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ココ開け! にゃ~にゃ~!

作者: 梅桃桜

それはまだ、我が家のおバカさん()が仔猫だったころのお話。


捨て仔猫の兄弟が来てホンの数日ながら、二匹はすっかり家族になじんでおりました。夫と私が平日仕事で留守にしていても、大学生の娘は夏休みで帰省中。


日中、娘はおもちゃで二匹を運動させたり、なでくりまわしたりし放題の蜜月を楽しんでおりました。


とは言え、せっかくの夏休みなので、娘は短期集中で自動車学校に通っておりました。そのため、数時間だけは猫たちだけでお留守番する時間も生じましたが、生まれながらに一緒にいる相棒の存在は大きく、互いがいることで安心するらしく、仲良くお昼寝などをしてお利口に過ごしておりました。


ある日のこと、職場での休憩時間中、私の携帯に娘からメールが来ました。


「ママ、ごめん! 家中探したんだけど、一匹が行方不明。黒猫の方! 窓もドアも開けてないし、ちょっと前まで一緒に遊んでいたから、絶対に家の中にいます。教習所の時間だから行ってくるので、帰宅したら探してください!」


あたふたする娘の姿を浮かべながら、


「心配しなくても、きっとどこか楽しそうな隙間を見つけて、そこで眠ってるよ。猫ってそんなもんだから大丈夫。母、帰ったらおもちゃかおやつで釣ってみるね。気を付けて行ってらっしゃい!」と返信して、


「帰ったら子猫を探すこと、カーテンの裏とかソファの下」と頭の中に書き留めました。


数時間後、タイムカードを押すと寄り道せず、すぐに帰宅しましたが、運転中も「どうせ、玄関を開けたら二匹で出てくるだろうな~」と深くは考えておりませんでした。





ところが、玄関を開けた私に駆け寄ってきたのはお兄さん格のシャム猫だけ。

しかも、「にゃ!にゃ!」と何かを訴えながら、クローゼットに誘導しようとするのです。


「ん? クローゼットの中に隠れてたのかぁ~?」そう言いながら扉を開けましたが、そこに見えるのはタンスと床だけ。上にも下にも黒猫の姿は見当たりません。でも、シャムネコはクローゼットの中に一歩踏み込み、何かを訴えるように、ニャーニャーと泣き続けるのです。


教習所、着替える、タンス開ける・・・・まさか・・・。


そ~っと一番下の引き出しを開けました。異常なし。

次にその上をそ~っと開けました。何もなし。

やはり気のせいか、と思いながら下から三段目を開けると・・・


そこには丸い黒いモフモフがしまわれておりました。


呼吸に合わせて静かに上下するその塊にそ~っと指を伸ばすと、


「ぴ!」と黒いカギしっぽが立ち上がり、目をぱちぱちさせながら

無音の「にゃ~」を発声させました。


そっと引き出しから抱き上げると、足元では心配そうなシャム猫が見上げておりました。


その鼻先に黒猫を下ろすと、安心したように頭の上をザリザリと舐め始め、兄弟の居場所が分かっていながら、出してやることができずやきもきしていたことが伝わってくるようでした。


一方、黒猫の方は何も考えておらず、おそらく着替えのために娘が引き出しを開けた時、隙をついて興味半分に入り込み、そのまま閉められてしまったものの、娘が探して読んでいる時には知らんふりを決め込み、その後は程よく布に囲まれて温かく、狭くて暗いという猫が大好きな環境で爆睡してしまった、という所でしょう。


たいてい二匹一緒に遊んでいるので、引き出しに入り込むところを見ていたか、気配で居場所を察知したシャムネコは留守番しながら、心配し続けていたのでしょう。面倒見の良いお兄ちゃんだね、君は。(いっしょに生まれてるはずだけど)


その後も、黒猫が無茶をするたび、シャムネコが家族を呼びに来て、高い場所や狭い場所に誘導されることがしばらく続いたのでした。




・・・・・・猫も人もお兄ちゃんは苦労性。





何のことはない、猫のいる風景を描写しただけのお話。

初めての投稿ですが、読んでいただいたあなたにモフモフの幸運が訪れますように!

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