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此岸  作者: 満腹太
11/16

10

二郎の予選での戦いは一方的だった。


試合開始と同時に相手の両手両足に弾丸を撃ち込み戦闘不能に追いやった。


魔法使いも同様に両手両足を打ち抜き倒した。


「それでは、ジロウの20人目に相手、出てこいや――!」


審判兼進行の男がハイテンションで叫んだ。


「うししし、そろそろワイの出番かな。」


舞台に上がったのは黒い肌のミノタウロスだった。


「おいおい、ジュールが出るぞ。」


「あの対戦相手死んだな。」


「救護班の準備したほうがいいんじゃないの?」


二郎の耳に聞こえたのはそんな声だった。


「それではジロウの20人目の挑戦だ!ジロウ対ジュールの試合!開始!」


二郎は試合開始と共にジュールの両手両足に弾を撃ち込んだ。


「ぐふふう、何かしたかいの?」


ジュールは半笑いで二郎を見た。


「んじゃあ、ワイの番かいな!」


ジュールは斧を振り上げ二郎に襲いかかった。


二郎は銃に弾を込めながらも横に飛びジュールの打ち下ろしの一撃を回避した。


二郎は横に飛びながらもジュールの膝、脇腹、に鉛弾を撃ち込むが出血は認められなかった。


「うししし、チョロチョロ逃げんなさいな。」


ジュールから距離を置いた二郎にジュールは駆け寄った。


斧を横に構え一気に振り払った。


弾を込めていた二郎は屈むことで斧を回避した。


「うしし、掛かったの!」


ジュールは前蹴りで二郎を蹴り倒すと斧を振り上げた。


「ック!マズイ!」


二郎は横に寝転がり斧を回避した。


「ぐふふ、捕まえたぞう。」


寝転がっていた二郎の足をジュールが捕まえると二郎の足を持ち上げた。


体が宙に浮いた二郎に地面が接近した。


「うししし、楽しいのう。」


二郎は足を掴まれた状態で何度も地面に叩きつけられた。


二郎の足は折れ、持っていた銃も背中の銃も手元から離れてしまった。


「ぐふふふう、そろそろいいかの?」


ジュールは二郎の顔を見ようと足を持ち上げた。


ジュールと二郎の目線が合った。


「うししし、まだ意識があったかい。しぶといの。」


「…」


二郎は小声で何か言っていた。


「ん?なんじゃい?聞こえんのう。」


ジュールは自分の鼻先に二郎を近付けた。


「…お前の負けだ!」


二郎はいつの間にか手に持っていた赤い細長い筒、着火済みのダイナマイトをジュールの鼻に押し込んだ。


「うが!うが!」


二郎を投げ捨て、鼻の奥に埋まったダイナマイトを取ろうとした瞬間。


大きな爆発音と共にジュールの鼻から煙が上がった。


「…」


ジュールは鼻から煙を出したまま仰向けに倒れた。


「…勝者ジロウ!5人目の決勝進出!!」


全身打撲で足を複雑骨折している二郎は意識を失った。





「知らない天…、ここどこだ?」


二郎は煉瓦造りの部屋で寝かされていた。


「うししし、起きたかいな。」


ベットの横にある椅子に座っていた金髪の頭頂部が禿げた中年男性が二郎に声をかけた。


「えっと?」


二郎は起き上がりベットの上に座った。


「うししし、あんた強いのう。ワシ久し振りに負けったよ。」


「????」


二郎はこの中年男性と何所で会ったか必死に思いだそうとしていた。


「あれ、ワシの事がわからんかい?ワシはジュールだの。ほら、黒いミノタウロスの。」


「ああ!なるほど、それで、ここはどこ?」


「うししし、ここは本戦出場者専用の個室かいの。闘技場内にあって試合会場まですぐじゃいの。食事は食堂に行けばタダで食えるぞい。」


「ふーん。」


「まあ、10年連続本戦出場していたワシが説明するの。本戦は明日の朝に開会式、初日は1回戦のみ。2日目は2回戦の準決勝と1回戦敗退者の2人ずつに分かれての団体戦。3日目に3位決定戦と決勝な。」


「なるほど…、本戦出場者は全員そろったの?」


「うししし。ワシが8人目の出場者じゃいの。」


「そうか、おめでとう。もう、ジュールとは戦いたくないな。」


「ワシもそうじゃい。あんな所に変なモン突っ込んで、もう2度とやりたくないの。さて、ワシは行くの。明日が楽しみかい。」


ジュールは椅子から立ち上がると部屋を出て行った。


窓の外から二郎を月明かりが照らしていた。





翌日


「さあ!やってきましたロンド武術大会!今年の本戦出場者の入場です!最初に現れたのはロンド軍の将軍、マークライです!」


闘技場の舞台に上がったのは豪華な鎧を着た片手剣を腰にさした男だった。


「次はロンド魔法隊の隊長、リンネ!」


濃紺のローブを纏った大きな杖を持った白髪の年齢不詳の美女が舞台に上がった。


「次は―、みなさんお待ちかね!遊撃隊隊長、アービンだ!」


緑の髪の背中に大剣を背負った美男子が舞台にあがった。


「次はー、アルムとガラムの兄弟だ!それぞれが勝ち昇った凄い兄弟だ!」


それぞれが片手剣と楯をもつ同じ顔の若者2人が舞台にあがった。


「次はー、古の武器で戦うのはジロウだ!」


カウボーイハットと背中と腰に銃をぶら下げている二郎が舞台にあがった。


「次は10年連続出場の快挙更新中のジュールだ!」


黒いミノタウロスが斧を掲げて舞台にあがった。


「最後は、自称貴族の嫡男。魔剣使いのビーケイだ!」


黄金の鎧を着たキザったらしい仕草をする男が舞台にあがった。


「それでは、ロンドの領主であらせられるビーワン様よりお言葉がございます。」


「あー…」


二郎はビーワンの言葉を聞いていなかった。


二郎の視線の先にいるリンネ。彼女に釘付けだった。


(あの服、あれが正しいのか?)


リンネのローブは左右に大きなスリットが入っていて動くたびに足元から太もも、腰までが丸見えだった。


(あれはノーパンだな…)


二郎はリンネのセクシーな腰元に釘付けだった。


「うしししし、ジロウ終ったぞい。」


リンネが歩く姿まで凝視していた二郎は領主の激励の話が終ったのが気が付かなかった。


「あ、ああ。で、次は?」


二郎はジュールを見上げながら聞いた。


「うししし、次はトーナメントのくじ引きの。ジロウと当たらん事をいのるかの。」


ジュールは大会関係者が持ってきた箱を見ながら言った。


それぞれの名前が呼ばれクジを引いた。


二郎もクジを引き、対戦相手が決まった。



1回戦


ロンド軍将軍マークライ 対 黒い狂牛ジュール


2回戦


遊撃隊隊長アービン 対 双子の剣士(弟)ガラム


3回戦


貴族の魔剣士ビーケイ 対  双子の剣士(兄)アムル


4回戦


魔法隊隊長リンネ 対 古代武器の使い手ジロウ



と、大空に魔法で名前が描かれた。



「俺の対戦相手は…、あのセクシー姉ちゃんか。」


二郎は将軍と雑談しているリンネを見た。


「うししし、ジロウ。あの女は強いぞい。それに見た目と通りの年齢じゃあぎゃ!!」


二郎と話をしていたジュールの眉間に投げナイフが刺さった。


「うしししし、女の年齢の話をするもんじゃないの。これじゃあ命がいくつあってもたらんねい。」


ジュールは眉間のナイフを取りながら苦笑いをしていた。


「それでは、1回戦を行います。他の選手は控え室までお願いします。」


そう言うと、マークライとジュール以外が舞台を降り控え室に向かった。


控え室には映像を映す魔道具が置かれていた。


その魔道具は空中に舞台の様子を立体的に移す物だった。


控え室に入った二郎は魔道具の映像に移された1回戦を食い入るように見入った。


1回戦は激しい試合だった。


一撃必殺のジュールの攻撃を軽々と避けマークライが攻撃する。


大きな傷を与えることは出来ないが、確実にジュールの動きが悪くなっていた。


ジュールはカウンターを狙うが、疲れが見えた攻撃ではマークライに届くことはなかった。


勝者 マークライ


2回戦


アービンとガラムは同じスタイルの剣士だった。


剣の実力はアービンが上だったが、魔法剣士として戦ったガラムが勝ち上がった。


勝者 ガラム



ここで昼食時間になった。


本戦出場者は1回戦敗退でも大会期間中は食事と個室が無料で提供されていた。


二郎は怪我を治療したジュールと共に食事の時間を楽しんだ。



3回戦


ビーケイとアムルの戦いは一方的だった。


アムルが唱える魔法はビーケイの黄金の鎧に阻まれ効果を見いだせなかった。


アムルは剣で攻撃するため接近しようとすると、ビーケイの剣から放たれた衝撃波でアムルは近づくこともできなかった。


一方的な戦いはアムルの心が折れることで終わった。


勝者 ビーケイ


4回戦


二郎は舞台の上で緊張していた。


目の前にいるのは妖艶な美女リンネ。


「それでは、4回戦!始め!」


審判が声を上げると、リンネは魔法の詠唱を始めた。


「…ウインドアロー!」


二郎に向かって繰り出される風の矢は二郎の左肩に刺さった。


「ッく!見えない攻撃!?」


二郎は出血する左肩を押さえながら周囲を警戒した。


「ウインドアロー!」


リンネは再び魔法を唱えた。


「!!見えた!」


二郎の目には透明だが、空気の濃度が違う矢が見え屈む事で回避した。


「なら、これはどうかしら?フレアバースト!」


二郎を中心に大きな爆発が起こった。


「フフフ、そのまま寝ていなさい。」


リンネは爆発の煙で二郎が倒れたと思っていた。


しかし、煙が晴れると二郎が立っていた。


「な!なんで!なんなの?」


二郎は驚いているリンネに走って近づき、タックルでリンネを舞台に倒すとその上に馬乗りになった。


「ククク、今度は俺の番だ!」


二郎は拳でリンネを殴りつけた。


「ッグ!ッガ!ッブ!」


何度も殴りつける二郎は何発かに一回は胸を揉んでいた。


痛みに堪えながらもリンネは無詠唱で二郎の後ろにフレアバーストを放った。


魔法の衝撃でリンネの上から飛ばされた二郎は地面に転がった。


「はぁ、はぁ、はぁ…よくも、よくも――!!!」


リンネは鼻血を流しながら二郎を睨みつけた。


ゆっくりと立ちあがろうとする二郎にリンネはウインドアローを何発も放った。


「ウインドアロー、ウインドアロー、ウインドアロー!フレアバースト!!」


無詠唱も含め100発以上のウインドアローと止めにフレアバーストを唱えたリンネは二郎を倒すのでは無く、明確な殺意で魔法を放っていた。


「ククク、これで終わりか?」


煙の中から聞こえた声にリンネは驚いた。


煙が晴れると、傷だらけの二郎が立っていた。


二郎はここで何度か死んでいた。神からもらった『外的要因で死なない』で復活を果たしたのだ。


「なら!・・・フレアリング!」


リンネが魔法を唱えると二郎の周りに炎の輪が発生し、二郎の両腕と両足を拘束した。


フレアリング、拷問用の魔法で使う事は禁止されている魔法だった。


「ッグ、ああああああああああああ!!!」


二郎は高温の炎に焼かれ苦しみから地面を転がった。


「フフフ、良い気味よ!女の顔殴るなんて最低な男の死にざまを見てやるわ!」


だが、1分経っても2分経っても二郎は死ななかった。


「はぁ、はぁ、そろそろ死になさい!…ま、魔力が…!」


リンネは遂に魔力が尽き、地面に手を着いた。


魔力の供給が止まったフレアリングは直ぐに消えた。


二郎は地面から起き上がると両手を地面に着いているリンネの髪の毛をひっぱりあげた。


「おい、って…うお!婆かよ!」


二郎が見たのは幻影の魔法が切れ若く美しく妖艶なリンネではなく、老人の、それこそ100歳を超えるているかのような肌はカサカサ、髪は半分以上抜け歯も無い、別人のようなリンネがいた。


「はあ、これじゃあ殴れないな…」


二郎はリンネの髪を離すと審判を見た。


「…あ、勝者ジロウ!!」


「女の化粧は年齢を隠すって本当だな。」


二郎の見当違いなコメントだったが、会場の男たちは大きくうなずいた。



「うししし、おめでとさんの。ジロウ。」


二郎が控え室に向かう途中に黒いミノタウロスのジュールに会った。


「ジュールの言った通りだったな。見かけと年齢が全然違ったよ。」


「うししし、あれはワシが子供のころから姿変わってないからの。この町の連中は幻術と知ってるの。あのオババも若い男から色眼で見られて満更でもなかったようだしの。なんなら最後まで行くのも男だの。」


「あんな年よりカンベンしてくれよ。それよりも、仲間と会いたいんだけど、外にはどうやっていけばいいの?」


二郎はジェナとエルミナに勝利の報告をしようと考えた。


「うしし、そりゃ無理だの。出場者の安全の為、3日間は闘技場内から出られんし、出たら失格だの。」


「…マジかよ。…はぁ、仕方ないか、飯食ってさっさと寝よう。」


「うしししし、女か、女だな。可愛いのか?美人なのか?」


ジュールはニヤケ面で二郎に聞いた。


「女だ。会おうと考えたのは、口が悪いミニスカートのおっぱいでかい女と、それに振り回される苦労人のスレンダーな女だな。」


「ヤッたのか?ヤッたんだな?次はワシも混ぜるの。」


「ヤッてない。むしろ、殺られかけた。」


二郎は北の大陸に来た時のジェナに翼を打ち抜かれたのを思い出した。


「ムッハー!ヤラれたのかの!逆レイプかの、痴女プレイとは興奮するの!!」


ジュールは興奮の為、顔を赤くしながら叫んだ。


「おい、ジュール!おまえ、カミさんに言うぞ!」


通路の奥からマークライが歩きながら叫んだ。


「マークライ!それだけは勘弁してくれの!今度は去勢されるの!!」


「ははは、毎回そのセリフを言うが、まだ去れていなかったんか。」


マークライはジュールに笑顔で言った。


「あの、そういえばジュールの狂牛って何ですか?」


二郎がマークライに尋ねると、2人は驚いた顔をした。


「ああ、知らんのか?『黒い狂牛』の話を?」


「え、はい。すみません。」


「そうか、それなら聞かせようか。あの戦いの事を。」


マークライは真剣な眼差しだが、どこか楽しげに言った。


「あー、勘弁してほしいの。」


ジュールは恥ずかしそうな顔をしていた。


「あれは十数年前、ジュールがまだ軍にいた時の話だ。当時付き合っていた恋人、今の奥さんに森の中の湖畔でジュールが結婚を申し込もうとしたその時、魔物の襲撃があってな。最高にロマンチックなシチュエーションで雰囲気も盛りあがった時に襲撃だ。奥さんを町の衛兵に魔物の襲撃を知らせる為に町に向かわせ、ジュール1人が100体以上の魔物の襲撃を森の中で食い止めていたんだ。一世一代の愛の告白を邪魔されれば誰だってキレるだろ?ジュールは近づく援軍も攻撃して『黒い狂牛』と呼ばれるようになったんだ。その時は奥さんが近づき宥めて解決したがな。」


マークライは懐かしそうに微笑みながら話した。


「今でもカミさんに頭があがらんの。」


ジュールは苦笑いで答えた。


「ハハハ、まだまだジュールの面白い話はいっぱいあるぞ。飯食いながらでも話すか。」


「幼馴染だからって勘弁してほしいの。」


マークライは苦笑いのジュールを連れて食堂に向かった。


二郎は2人の後を追った。




翌日


準決勝第一試合


マークライ 対 ガラム


マークライは純粋な剣術でガラムを圧倒しガラムが攻撃魔法を使う暇を与えずにガラムに勝利した。


勝者 マークライ



準決勝第二試合


ビーケイ 対 二郎


二郎が舞台に上がると黄金の鎧を着た男が立っていた。


「ッフ、君が次の相手か。」


ビーケイは余裕なのかニヤケていた。


「それでは、準決勝第2試合!開始!!」


審判の声と共にビーケイは剣を振り、二郎に向かって衝撃波を放った。


二郎は横に飛び回避した。が、回避して体制が崩れた所に再び衝撃波が襲いかかった。


「ッグ!!」


二郎は衝撃波に飛ばされ地面を数メートル転がった。


「ハハハ、この貴族である僕と闘おうとすること自体が間違っているんだよ。」


二郎はゆっくりと起き上がると銃でビーケイの両手両足を狙った。


弾は正確にビーケイの両手両足に当たる軌道を描くが、ビーケイの手前30センチの所で見えない壁に当たり弾かれてしまった。


「ハハ、何をしようと無駄だよ。そんな攻撃では僕には当たらないよ。」


ビーケイは笑いながらも二郎に向かって剣を振り衝撃波を放った。


二郎は衝撃波を飛び避けながらビーケイに向って銃弾を放つが、衝撃波に阻まれ軌道それてしまった。


軌道の逸れた銃弾は地面に当たると小石をビーケイの方に飛ばした。


「!!なんだと!」


ビーケイは頬に当たった小石に驚いた。


「…よし!ものは試しだ!やってやる!!」


二郎は黄金の鎧の防壁を突破する方法を思いついた。


跳弾で攻撃すれば防壁に阻まれないとわかったが、二郎に跳弾を行うだけの技量は無かった。


そこで思いついたのが、ジュールを倒した時に使ったダイナマイトだった。


二郎はポケットから着火済みのダイナマイトを取り出すとビーケイに向かって放り投げた。


ダイナマイトはビーケイの前方右側に落ち、爆発した。


「うわああああ!!」


ビーケイはダイナマイトの衝撃波を食らい地面に倒れた。


二郎はチャンスと見て、ダイナマイトを投げるが、ビーケイの剣から放たれた衝撃波で見当違いの方向に飛ばされてしまった。


ビーケイは素早く立ち上がると飛んでくるダイナマイトに向かって衝撃波を放ち遠くへ飛ばした。


「これでどうだ!」


二郎は両手を使い今までの2倍の量のダイナマイトをビーケイに向かって投げるが、必死なビーケイも衝撃波でダイナマイトを弾き飛ばし続けていた。


2人の攻防は30分以上続き、体力が無くなり剣を振れなくなったビーケイは多くのダイナマイトの爆風に飛ばされ意識を失った。


「勝者!ジロウ!!」


「こういう戦いは楽だな。」


二郎は楽をする方法を覚えた。



午後から行われた1回戦敗退者の2人ずつに分かれての団体戦はジュール・アムル組とリンネ・アービン組の隊長組の戦いだった。


アービンはすばやい攻撃でジュールを翻弄し、リンネの魔法はアムルを近付けさせることは無かった。


追いつめられたジュールは攻撃を食らいながらの捨て身の一撃でアービンを倒し、リンネと闘っていたアムルはリンネの魔法の餌食になり意識を失った。


満身創痍のジュールはリンネの魔法を食らいながらも前進を続けたが、その拳はリンネに届くことはなかった。



二郎はその戦いを見ることはなかった。


闘技場内を駆けまわり目的の人物を探した。


ジュールから昼食時に聞いた目当ての人物は厨房の奥にいた。


芋の皮を剥いていたのは、不貞腐れた雰囲気の男だった。


二郎はこの男に金貨を渡し、外から娼婦を招きいれた。


その晩から翌朝まで二郎は腰を振り続けた。


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