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27―鬼ごっこ♪

秀「ん?ちょっと待て。番外編はどうした」



え?あれはあれで終わりだよ?


秀「続かないのかよ!?騙すなああ」



『待てやコラァアアア!』

『潰す潰す潰す潰す潰す!』

『死すら生ぬるいわ!』

『『ぎゃあああ!』』

『鬼怖いよー!』


 というわけで鬼ごっこは開始され、僅か一分のうちに三ペアの男女、女子ペアが捕まっていた。

 というのも、嫉妬に狂う彼らは恐ろしく化け物染みた運動神経で地の果てまで追いかけてくるのだ。

 その顔がなんともまあ怖いことだろう。中には女子だけを追いかけ回す変態もいるがほんとに怖い。

 軽いトラウマを覚えそうな印象を与える鬼達はもはや殺気に近いものを振りまきながらターゲットを追いかけ回す。

 もう、逃走中の方がどれ程良いだろうか?ハンターもびっくりなスピード、ターゲットもびっくりな威圧感。

 何時もは返り討ちに合わせる人材でもペアのことを考えると流石に逃げるしかない。

『なんでお前らばかり!』

『畜生畜生畜生畜生!』

『ちょっと待って!それ凶ぐふ!?』

『いやああ!剛ぃいぃいい!!』

 ……また一人捕まったようだ。どうやら男女ペアであり、男だけは狙っていいルールにより男は鬼(二十人)によってボロボロの雑巾より酷い状態にされてしまった。

 ちなみに負傷したペアは保健室、または近くにいるナース帽子を被った生徒に会えば治療してもらえるのだ。

 一部の委員会は不参加といってはいたが生徒会により撤廃。難なくイベントに参加を余儀なくされ、逃げ回ってるか追いかけ回しているかである。

 当然、あのペアも………。



『逃げんなあ!!』

『大人しく捕まれ!』

「ふざけんなっての!捕まったら死だろうが!」

「みゅ~!?」

 吉沢秀久は左だけがくせ毛のある茶髪を靡かせながら先ほど捕まった男女ペアの倍の人数から壁を利用し逃走している。

 理由は彼がそういうデフォであることと、ペアがみんなのアイドル☆雨宮つぐみだからだ。つぐみは長い髪を押さえながら秀久に引っ張られ、宙を浮いている。

「くそぉ!生徒会の野郎…」

「ヒデくん右!」

「え?うおっ!?」

『『チッ!』』

 軽く舌打ちをしているとつぐみから慌てるような声がする。

 彼女が指している指の方向を向いた途端ガラスから生徒(鬼)が現れ、すれすれで彼らの拳と跳び蹴りを避ける。

「ガラスからってありかよー!?」

「ヒデくん左右から!」

「!?どわっ!」

 文句を垂れている暇はないらしい。つぐみの指示で秀久は次々と繰り出される奇襲をかわし、空き教室へと飛び移った。

「ヒデくん!上から!」

「っ!…くそ…こうなりゃ…」

「きゃ――」


『『吉沢ああ!?』』

『居ない!?』

『窓が開いている…飛び降りたんだ!』

 秀久達が教室に消えた数秒後に扉が開かれずかずかと入ってくる鬼達。が、秀久達は教室に居らず、すぐさま下の階へと去って行く…殺気を全開にしながら……。


「ふぅ…行ったみたいだな」

「…………」

「しばらく隠れるしかないな…こりゃ」

「ヒデくん」

「何だ?今は出られないぞ?」

「……はぅぅ」

 空き教室に置かれている教師用の教卓。大きさは秀久を隠せる程の面積だが一人が限界だ。

 状況が状況なためだが、一緒に居るつぐみは女性…つまり異性だ。

 しかも想い人と密着しているため鼓動の高鳴りは倍…いやピークにも達する。

 一方の秀久は周りを警戒しているが龍星達に言われていたことが頭に蘇り一瞬にして頬が熱くなる。


(…こ、告白するべきなのか?…いやでも場所とかシチュエーションとかあるし……)


 善は急げ。実行はしたいものの大丈夫なのか、もし嫌われたらといらない考えがふつふつと湧き出し、黙っていることしか出来ていない。

「……つ、つぐみ」

「ひゃい!?」

「って…大丈夫か!?顔が真っ赤だぞ?」

「あ、これは…そうじゃなくて…」

「?」

 思い切って話しかけてみるとつぐみはびくりと体を跳ねらせ焦っているような表情を浮かべる。

 理由がわかるわけもない鈍感な秀久が首を傾げていると廊下から学園指定の靴から出る音が響く。

「「…!」」

 その音は次第に近くなっていき、二人は見つかったかと口元を押さえながら押し黙った。

 縮まっていく距離に秀久はいつでも逃げられるように体に力を入れる。

「ヒデくん…」

「………大丈夫だ」

 きゅっとブレザーの端を掴み不安そうな表情を見せるつぐみに秀久は優しく頭を撫で落ち着かせる。

 その間にも靴音は既に教室の扉付近を歩いている。そして一度静寂が訪れ、ガラッと開かれた音が二人の耳に伝わった。


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