9―真っ赤な魔法使い
天誅!
・マジックバトルルール
1・魔物でなく、仲間で無い魔法使いや魔法使い魔物と戦闘する場合、人数は相手と平等にしなくてはいけない
※四人と一人ならば、四人の誰か一人が代表として戦う
2・戦闘が約束された時、場所は現実の現在地にイメージされ、変わる。
3・他者の介入は認められず、先にHPがなくなった者の負けである
4・戦闘で使用可能なのは自分の魔法呪文、武器、素手などであり、周りの物を利用してはならない。
5・魔法を使用しMPが0になった場合、一度だけポーションが出現し、使用可能となる
6・属性変更は認められず、自分の属性のみで戦わないといけない
7・回復魔法は使用可能であるが、使えるのは三回まで
8・敗北した者はレベルを全て奪われ相手にその分だけ経験値を与え、ゲーム参加を認められない
8※だが本当は、ゲームに敗北した者は存在を消され、現実世界から消滅してしまう。
9・戦闘する場合、アバターは必ずマジシャンアバターとなる
「「マジックチェンジ!」」
輪に入った二人は同時に叫ぶと、秀久には赤い魔法陣が
代には黒い魔法陣が出現し二人をくぐり抜けていく。
派手に演出をモットーにしているゲーム開発者により、秀久は火炎に包まれると、火柱が立ち上げ一瞬にして綺麗に弾け飛ぶ。
腰にマントを付けた赤い魔法使いというよりヒーローのようなアバターに変わった。属性と龍を旋律にイメージされ、黒いスーツ。それが彼のアバターだ。
【ヨシザワ・ヒデヒサ/フレイム・ドラン】
属性‥赤/火
ジョブ‥魔法剣士/接近型
LV35
「随分贅沢なアバターじゃん」
「あんたは随分不細工なアバターなんだな」
「‥っ‥!」
黒い鎌を持った代のアバター姿は骸骨をイメージされたものであり、怒りを表しているのか瞳が赤く光っている。
秀久は代を挑発した後、自分のマジックポイントを確認した。
「‥‥‥」
問題は無い。ならば思う存分戦うだけだと代を見据えた。
HPはお互い必ず100。
後は技術、レベルや攻撃力そして技で勝負は決まる。
「いくじゃん!」
「‥‥」
代は黒い魔法陣を展開し魔力を体内に吸収した。
それに応じてマジックポイントも減る。レベルが高ければ
マジックポイントは高くなる。代の元のマジックポイントは100だ。
代 MP 100(減少数50)
「食らうじゃん!【足狩り!!(キラー・フット!)】」
「‥よっと」
「なっ!」
マジックポイントを減らし代は技魔法を発動したが、秀久の足を狙って放たれた白い刃は簡単に足で弾かれた。
驚いている暇は無く、秀久は一気に代に詰め寄ると軽く飛び上がり回し蹴りを腹部に叩きつけた。
「ぐふっ‥‥!」
「おまけだっ!」
「がっ!」 腹部に叩きつけた足を戻し、素早く同じ足で首もとを蹴りつけ地面に叩きつける。
代は骨の歯をカチカチさせながら痛みに呻いた。
「ばーか。魔法を簡単に使ってんじゃねえよ。ガキか?」
「てめえ!」
「っと!危なっ」
「死ね!死ね!」
代‥いやアバター名はダーク・ボーンか。
ボーンは怒り任せに鎌をふるい秀久の首を狙うが、秀久は体をうねりそれをひょいっと除ける。
「おらっ!」
「ぐはっ!」
体をうねらせそのまま飛び上がり、かかとでボーンの顔面を蹴り飛ばした。
ガガガッ!と火花が飛び散りボーンは車に衝突する。
代 HP 68
「‥やっぱ蹴りだけじゃ減らねえか。」
秀久は距離を離し、魔法陣を展開。魔力を使っていない為MPは減らず、ボーンと同じように彼も自身の武器を取り出す。
「よっと。」
「ぐ‥‥。!!‥あれは‥レアアバターだけが持っている…剣…!?」
「ん?ああ格好いいだろ?結構長剣なんだけどな…。名前は【シンリュウ】だったかな」
曖昧なのか剣を持ったままポリポリと頭を掻きながら首を傾げる。
それを見逃さなかったボーンは鎌で彼に切りかかった。
「隙ありじゃん!」
「…………」
「な!」
秀久は双長剣シンリュウを片方突き出し柄の部分で彼の鎌を止めた。
「おせえよ…」
「…!」
「……俺に攻撃したいんならもっと早くなれよ」
「っがぁああ!」
鎌を弾き、そのまま左手に持っていたシンリュウを突き出しボーンの腹を突き刺す。
痛みに悶えるボーンの頭部に頭突きを打ち込み、秀久は左手のシンリュウで彼のローブごと体を斜めに切り裂いた。
「ぎゃぁ‥ぁああ!」
「はっ!」
「ぐえ!」
足を打ち上げ、彼の手を蹴り鎌を弾き飛ばす。
拳を避け、再び回し蹴りを顔面に打ち込み、建物へと叩きつけた。
代 HP 23
「‥終わりだな」
マントが炎風に靡き、彼の真下に魔法陣が展開される。
魔法陣から放出される魔力を体内へと吸収し500あったMPが減少する。
秀久 MP 500(減少数200)
「あ!‥ヒデくん終わらせる気だ‥」
「え?」
「ヒデくんの決め手はいつも決まってあの技なんだよ♪」
「‥あの技?‥きゃ!」
つぐみの言葉に首を傾げていると秀久の魔力がリング越しからビリビリと体に伝わってくる。
思わず目を見開き、皐月は彼をまじまじと見つめた。
「ハァアアア‥」
「‥なんだこの魔力は!?」
「言っただろ。俺に攻撃したいんなら早くなれよってな‥‥ハッ!」
足に赤いオーラと火炎を纏い、ボーンに向かってダッシュする。
途中に体を飛び跳ね月面返りをし、足を着けたと同時に後ろへと飛び、爆転をする。
代や皐月が翻弄する中、つぐみだけはウキウキとしており、秀久は爆転と同時に空中へと高く飛ぶ。
体をくねらせ飛び蹴りの体制を取り、オーラと火炎が足から伝わって彼を包み込んだ。
「でやぁあ!」
「ぬぁああああ!!!」
加速した秀久は隕石のようにボーンを貫き、地面へと着地した。
ボーンは火炎に包まれると体内から伝わるように起爆を起こした。
代 HP 0
「二度と彼女やつぐみ、女性に手を出すな」
「…俺が消えるなんて…有り得ないじゃん‥」
【GAME OVER】
彼にその文字がでかでかと浮かび上がり、魔法陣の中へと粒子となって消え去った。
敗北した者は消え‥死ぬ運命なのだから