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ブースト・VASARA  作者: ルク穴禁
第5章(ブーストガンとロボット)
29/102

029(プライベート)

ーー夕方になり、退勤時間となる。夜勤組が出勤してきた。夜勤の隊員は二軍だ。


バサラは、キノのデスクへ行き、話しかける。


「まだ帰らないの?」

「サソリのメンバーに国防軍、約100人が名乗りを上げてるようだ」

「何で国防軍がサソリの事を知ってるの?」

「織田長官の働きかけだ」

「流石は長官だな」

「バサラとアダムにとっては、父親みたいなものだろ?」

「う~ん、父親ってより親戚の伯父さんって感じかな。にんべんに白の方の伯父さんね」

「分かりづらい例えだな、ハハハ」

「そういや、キノさんの親はどうしてるの?」

「イタリアに居るよ。私だけ帰化したからね」

「アンタレスに入るために?」

「まあ、そんなところだ。最初はアメリカへ行ったが、日本のが遣り甲斐があると思ってな」

「アメリカのトラピストの使徒はおとなしいもんね」

「そうだな」

「家族に会ったりしないの?」

「妻と娘は東京に居るから、たまに会ってるよ」

「家族って解らない」

「バサラは、まだ若いからな。……サソリに勧誘した奴、全員のリストを作ってる」

「あ、邪魔しちゃった?」

「世間話くらいはいいがな」

「いや、帰るよ。明日はヨッシーと接触しないとね。お先に~」


バサラはオフィスの出口に向かって歩き出す。


「お疲れさん。明日は遅刻するなよ」


バサラは片手を挙げて、合図をする。


ーーバサラは自分のフライングバイクに乗り、アンタレス飯田基地から自宅マンションに帰る。


バサラはドアの網膜スキャンをして部屋に入る。照明が自動で点く。ソファーに座り、ウェアラブル端末に話しかける。


「テレビを点けて。取り敢えず、ニュース」

『かしこまりました』


『明日のお天気です。午前中は雪が降ります。お出かけの際は、ご準備を』


「夏に雪か。半世紀前なら考えられん事だろうな」


『それでは、ここで速報です。インドのニューデリーを観光していた、トラピストの使徒が突然、暴れ出して金塊を盗んだ模様です』


「やっぱり、宇宙人はゴールドを集めてる? しかし、いったい何に使おうっていうんだ?」


『新たな情報です。金塊を強奪した、トラピストの使徒は長野県上空の母船から来たとの情報です』


「長野県もホットだな」


『織田さん。これらの事件は何故起きるのでしょう?』


「織田長官!?」


『トラピストの使徒は何か焦っているように見えますね』


「織田長官、全国放送の番組に出てるってことは東京に出向してるのか」


『焦ってる、とは具体的にどういう意味ですか?』

『金を何に遣うか解らないが、集めたければ、もっとスマートなやり方があるかと』

『なるほど』

『トラピストの使徒はどんどんナードになってるように見えますね』

『織田さん、どうもありがとうございました。続いては……』


「スポーツやってない?」


バサラはウェアラブル端末に話しかける。


『ベースボールならやってます』

「取り敢えず、変えて」

『かしこまりました』


野球はバサラの趣味じゃない。ルールをいまいち理解してない。

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