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ブースト・VASARA  作者: ルク穴禁
第5章(ブーストガンとロボット)
34/102

034(天才の現れ)

正木巡査の試験は続く。バサラはノーマルタイプのチェーンを仕舞い、子機が6つの最新型チェーンをラックから取る。


「…………」

「どうした?」

「あのう、実は、ホビータイプで遊んだことならあります」

「おもちゃと本物は全く違うぞ」


ホビータイプのチェーンは微弱な脳波を読み取り、ほぼオートマチックで動く。もちろん、ナイフ等の武器は作れない。本物のチェーンは脳波で完全コントロールをしなければ扱えない。それだけ、正木のセンスが凄いという事だ。


バサラは、正木の背中に最新型のチェーンを取り付ける。


「さっきより、なんだか頭がスッキリします」

「正木巡査には新しいのが合うのか。よし! 右をブレードにして、左をガンにして」


正木のチェーンの右3本が刀になり、左3本がグレネードランチャーになる。


「これでいいですか?」

「凄い男だ。バージョン3.0以上か。たいして訓練もしないで……。俺がシールドで防ぐから、ガンを一発撃ってみて」

「はい!……ところでガンの弾は何ですか?」

「空気だよ」


バサラは、正木から10メートルほど離れて、チェーンでシールドを作る。


「いつでもどうぞ」

「大丈夫ですか?」

「パワーは抑えてくれよ」

「では、行きます!」


バン! ガシッ! ドーン! 爆風が舞う。


「抑えてって言った割には弾が重いな」

「次は何をすればいいですか?」

「合格だ、合格」

「……本当ですか!?」

「筆記試験に自信は?」

「半々てところです」

「仮に筆記試験で落ちてても、ここまでチェーンを操れれば問答無用で合格だ」

「やったー! これでテロリストと渡り合える」

「今、アンタレスが追いかけてるのはテロリストのトップだ。遣り甲斐はあるぞ」

「ナコシですか?」

「よく知ってるな。筆記試験に出たか」

「勉強しましたから」

「正式にアンタレスの隊員になったら、最新型のチェーンが支給されるよ」


ーー正木は、その日付でアンタレスの隊員となり、階級は伍長となった。正木は警察署へ戻り、人事手続きをする。公務員として出世したから送別会を企画されている。バサラと年が近いし、良い仲間ができた。


バサラはオフィスに戻ると、ヨッシーとキノが立ち話をしていた。


「作戦会議か?」

「明日にはサソリが全員揃うぞ。小森昴を除いて」

「昴さんは来れないか」

「スパコンがあるからな。家に居てもらった方がいいだろう」

「国防軍の100人も来るのか?」

「既に母船から1キロメートル離れた森林に潜伏してるよ。斥候の情報によると、母船のバリアはほぼ消えてるそうだ」

「サソリが集まれば、いつでも突入できるって訳か」

「作戦開始は明後日辺りだな。バサラには斬り込み隊長をやってもらおう」

「ああ、任せろ。ところで、アダムも来るのか?」

「ノーネームが日本に来た以上、ブエノスアイレスから追って来る。日本とアルゼンチンには超高速旅客機は就航してないが、明日には来れるだろう」

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