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此岸  作者: 満腹太
4/16

3

二郎とイリスがパーティーを組んで数日が経った。


2人の戦闘スタイルは、イリスが構える前の敵に向かって魔法を放ち奇襲する。


二郎が接敵し刀で倒す。2人の攻撃力が高いので戦闘開始から3分以上戦った事が無かった。


この地域の魔物では2人は苦戦すること無く戦えた。


そんなある日


「ねえ、ジロウ。私たちもCランクになったからそろそろ違う町に行かない?」


2人で夕食を食べている時にイリスから二郎に提案された。


「ん?いいけど、どこに行くんだ?」


「うん、聖都テーベに行きたいんだけど。」


イリスがもじもじしながら二郎に訪ねた。


「お、おお。大丈夫、テーベに行こうか。…どうやっていくの?」


イリスの可愛らしい仕草に二郎は思わず目をそらした。


「馬車で20日くらいかしら?途中でいくつかの村にも寄ると思うわ。それに、聖都には護衛の依頼が出てたわ。それに便乗すれば他の冒険者とも一緒で比較的安全に行けるしお金も稼げるわ。」


「馬車で20日、護衛任務ね。それいいね。んじゃあ、飯食べたら依頼を受けようか?」


「はい、受けましょう。」


イリスはにっこりと笑って二郎に返事をした。



「Cランクになると色々な以来があるなぁ。」


二郎はランクがCになり初めて依頼掲示板を見た。


「そうですね。Dランクが初心者、Cランクが1人前、Bがベテラン、Aが一流、Sは超一流で、SSは生きる伝説ですからね。」


イリスがニコニコしながら説明した。


「で、っと。聖都までに護衛で出発が早いのは…、あった。出発は明日の朝。3パーティーの募集か。」


二郎は依頼書を壁から剥がすとイリスに見せた。


「はい、これでいいと思います。ここから聖都までは2、3パーティーで行くのが普通みたいですね。」


イリスが他の依頼書を見ながら答えた。


「じゃあ、これでいいか。」


二郎とイリスは依頼書を手に受付に向かった。


「これ受けられますか?」


二郎は受付の男性に声をかけた。


「はい、大丈夫ですよ。依頼書を剥がして依頼人の所に行けば大丈夫です。受付に来なくても受けられますから。」


「あ、そうなんですか。」


「はい、3パーティーの募集なら依頼書が3枚貼られていますから。」


「そうですか、ありがとうございます。」


二郎は男性に礼を言って受付から離れた。


「そんなシステムなんて知らなかったな。」


「そうですか?大抵の冒険者は登録後直ぐにある程度の経験者とパーティーを組んで経験を積むものなんですよ?」


「え?そうなの?」


「そうですよ」


二郎とイリスは明日の朝が早い事もありそのまま別れた。




いつも通りギルドの前で待ち合わせをし、依頼者の元へ2人は向かった。


ギルドから近い南門ではなく、商人の出入りが多い西門にやってきた。


「えーっと、依頼者はナジラさんか。」


二郎は西門のあたりで周囲を見回すと、門から少し離れた場所に大型の馬車が2台あることに気が付いた。


「あ、あれか。」


2人は馬車の元に向かった。


「すみません。こちらはナジラさんの馬車ですか?」


二郎は馬車の横にいた商人風な中年男性に声をかけた。


「はい、そうですよ。冒険者の方ですか?」


「はい、よろしくお願いします。」


二郎は依頼書を見せてた。


「はい、これで全員ですね。それでは他のパーティーの方はあちらにいますの行きしょう。」


ナジラが馬車の後方に行くのを二郎とイリスは追いかけた。


そこには3人の女性と1人の男がいた。


「では、全員そろったので説明します。馬車は2台。それぞれの馬車には荷物が載っています。それを聖都まで護衛してください。途中の村では必ず宿泊しますので、そのつもりでお願いします。報酬は各パーティーに2万エレです。」


冒険者全員が頷いた。


「それでは自己紹介といきましょか。私はナジラ・ナーン。商人です。それとうちの者が馬車の従者をします。」


50歳くらいの頭の薄い小太りの男性がそばにいた2人に目線で合図をすると2人の男は頭を下げた。


「俺の名前はオジ・オインゴ。ランクはCで見ての通り剣士だ。『西のそよ風』のリーダーだ。」


20歳くらいの金髪の男は金属の軽鎧を付け盾と剣を装備していた。


「私はランクCのエリーナ・カット。弓を使うわ。『西のそよ風』所属。」


弓と矢を背負った彼女は動きやすそうな鎧を着たポニーテールをした知的な女性だった。


二郎はつい彼女の胸に視線が行ってしまった。鎧に押しつぶされているが確かに大きな果実が2つそこにあった。


「私はアルミブレッディアーノンロロカリーニフォンデン・ヨーロン。アルミって呼んで。回復と補助の魔法を使うわ。2人と同じ『西のそよ風』よ。」


身長と同じ大きさの杖をもちローブを着ているが、そのローブを押し上げるように彼女の胸は強調されていた。


「私はマリア・フォーベン。ランクはAだ。所属はない。」


青い鎧を着た女性は兜まで青かった。2本の剣を腰に刺していた。


「「「「「おおおおおーー!!」」」」」


二郎を除く西のそよ風の3人とイリス、ナジラが歓声を上げた。


「凄いです。高ランカーの人初めて見ました!」


エリーナが興奮気味にアリアに言った。


「なに、討伐数が多いだけだ。気にするな。」


マリアはエリーナの言葉を返すとイリスに向かって自己紹介をしろと視線を向けた。


「わ、私はイリス・パドラ。ランクCです。攻撃魔法を使います。『ボクチャソース』所属。」


イリスは小さな杖を持ち黒いローブを着ていた。身長が150センチほど。青い髪の毛を後ろで束ねている。


「俺はジロウ・ヤマモト。侍だ。『ボクチャソース』のリーダーだ。ランクはC。」


ジロウは黒い甲冑姿でマリアに顔を向けた。


「アッシュとの問題を助けていただいてありがとうございます。あの時は冒険者になりたてだったので本当に助かりました。」


ジロウは頭を下げ礼を言った。


「気にするな。私はあの誘い方が許せなかっただけだ。」


マリアは真面目な顔で答えた。


「それでは馬車に乗り込みましょう。前の馬車に『西のそよ風』の3人でお願いします。」


ナジラはそういうと前の馬車に乗り込んだ。


それぞれが馬車に乗り込んだのを従者が確認すると馬車は静かに動き出した。


暫く街道沿いに進んだが、二郎に思わぬことが起きた。


馬車に酔ったのと酷い振動で腰や尻が痛かった。


「な、何たる失態か…」


「はいはい、強がらないでください。横になってれば大丈夫ですよ?」


イリスが心配した素振りも見せずに言った。


「ま、魔物だーー!」


その時、先頭の馬車から叫び声が聞こえた。


マリアが風の様に馬車を出て行きイリスもその後を追った。


二郎は年よりのように細かく震えながらゆっくりと馬車を降りた。


二郎が見たのは戦闘終了後だった。


気合いで我慢して戦闘をしようとした所で戦闘終了。


二郎は一気に気合いが抜けるとその場にうずくまり嘔吐した。



夕暮れになり始めた時に村に到着した。


幸いなことに魔物に襲われたのは最初の1回だけだった。


「やっと村に着きましたね。」


イリスは二郎に話しかけた。


「…」


返事がないただの屍のようだ。


「大丈夫か?今夜はゆっくり休め。」


マリアの言葉に二郎は青い顔を越え真っ白の顔で少しだけ頷いた。


「ジロウさん、動けますか?」


イリスが二郎の顔を覗き込んで声を掛けた。


「…」


二郎の目は死んだような色をしていた。


「無理みたいですね。」


「どうかしましたか?」


馬車の外からナジラが声をかけた。


「あ、ナジラさん。実はジロウさんが…」


ナジラは馬車を覗き込んで二郎の状態を確認した。


「あ、なるほど。彼には申し訳ないですが、これは治しようがありませんね。このまま放っておいて時間が経つのを待つしかありませんね。」


「そうですか。」


「明日の朝まで自由行動です。宿は取ってありますのでお使いください。私たちはここで商売をします。よかったら買ってください。」


そう言うとナジラは去って行った。


ナジラの後を追うようにマリアも馬車から下りた。


「じゃあ、ジロウさん。私行きますね。」


イリスも馬車を去って行った。


一人残された二郎は寂しさよりも気持ち悪さで何も考えることが出来なかった。



翌日


二郎が気が付くと馬車が動いていた。


「あれ?もう出発?」


「あ、起きたんですか。」


二郎が視線を上げるとイリスが座っていた。


「うん、もう、大丈夫。」


二郎は起き上がりイリスに答えた。


「それは良かった。昨日のイリスは心配し過ぎて大変だったぞ。」


イリスの近くに座っていたマリアが答えた。


「い、言わないでください!」


イリスが顔を真っ赤にしながらマリアの口を押さえようとした。


「はっはっは、信頼できる仲間がいるのは良い事だ。」


マリアは豪快に笑った。


「もう、秘密だっていったじゃないですか!」


イリスが拗ねた表情でマリアを睨んだ。


「で、状況は?」


二郎が真面目な表情で聞いた。


「えっと、村を出てから魔物との戦闘はありません。次の村には5日後に到着予定です。」


「そうか。」


二郎は頷き答えた。


「はい、暫くは暇になりますね。よかったらジロウさんの事詳しく教えてくれませんか?」


「うむ、それは面白そうだ。」


イリスの提案にマリアが乗った。


「えー、面白くないよ。それに話せる事と話せない事があるよ?」


「いいですよ、じゃあ、質問です。ジロウさんの出身とドリートまでの経緯を教えてください。」


イリスは手を上げて二郎に質問した。


「えーっと、出身は日本。ドリートまでは歩いて行った。」


「ちょ、少し簡潔すぎですよ。もっと詳しく御願しますよ。」


「うーん、そうだな…」


二郎は考えた。


「いや、これ以上は言えないな。」


流石に異世界から来てドラゴンに変身してドリートまで来たと言えば正気か疑われると二郎はかんがえた。


「えー、いいじゃないですか。」


「流石にこれ以上は俺の秘密を言うことになるからな。イリスは自分の秘密を人に言えるかい?」


「う、い、言えないです。」


「だろ?俺も言えないんだ。そんな事より、随分ヒマだな。」


「護衛の依頼は初めてか?護衛はこんなモンだ。」


マリアが口を開いた。


「最大警戒とは言わないが、すぐに対応できる準備だけはしておくんだ。」


マリアは二郎を見て言った。


それから次の村までは散発的に魔物と遭遇したが、ワイルドドッグとゴブリンだったので楽に護衛が出来た。



村に着いたのは昼過ぎだった。


「やっと到着か。長かったな。」


二郎が伸びをしながら馬車から下りた。


「うーん、それにしても静かな村ね。」


二郎に続いて降りてきたイリスが周囲を見て感想を言った。


「…どうやら賊がでるみたいだな。周りを見てみろ、若い女はもちろん、男も年よりしかいない。女は連れ去られ、男は抵抗したために殺されたか。」


マリアは周囲を見て状況を判断した。


「お疲れ様です。今日はここで休みます。出発は明日の朝です。村長宅に部屋を借りていますので。」


ナジラはそれだけ言うとその場を去った。


3人は村長の家で早めの就寝をした。



深夜


早く寝すぎた二郎は目が覚めてしまった。


仕方なしに周囲を散策するとナジラの馬車に怪しい男がいた。


二郎は物影から様子を見ていると、馬車を盗もうとしているながわかった。


二郎はヤバいと思いながらも静かに馬車に乗り込んだ。



揺れれること1時間、二郎は馬車の後部から前方を覗くと森の中の1件の家が見えた。


二郎は静かに馬車から飛び降りると闇に紛れて森の中に入って行った。


(山賊のアジトか…。そういえば、マリアが女が連れ去られたとか言ってたな。…俺が格好良く助ければムフフな展開があるかも!)


二郎は邪な気持ちで人質の救出に向かった。


家の入口に1人、家の周囲を回っているのが1人。


外に見えるのは2人だけだった。


二郎は周囲を見回っている男の背後から近づくと口を抑え声が出ないようにしてから刀で胸を後ろから突きさした。


そのまま男を森まで引きずり死体を隠した。


入口の見張りをしている男が巡回をしている男が来ないことに異変を感じ家の中に入ろうと後ろを向いた瞬間、二郎が投げた脇差が男の後頭部に突き刺さった。


男は声を上げる間もなく絶命した。


二郎は倒れた男から脇差を回収するとドアを少し開け中を覗いた。


中には2人の男が酒を飲んでいた。


二郎は正面からの侵入を諦め、足もとの死体を担ぎ森に一旦入った。


死体を隠し、建物の裏に回るが侵入出来そうな窓はすべて塞がれていた。


仕方なしに正面入り口に戻ると呼吸を整え刀を構えて勢いよくドアを開けた。


驚いた表情のまま1人を斬り伏せた。


「てめぇ!ナニモンだ!」


山賊が大声で叫んだ。


二郎は無言のまま山賊に向って上段から振り下ろした。


山賊は持っていた剣で防ごうと構えたが二郎の刀に剣ごと切られその命の炎が消えた。


ドタドタと奥の扉から4人の山賊が現れた。


それぞれが二郎を威嚇する言葉を言っていたが、二郎の耳には入らなかった。


二郎は脇差を抜き二刀の構えを取った。


山賊が剣で襲いかかってきたが、二郎は脇差で弾き刀で山賊の首を切り落とした。


二郎の背後から静かに襲ってきた山賊に二郎は振り向かずに脇差で山賊の喉を突き刺した。


(残り2人!)


山賊2人は左右に分かれ、攻撃してきた。


二郎は右の山賊の剣を弾きながら左の山賊の剣を避けた。


連携の取れた攻撃に通常なら30秒で片付いていたが、相手は勇猛果敢な武者。


連戦連勝、戦に負ける事はあっても闘いに負ける事とは1度としてなかった伝説の人物。


山賊の相手は悪すぎた。


右の山賊の剣を何度か弾いたが、ついに山賊の剣が折れてしまった。


「なんだ!?」


折れたのでは無く、二郎は剣を切ったのだ。


弾いていたのは剣を切るのに失敗していたからだった。


剣を失った山賊の隙を突き左の山賊の剣を脇差で弾き刀で切り伏せた。


武器を失った山賊は逃げようと後ろを向いた瞬間に二郎に切られた。


「フー、フー、フー。」


二郎は初めて人を殺した。しかし、その胸に罪悪感はなかった。


呼吸を整えた二郎は奥の部屋に向かった。


部屋を1つずつ確認する。


一番奥の部屋をそっと開けると、生臭い匂いがした。


中を覗くと床に座る4人の女性と横たわる2人の女性がいた。


それぞれが全裸で何度も乱暴された形跡があった。


この部屋が最後に調査した部屋だったので山賊がいないと判ると大きく息を吐きドアを開けた。


「大丈夫か!助けにい!!」


ドア越しに二郎の体を槍が貫いていた。


「がははは、油断したなぁ。よくも子分を殺しやがって!」


倒れた二郎を何度も蹴る山賊。その大きさは2メートルを超えていた。


山賊は気を失い倒れた二郎の首を掴み窓から外に放り投げた。


「グハッ!」


地面に落下した二郎はその衝撃で目が覚めた。


窓から山賊が二郎を見てにやにやしていた。


そして山賊は二郎に向かってつばを吐くと中に入って行った。


(ああ、超いてぇ。)


地面から窓の高さは2メートル。普通では届かない高さだった。


(あの高さ、人狼なら行けるかな?)


そう考えた二郎の体が光った。


輝きが納まるとそこには2メートル以上あるワーウルフがたっていた。


二郎が起き上がり窓から中を覗くと山賊の後ろ姿が窓際に見えた。


二郎は山賊の頭を掴み外に引きずりだした。


「うお、な、なんだ!?魔、魔族?!」


山賊は二郎の巨体に恐怖の表情を浮かべた。


≪痛かった、痛かったぞ――!≫


二郎は叫ぶと山賊の喉に食らいついた。


悲鳴を上げることも出来ずに山賊は息絶えた。


≪よっしゃ―――、山賊の頭倒したぞ――!!≫


二郎が遠吠えを上げた。


二郎は姿を元の若武者に戻し、女性の元に向かった。


6人の女性は生きて入るがその姿は痛々しかった。


その目は虚ろで6人全員が心が壊れていた。


二郎が一応、事情を説明しナジラの馬車に6人を乗せると村に向かってゆっくりと進みだした。



村は篝火が焚かれて、尋常ではない雰囲気だった。


ナジラは盗まれた馬車と商品の心配をし、イリスは居なくなった二郎を心配した。


そして、森の中から聞こえた獣の遠吠え。


この村の付近に現れる魔物は主に虫型だった。その為、夜は比較的安全だった。


それが、森から尋常ではない威圧感と魔力を放つ魔物が現れ、咆哮と共に消えた。


アルミやイリスはその魔力で飛び起き、他の物はその咆哮で起き上がった。


西のそよ風とマリア、イリスは周囲を警戒していた。


その時、森から1台の馬車が現れた。


その馬車を操っていたのは二郎だった。


「ジロウさん、馬車を取り戻してくれたのですね。ありがとう、本当にありがとうございます。」


二郎に抱きつき頬ずりしながらナジラが礼を言った。


「ちょ、まって、離れて!お願いだから離れて!」


無理やりナジラと距離を取った。


「ナジラさん、馬車と一緒に女性も助けて来れました。」


「な、なんですと!それでは村長に教えてきます。」


ナジラが慌ただしく村長の元に向かった。


「ジロウさん、大丈夫ですか?」


イリスが二郎を心配した表情で訪ねた。


「ああ、なんとか。あ、失敗した。」


二郎は苦笑いしながら思い出したように言った。


「な、何が失敗したんですか?」


「いや、山賊なら宝でもあったんじゃないかなって?探すの忘れてた。」





「村の娘を助けて頂いて、本当にありがとう。」


二郎達が村を去り際に村長が感謝を述べた。


「気にしないでください。一応、山賊の頭みたいな大男は倒しましたが、まだ子分がいるかもしれません。十分にご注意を。」


二郎も村長に注意を促し村を去った。


「ジロウ、どうやって山賊の元に行ったんだ?」


マリアが二郎に訪ねた。


「ん、馬車が盗まれる所に遭遇して馬車に乗り込んだんだ。山賊の拠点の手前で降りて建物の外にいるのを静かに処分。その後は中で頑張った。」


二郎が胸を張った。


「ふむ。それではあの魔物の雄たけびを聞いたか?」


「魔物?雄たけび?」


二郎は腕を組んで考えた。


「はい、それに物凄い魔力でした。魔法使いだったら飛び起きるぐらいの凄さです。」


イリスが二郎に説明を加えた。


「いや、わかんないな。山賊の頭にはギリギリの勝負をしてたからな。周囲に気を配るなんて出来なかったよ。」


「そうか。」


マリアが腕を組んで考え込んだ。






キャンプ地で焚き火を囲みながら二郎は考えていた。


――魔物の雄たけび、俺の叫び。


――もし、変身後の姿で会話できないなら魔物の雄たけびは俺だろうな。


――考えても仕方がない。俺は俺の思った通りに動くさ。


二郎は周囲を見回すとナジラと従者2人、西のそよ風のオジがいた。


女性たちは泉で水浴び中…


「オジ。」


二郎は少し離れて座っているオジを見た。


「ああ、ジロウ。今日こそは、だな。」


オジは覚悟を決めた顔でうなずいた。


「ああ、道は険しく到達後は決して誇れるものではないだろう。人に後ろ指刺されるかも知れない。」


「覚悟の上だ。行くぞ!ジロウ!」


「おう!」


2人は立ち上がり泉のある森に向かって歩き出した。


「…覗きは止めなさい。嫌われますよ。」


ナジラは一応止めた。


しかし、2人はナジラの静止を聞かずに足音と気配を殺し森に入って行った。







「ま、魔物だー」


街道を進む馬車の前に魔物が現れた。


「いくぞ!」


「まって私も行きます。」


マリアが馬車を飛び降りイリスも続いた。


「う…あ…」


二郎は痛みの残る体を引きずりながら馬車から下りた。


二郎が先頭の馬車を見るとエリーナとアルミが下りている所だった。


魔物の数は4匹のキラーラビット。


ランクDが2人で倒せる魔物だった。


「オ…オジ…。生きて…るか?」


二郎は痛む体を引きずり先頭馬車を覗くとロープで逆さ釣にされたオジが目に入った。


(よかった、イリスもマリアも俺を殴るだけで気が晴れて。)


(二郎の怪我を見ると逆さ釣だけでよかったかも。)


2人はお互いの状況を見て自分の方がマシだと信じたかった。



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