101(アンタレス解体)
バサラのチェーンで生きてる子機は2個。それをブースターにして船外に飛び出る。とりあえず、西に飛んでいく。
すると、定員オーバーのフライングカーとフライングバイクが飛んでいた。サソリのメンバーだ。
「キノさん! アダム! 皆!」
「全員始末したか?」
「ああ! ついに、オリジナルとナコシ、ついでにミッターケースも倒したよ。でもチェーンが損傷した。俺も乗せてもらうから」
「兄さん、木村中尉の後ろに乗って」
「3ケツか? 仕方ないな」
バサラは、アダムが運転するフライングバイクの後ろに飛び乗る。
「今入った情報によるとブエノスアイレスの母船が無条件降伏したようだ。我々、サソリはミッションを完全クリアした」
「キノさん、聞きたいことが幾つかある」
「気を失ったことか? ミッターケースを騙すための作戦だ」
「俺はどこで刷り変わった?」
バサラが聞きたいのは、気絶させられてからVRゲームにログインさせられ、どこでリアルの世界に戻ったかだ。
「フライングバイクで飛んでる間だ。音速で飛んでる割りに時間がかかったろ」
「大体分かった」
ーー全ての仕事が終わった。俺はアンタレス飯田基地のオフィスで考え事をしている。トラピストの使徒はおとなしくなった。女王が死んだからには、新たにトラピストの使徒は産まれない。宇宙人によるテロが減少していくから、アンタレスの規模は縮小、いずれは解体となる。地球の大気は人間にとって最適化された。
「あなたが真田バサラね?」
俺は振り向くと、10代の少女が居た。
「お嬢ちゃん、勝手に入っちゃダメだよ」
「最後にパパの仕事場を見ておきたくて」
「パパって誰?」
「私の名前は、月香・ベロッキオよ」
「そうか。キノさんの娘か。最後って、東京に帰るの?」
「ううん、イタリアだよ」
なんだよ、キノさん。言ってくれよ。水くさい。
ーーその日の夜、俺は自宅に帰る。
「疲れた」
『お疲れ様です。ミッションクリアおめでとうございます』
「簡単に言うなよ。大変だったんだぞ~。寝る、快眠ミュージック」
『かしこまりました』