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ブースト・VASARA  作者: ルク穴禁
第6章(激戦へ)
36/102

036(長官殺し)

ーー次の日の朝、バサラはいつも通りに支度をして基地に出勤する。


駐車場にはアンタレス飯田基地所有じゃないフライングバスが停まっていた。船体にはスターズ&ストライプス、アメリカ国旗がプリントされてる。


バサラは、オフィスに行くと、木村が「何でアメリカのアンタレスや軍隊が来ている!? 日本のテロリストは俺達だけで十分だ!」と吠えていた。


「木村、落ち着けよ。別動隊だ」

「ハイブリッドは何か知ってるのか!?」

「だから、別動隊だって。木村には通常勤務をしてもらいたいし」

「何を隠してる!?」

「俺はマシュマロテストで先に食べるタイプだ」


バサラは、テキトーなことを言って誤魔化す。木村はクールダウンが必要だ。


「意味が解らねえよ!」


木村はオフィスから出ていった。バサラの作戦成功。バサラは、そのまま自分のデスクに行く。隣には真新しいデスクが並んでいた。カバンが置いてある。正木の物だ。


「バサラさん、おはよー」


牡丹が挨拶してきた。軽いノリで。


「牡丹、おはよ。最近、姿を見なかったな」

「諜報部と協力して、サソリのメンバーを洗ってたの」

「結果は?」

「皆、シロだよ」

「当たり前だな。そういえば、アールも見当たらないな」

「アールならマシンのテリトリーに行ったよ」

「マジで話し合いをするつもりか。バラされないといいけど、アハハ」

「無事に任務をクリアしたら、デートしてあげてもいいよ」

「取り敢えず、頑張る」


すると、今度はキノがバサラの元へ来た。血相を変えてる。


「大変だ」

「キノさん、どうした?」

「サソリの集結を知った国防軍が侵攻してしまった」

「国防軍にハイブリッドは居るのか?」

「居ない。ハイブリッドが特攻して、母船内部の大気を変えなくては不利だ」

「キノさん、落ち着け。作戦を変更するか?」

「やむを得ない。我々は作戦会議を始める。後、30分ほどで準備が整う」

「もどかしいな」

「バサラは、チェーンのメンテナンスをして待っていてくれ」

「分かった。珍しく、焦ってるな」

「私は大丈夫だ。そういう訳で、バサラには流動的に動いてもらうことになる」


キノは1階の会議室へ行った。バサラは自分のチェーンの隅々を確認する。


「バサラさん、知ってる?」

「スリーサイズか?」

「バカ、違うわよ。鼎一色の件で……」

「ああ、生き残りがアンタレスに入ったよ。今頃、織田長官から辞令交付されてるんじゃない」

「生き残り? どういう意味!?」

「どうもこうも、警官の一人が重体から回復して、アンタレスの試験を受けて隊員になったんだよ」

「待って! 鼎一色の件で警察官は30人全員死んだのよ? 重体だった正木巡査も息を引き取ったって」

「何!? じゃあ、ここに来た正木は…………牡丹! オフィスから全員退去させろ! 基地に爆発物が仕掛けられてないかチェック!」

「分かったわ。バサラさんはどうするの?」


バサラはチェーンを装備する。


「俺は、織田長官を守りに行く!」


「皆~! 急いでオフィスから出て!」


バサラはエレベーターをやめ、階段を使い、長官室に行く。無我夢中で階段をかけ上がる。長官室の扉は半開きだった。


「長官! 入りますよ!」


バサラが長官室に入ると、織田長官は無惨に首から大量の血を流して倒れていた。鋭利な刃物で真一文字に斬られたようだ。脇には、正木が立っている。


「おい! 正木! 何をした!?」

「ククク……。アンタレスも意外とチョロいな」

「正木巡査は亡くなった! お前は誰だ!?」

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