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4―マジシャンズ・オンラインへ

【マジシャンズ・オンライン】

 一言で言えばゲームだ。

 パソコンではく、モニターを使ってプレイする。

 このゲームは今、日本中で話題となっている。二人に一人は必ずこのゲームを始め、知らない者はごくわずか……。

 最新技術『サイバーネットワールド』を用いて作られ、五感、痛感などがリアルに再現。

 遊んでいる人間に直線貫通して伝わる……。

 昔のオンラインゲームは協力し敵を倒すパソコンで操作する見てるだけのゲームであった……。

 しかし【マジシャンズ・オンライン】は違う。

 遊んでいる人間が直接『サイバーネットワールド』によって、自分の意志で、そして自分の力でゲームを進めていく

 そう、現実と同じと言えよう。

 しかし、それだからこそ欠点が存在している。

 現実と同じ……。つまり、やったことがそのまま作用されるとなれば、『死』も意味している。

 そしてこのゲームにはわずかな人間しか知らない『裏』が存在している…。




「さて。今日の依頼は弓弦破損の犯人探しか」

「見つかるかな?…【マジシャンズ・オンライン】は何万人以上の人が遊んでいるし…」

「確かにな……サークルに行こうがコミュニティに行こうが毎日あれだけの数じゃな」

 げんなりとした様子でモニターを操作しながら英語で表示されているパスワードを開く。

 【Magician・room】のコンテンツをタッチすると【ON】と【OFF】表示される。

 指で指紋を認証し、ゲームのメニュー画面を表示。

 マイページを開き現在のステータスを確認した途端、彼の表情が固まった。


「なあつぐみ…」

「みゅ?どうしたの」

「俺…MPマジックポイント0だった」

「え?…だってヒデくんのMP…昨日は満タンだったよね?」

 秀久は照れくさそうに笑うと画面を見せた。

「………もしかして」

「ターゲット追いかけてる時に罠にかかったみたいで…」

「……はあ…。仕方ないなあ…あたしもステータス確認したらMAXだったから…【オンライン広場】で回復できるよ?」

「そうか?…わりい…」

「いいよ。ヒデくん頑張ってるしね」

 にっこりと秀久に微笑みかける。秀久は赤面し、慌てて顔を逸らしトップメニューへと戻る。

 あの笑顔が原因だというのに彼女は首を傾げていた。

「それじゃ行こうぜ」

「うん♪」

 互いに頷き合うと同時に『Load・game』を人差し指の腹で押す。

 画面が虹色に輝き二人の前に魔法陣が出現。

 魔法陣は二人を誘うかのように吸い込むと消えてしまった。




  NOW・loading







 『サイバーネットワールド』によって作り出されたゲームの世界。

 別名アナザーワールドとも呼ばれ、秀久達の世界と全く同じなのだ。

 唯一違う点はコミュニティ、オンライン広場、そしてサークルが存在していることと、魔物が現れること

 アナザーワールドに来た魔法使いプレイヤーは魔物を倒し、レベルを上げ、武器を強化…まさにゲームと同じ内容を体験することになる…。

 この世界はアナザーワールド…『サイバーネットワールド』により、この世界で起きたことは現実世界に比例することがある。

 とは言ってもそれが出来るのは選ばれた者、そして『ディスマター』と呼ばれる魔物となった人間のみなのだ……。

 秀久達はゲームを進めるのを表とし、裏では『ディスマター』となった人間を見つけ出し、このゲームから追放すること、事件を解決することをしている。

 ――彼にとってこのゲームは人助けにしか感じていない。

 彼がゲームを進める理由…それはこのゲームの開発者を見つけ出す為なのだ。



「始まる場所は必ず元居た場所なんだな……」

「『マジシャンズアバター』じゃなくて『ノーマルアバター』だからそうみたいだね」

 【マジシャンズ・オンライン】…つまりアナザーワールドでは『マジシャンズアバター』と『ノーマルアバター』が自分達として使用される。

 この二つは同じアバターだが役割は異なっている。

 『マジシャンズアバター』とは自分達の魔法使いとなった姿を映し出しており、使用できるのはコミュニティ、サークル、オンライン広場、ゲームプレイ時の場所以外となっている。

 『ノーマルアバター』はその逆となっていて、主に交流する時に使用するゲームの世界での自分だ。

 この場合、スタート時となる為、彼らの姿は『ノーマルアバター』となっている。


 『アバター』は持ち主のイメージにより形が現れる。しかしゲームの原則的として必ず獣を取り入れた姿では無くてはならない。

 秀久の『ノーマルアバター』は黒い軍服を基調とし、赤いYシャツに毛皮のブーツ、そして赤いマフラーを巻いたクールな印象を持たせる姿だ。

 しかし、獣を取り入れるルールの為顔や手足は毛、尻尾が生えており、黒色に近い狼の姿をしている。

 勿論、人間型なので身長は同じで剣を背中に背負っている。

「あー…やっぱ慣れねえなあ…動物の姿は」

「ふふっ…。ヒデくん可愛い♪」

「うるせえ……」

 つぐみの『ノーマルアバター』は[歌姫]をイメージとされた姿となっている。

 長い金髪となったつぐみの姿にうさぎの耳と尻尾が生えており、頭にはティアラが乗せられている。

 しかし美しいというより先に可愛いと言ってしまうのは彼女の仕草が清楚だからだろう。

「確かに姫だな」

「えへへ…」

 頬を撫でてみると毛がくすぐったいのか目を細め満足げに微笑む。

 スタート時に誰も居ないから良いものの、もしオンライン広場ならば殺されているかもしれない。人が特に集中している場所では殺気や嫉妬が分かりにくく、そして多いのだ。


「じゃ、行こうぜ犯人探しへ」

「うん」

 秀久は肩を守っているプロテクター部分につぐみを乗せると扉を開き『情報室』から出る。

 スタート時の地点は安全ではあるが、外へ出れば其処は既に戦場だ。

 オンライン広場やサークルなどで無い場所からスタートした時は外は常に戦場と考えた方が良いだろう。

「いちいち相手すんのも面倒だ。つぐみ、魔法使うぜ?」

「え?魔法は確か出来ない筈じゃ……あ、移動魔法だね?」

「ああ。目的場所がオンライン広場ならMPは必要無いからな」

 秀久は魔物が出て来ないことを確認するとつぐみに魔法を使って良いか問いかける。

 首を傾げていたが、直ぐに何も魔法か理解したつぐみは了承し、秀久は頷きながら赤い魔法陣を展開し、操作するように自分達を包み込む。

 包み込んだ魔法陣は一瞬にしてその場から姿を消し、ワープを開始した。

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