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1―学園生活

※つぐみのみゅが多くなりますが御了承ください

「…もぅ…。なんで今日は早いの?」

「……えっとー予知夢で…深紅が『明日は早く起きた方がええで』って言ってたから」

「それは予知夢関係ないよ!?絶対昨日言われたことを繰り返し再読しただけだよね?」

 支度を終えた秀久はつぐみと歩道を渡る。と言っても車は空を走っている為心配はなく、“ランニングロード”と呼ばれるローラースケートを身に付け、道を走っている

 今日も幼馴染みのツッコミが炸裂した所で角を曲がると巨大な本当に巨大な学園が見えてくる

「いつもサンキューなつぐみ」

「もう日課だから心配ないよ?」

「そうか」

 苦笑いをしつつこれからは早く起きようと心に決める。毎日毎日つぐみに来てもらうのは悪く申し訳ないからだ

 当のつぐみは♪でも聞こえてくるような音色で歌を口ずさんでいた

「相変わらず歌上手いな」

「うん。昔ね、お母さんと良く歌ってたから」

「……母さんか」

 懐かしい言葉を聞いたかのように軽く目を細める。つぐみはそんな彼を見て首を傾げていた

「でもさ、つぐみが歌ってるとなんだか歌が上手い小学いたたたたたたたたたたっ!!?」

「ちっちゃくないもん!」

「誰も言ってな…うわっ!ピコハンは…!?」

 ――ナイスガツン!

 本日二度目の成敗により秀久は地に沈んだ

 つぐみはむすっと頬を膨らますとピコハンをしまい秀久を置いて行ってしまった


「………………」

「「!?うわ…誰だこいつ」」




  ☆





 教室の扉が開き、真っ直ぐ抜けるとパソコンではなくモニターを操作する生徒や科学的魔法を使って空を飛び回る者、女子にいたずらする者やそれを成敗している者も居る

 此処…王立新等学園は近未来システムのカリキュラムを取り入れた学園で一クラスの人数も多ければ教室もかなり広いのだ

「おはよう♪」

「おはようつぐみ」

「…みゅ!ヒデくんはもう挨拶したよ!」

「なんか癒されたいから…」

「え…どういうこと?」

 きょとんと首を傾げるつぐみと頭を撫でる秀久。そんな二人の元へ歩いてくる影が二つ…。

 一人はつぐみの真後ろに気づかれないように回ると彼女の胸を鷲津かんだ

「ひゃああ!?」

「今日も大きいで。つぐみの胸」

「深紅ちゃん…!?」

 彼女の胸を揉む張本人は神崎深紅と呼ばれ二人とは長くからの付き合いだ

 京都弁が特徴的で水色のロングヘアーに綺麗な緑の瞳が輝いている

「深紅ちゃん!やめてよ~」

「残念やな。しかし羨ましいなあ…これが秀久が独り占めしてるんやな~」

「…!?お前何言ってんだ!?」

 いきなりの爆弾発言に秀久は顔を真っ赤にさせる。彼はこういったことに弱く免疫が低い

 尚且つ、つぐみを見てあたふたしている辺り彼は……

 ちなみに現在進行形で鼻から赤い液体がとめどなく流れている

「秀久…とりあえず鼻血を止めよう。つぐみが慌てている」

「……わかってるよーー」

「ヒデくん…大丈夫?」

「…ん。サンキュー」

 秀久はつぐみからティッシュを貰うと古典的な方法だが鼻へティッシュを詰める

 深紅達はそんな彼を見て爆笑していたが目を細めるとすぐに呆れた目つきへと変わる

「先輩から聞いたで。昨日…また逃がしたんやな」

「!?…いや、だって…」

「だってもないやろ?人の命が関わっているんや…わかってるわな?」

「わかってるよ…。」

 渋い表情を露わにしながらも秀久は一番後ろの自席へと座る。それに伴い他の皆も彼の近くにある自席へと戻っていく


「シュウくん…切なげな瞳やったな」

「うん……。ヒデくん…責任感が人一倍だから」

 二人は複雑な笑みを浮かべ授業の準備に取りかかる。

 秀久はモニターを起動させた後、すっといつものように空を眺めた。と、机に影が映り、ゆっくりと顔を上げると…

「よっ。調子が良く無いみたいだな」

「………カズか。別に…」

「そうか?そうは見えないけどな」

「…うるせえ」

 秀久は親友に軽く拳を打ち出すが、彼は手のひらで受け止め、軽く口の端を上げた。まるで秀久の気持ちが分かるかのように…

「なるほどな。シュウ…お前またやっちまったんだな」

「うるせえな…カズには負けてないし」

 親友の“カズ”と呼ばれる男性は彼の言葉に目を細める。同時に秀久も

「ほー喧嘩売ってんだな。じゃあ勝負だ…」

「あ?望む所だ」

 カズの一言で秀久は勝負を受けて立つことに。二人はデスクを引っ付けると椅子にどっかりと座り、ブレザーを投げ捨てる

 ネクタイを緩め、Yシャツの袖をグッと折ると両者は片手を机に置く

 今から始まることにクラスメイト達は彼らの元へ集まり興味深そうな視線で眺める

『また始まるな』

『今の所98対97でシュウがリードしてるけどな』

『よし!じゃあ賭けようぜ…俺はシュウだ』

『あたしは千原くんかな』

『ほんと、良くやるよなあいつら』

「井上!ゴングだ!ゴング!」

『はいはい…』

 二人はお互いの拳をがっちりと掴み合うとニヤリと笑う。ぐぐっと既に力が入っており、同時に空いた片手はデスクの端を掴み、ギシッと頑丈なデスクが軋む音がした

 互いに睨み合うと沈黙が起き、静かな気配に包まれる

 ゴクンと唾を飲み込み、金属のトンカチがカーンと始めの合図を告げた

「「おりゃあああぁああああぁあああ!!!」」

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