「何かの採掘場だな、了解」
フライングバスはゆっくりと採掘場に着陸する。




