表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
外れスキル「影が薄い」を持つギルド職員が、実は伝説の暗殺者  作者: ケンノジ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

224/230

エピローグ3




 その翌日だった。

 エルヴィから手紙が届いた。ヴァンの処遇についてかかれていた。


「公開処刑か」


 隣で手紙を覗いていたライラがぽつりとこぼす。


「表向きの罪状は書かれていないが、ルーベンス側からすれば、暗殺を指示した黒幕だからな」


 妥当なところだろう。


「奴は、無邪気過ぎた。子供のように、自分の可能性を信じておった」

「便利すぎるスキルも考えものだな」

「そなたの『複製』に成功し、『ロラン』の実力を暗殺によって確認した。段階を踏みながら、あの男は、欲に取りつかれ、呑まれていった」


 自分で新しい国を興す――。それを願っていたとして、実行に移せる能力がなければ夢物語。

 だが、ヴァンの力はそうではなかった。

『軍工廠』は夢物語を現実に変え得るスキルだった。

 俺たちが横槍を入れなければ、叶ったかもしれない。


 ヨルヴェンセン王都の人々については、あれから一度長役とされる老人に会いにいった。

 幸い冒険者ギルドの存在自体は知っていたようで、クエスト依頼の要望書を入れる箱を数か所に設置し、定期的に回収することになった。


「『復元』された魔導兵器は、もう残っていないらしい。見に行ったときに、もうないのだと老人が言っていた」

「そうか」

「あれらは未知の技術だ。使わないに限る」


 強すぎる力は、争いの種になる。

 いつかライラが言ったことだし、ライラ本人がそうだった。


「魔力抑制器具をつけるのはいつでもいいと言ったが、つけたほうがいい。今後、おまえの力を利用しようと現れる輩がいないとも限らない」

「であるな。そうしよう」


 首輪を取りに行こうとライラが席を立つ。


 その手首を掴んだ。


「ここにある」

「いや、寝室に……」

「それは、ワワークに返した。違うものを作ってもらった」

「うむ? 新型か?」

「まあ、そんなところだ」


 俺はワワークから受け取った小箱を開けると、輝く銀色のシンプルな指輪が入っていた。


「綺麗……」

「これをつけてほしい」


 はにかんだような笑みで、ライラはうなずく。


 手が差し出された。指輪のサイズを指示してなかったが、問題なく特定の指に入りそうだった。

 入れてみると指輪はぴったりで、手を宙にかざしてライラは何度も指輪を見ていた。


 ふふふ、ふふふ、ととろけそうな顔をして、ずっと眺めている。


「貴様殿よ、これは一体どういう意味であろう」


 何かを期待するような、ホクホクした顔でライラは訊く。


「? 魔力抑制効果だ」

「……」


 感情がゼロになったかのように、ライラは無表情になった。


「首輪のときのように、取れないし、壊れないそうだ」


 おほん、と気を取り直すように、咳払いをした。


「よい品である。ワワークには、礼を言わねば」


 そうだな、と相槌を打つ。


「魔王は、封じておかなければならない、と今回の件で再認識した」

「うむ。もう、離れぬぞ」

「そうしてくれ」


 指を絡ませると、ライラが頭を俺の肩に預けた。




ここまで読んでいただきありがとうございました。

物語としてはここで完結とさせていただきます。


外伝や日常短編などは、不定期に更新していくつもりですので

できればブックマークはそのままにしていただけると幸いです。



「今後も執筆がんばれ!」「面白かった!」と思ってくださったら、


すぐ下にある星【☆☆☆☆☆】で評価していただけますと、作者は執筆頑張れます!


ブックマークして下さるだけでも嬉しいです。


皆様、応援のほどよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

新作 好評連載中! ↓↓ こちらも応援いただけると嬉しいです!

https://ncode.syosetu.com/n2551ik/
― 新着の感想 ―
[一言] 何度も読み返して楽しんでいます。お忙しでしょうが、3〜4話の短編を時々でも投稿して頂けると嬉しいです。
[良い点] 卓越した文章力。 [気になる点] 師匠のその後。 [一言] 面白かったです。ありがとうございました。
[良い点] まず、外れスキルの完結おめでとうございます!完結してしまい悲しいですが、今まで本当にお疲れ様でした!! [気になる点] 最終章少し駆け足すぎると思いましたが、詳しい事は外伝や事後談に期待さ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ