014(VRサッカー)
「あっ! ボーダーチームのヨッシー!」
バサラは、ヨッシーに徳川バサラのクローンかと聞かれた。ヨッシーを仲間にできれば、心強い味方になる。インテリジェンスだ。しかし、闇サイトを使うような奴だ。偽名かもしれない。バサラは調べる。
「テレビにソルジャーネットを出して」
『かしこまりました』
テレビ画面にグリーンの線で描かれた地球儀が映る。
「ボーダーチーム、ジャパンアメリカ、ヨッシーで検索して」
『関連する人物が一件ヒットしました。画面に出します』
バサラは、ヨッシーのプロフィールを見る。確かに金密輸で組んだ男の顔が映る。
「本名は吉田か。安直だな。本当にボーダーチームか? 明日、ヨッシーと連絡を取ってみよう」
ピピピ。バサラのウェアラブル端末が鳴る。メールだ。差出人は知らない奴。
『VRサッカーゲームの無差別勧誘です。ハンドルネーム、サナダさん。人数が足りないので、よかったら僕らのチームで一試合プレーしませんか? 小森昴より』
バサラは乗り気だ。VRゲームの機材はある。バサラは返信する。
『センターフォワードでならやりますよ』
『ありがとうございます。それでは、カームフラッグの32、アルファチームに登録してください』
バサラはソファーに座り、ヘッドマウントディスプレイを被る。ログインしてゲームの仮想フロアでカームフラッグ32、アルファチームを探す。
「アバターの数が多いな。制御して」
『観戦者を除き、プレーヤーのみにします』
パッと、可視できるアバターが1割ほどになり、動作が軽くなった。
バサラはフロアを移動して試合会場に着く。『ハンドルネーム、サナダ、招待プレーヤー』と書かれていた。
バサラはチームに合流する。仮想ピッチには10人のアバターが集まっている。色物のアバターは居ない。真面目にVRサッカーを楽しむためのチームだ。
「あっ! サナダさん。登録ありがとう」
「貴方が、小森昴さん? 招待ありがとね」
「ほほう。戦績は10勝1敗3分けですか。強いですね」
「徳川バサラを研究してるからね」
バサラは、それっぽい嘘を吐く。
「人数が揃ってから、1分後に試合開始です」
「作戦は立てられないな。相手チームはどんな連中?」
「トラピストの使徒の集まりですよ」