村人(前半)
どのくらい歩いただろうか、やっと村に到着した。
村は思っていたより大きく、数件だと思っていた民家は
重なって隠れていたのか、10件を超えていた。
話を聞ける人が多いのは、嬉しいことだ。
しかし今、自分の関心は違うところに向いている。
・・・とにかく、足が痛い。
そう、長時間の歩行で下半身が悲鳴をあげているのだ。
部活には入らず、運動といえば通学路を往復しているだけの自分には
当たり前の話かもしれないが、辛いものは辛い。
しかし守は、自分よりさらに具合が悪そうだった。
視線は下を向き、顔色も悪い。
歩き始めは良くしゃべっていたのだが、今は完全に黙ってしまっている。
これは、早いうちにどうにかしないと・・・
(・・・!)
辺りを見回していると、村人らしき男性がいるのを発見した。
背はそれほど高くないが体格はガッチリしていて、休憩中なのか椅子に腰かけてリラックスしている。
(声、かけづらいなぁ。)
「休憩の邪魔をするな!」とか言われないか、心配になってくる。
しかし、話しかけないとここまで歩いた意味がない。
今の守を頼ることはできないし、自分が行くしかない。
制服の袖をグッと握りしめ、気合いを入れる。
不安を押し殺し、話しかける。
「す、すみません。」
「誰だ?」
「あ、野村って言います。あの・・・」
「迷子か?」
おお、今の状態”ズバリ”な質問だ。
渡りに船ってこういうのを言うんだろうなあ。
「はい、旅行でここに来たんです。」
”いきなり気絶して~”と詳細を話すと混乱しそうだから、旅行と言っておく。
フフフ、我ながら良い判断だな。
「何でそんな服で旅行してるんだ?」
あっ、しまった!今、制服だった!
・・・ええっと、ええっと。
「し、私服なんです・・・」
「そんな服が私服なわけないだろ。」
「・・・」
うぐぐ、黙ってしまった。
修学旅行とでも言えばいいものを、自分は何してるんだ。
少なくとも無言はダメなのに・・・
ここから誤魔化せる気がしない。
どうしよう、どうしよう・・・
「あ、あの!」
「・・・わるい、意地悪しちまったな。」
・・・えっ?どういうことだ?
「お前らみたいなチビが、あいつらの仲間なはずないからな。何が聞きたいんだ?」
・・・どうやら、警戒されていただけみたいだ。
悪い人ではなさそうだし、また嘘をついて話がこじれたら困る。
一か八か、本当のことを言ってしまおう。
・・・・・・この会話の流れは、”いつもどおり”だな。
なぜか、胸がチクッと痛んだ。
遅れました、すみません。
追記 5/11
※お詫び
ご無沙汰しております、作者のカレー三昧です。
単刀直入に言いますと、この小説、「異世界(Newワールド)×生存」の執筆が行き詰ってしまいました。
そして、この問題の対処には、物語を根本から考え直すしかない、という結論に達しました。
なので、誠に勝手ながら、一旦「異世界(Newワールド)×生存」は完結させて、ストーリーを練り直したいと思います。
ここまで読んでくださった皆様、本当に申し訳ありません。
出来るだけ早く戻ってきますので、どうかお許しください。