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此岸  作者: 満腹太
10/16

9

「知らない天…ここはどこだ?」


二郎が起き上がるとベットに寝かされていることに気がついた。


部屋は南の大陸と変わらない木の壁と扉があった。


すると、扉が開き赤い髪の女性が入ってきた。


「あれ?あんた起きたの?」


女性は椅子に腰かけると二郎の顔を覗きこんだ。


「うん、大丈夫そうね。…あんなところで何してたの?」


「あんな所?」


「いくらこの周りが魔物が少なくて比較的安全と言っても武器も防具も無しに森のなかを歩くなて自殺行為だ。いったい何を考えてるんだい?」


二郎はベットから起き上がると自分の姿を見た。


シャツとパンツのみ。そして、男の勲章が元気に隆起していた。


「お、俺の服は?」


「あそこ。」


女性が指を刺す先の壁に二郎が生前愛用していた黒いズボンとジャケット、シャツが掛かっていた。


「あの、着替えたいんですけど…」


二郎は苦笑いしながら女性に言った。


「気にするな、誰が脱がせたと思う?」


すると、扉が開いて青い髪の女性が入ってきた。


「着替えさせたのは、ジェナじゃないでしょ。彼が困ってるでしょ。さっさと出て!」


赤い髪の女性は手を引かれて部屋を出て行った。


「…なんだか強烈な人たちだな。さっさと着替えちまおう。」



二郎が着替えるとドアの向こうにいる2人と一緒にリビングに移動した。


「お互いの自己紹介と現状を確認しましょう。」


3人が椅子に座ると青い髪の女性が口を開いた。


「私の名前はエルミナ・マーレーン。ランクBの冒険者です。」


二郎よりも背が高く、青い髪の女性は微笑みながら頭を下げた。


「ジェナ。ジェナ・マーレーン。ランクはBだ。」


赤い髪の女性はニヤリと笑いながら言った。


「俺の名前は、二郎・山本。よろしく。それで、2人ともマーレーンって姉妹ですか?」


「良く言われますけど違いますね。従妹ですね。公見えてもジェナは24歳ですし、私は21歳なんですよ。」


エルミナは笑顔で答えてくれた。


「エルミナ、何気に私の歳をバラすな。」


「いいじゃないですか、それでジロウさんはお幾つなんですか?」


「え?お、俺?えっと、29歳です。」


「「えええ!!!!」」


「どうみても私よりも年下だろう!」


「そうですよ、そんな幼い顔して年上って見たことないですよ。」


「まあ、年齢の事はいいから、ここはどこなの?」


二郎は話題を変えた。


「あ、はい。ここはソーシャルです。大陸最南端の町です。」


「あんた、何所に行こうとしてたの?ここより南なんて誰も住んでないわよ。」


ジェナは溜息交じりに言葉を出した。


「いや、南の大陸から来たんだ。それ以前に異世界から来たし。」


「「…」」


ジェナとエルミナは驚きで言葉が出なかった。


「あれ?なんで思った事が口に出るんだ?ジェナっておっぱいでっかいよね。触りたい。…ッハ!これでは迂闊に考えることが出来ない!エルミナって潤んだ瞳が可愛いよね。…何も考えるな。俺!」


「ああ、あんたが寝てる間に考えてる事が言葉に出る禁制の薬をちょちょいと…」


「ジェナ!なんでそんなモノ持ってるの!使うのはもちろん、持ってるのもご法度なの知ってるでしょ!」


ジェナが話している最中にエルミナが遮った。


「まあ気にするな。どうせ男はエロいことしか考えてないんだ。」


ジェナが二郎を見ると二郎は口を押えていた。


「それで解除する薬はあるの?」


エルミナはジェナを睨むように見た。


「…はい。」


ジェナが懐から出したのは紫色した小瓶だった。


二郎はジェナの手から小瓶を奪うと一息に飲み干した。


「…マズイ。…よし、大丈夫そうだな。」


二郎は瞬間的にエロい妄想をしたが、声には出ていなかった。


「それで、南の大陸から来たって言ってたわね。いえ、異世界って何さ?」


ジェナが好奇心丸出しの表情で二郎に詰め寄った。


「黙秘します。」


二郎は無表情で口を閉ざした。


「それなら、南の大陸からどうやって来たのさ。」


「教えることが出来ません。」


「じゃあ、目的は?」


ジェナとエルミナの目つきが変わった。


二郎は少し考え、現地での協力者が必要と考え目的だけを話すことにした。


「…南の大陸では魔物の発生が問題になっています。北の大陸からの侵攻とも言われ、調査に来ました。」


「そう、嘘は言ってないようね。」


今まで黙っていたエルミナが口を開いた。


「詳しく聞きたいけど、私たちでは問題が大きすぎる気がするわ。とりあえずギルドに行きましょう。」


そう言うとエルミナが立ち上がった。


「そうだな。あれなら大丈夫だろうが…はぁ、行きたくない…」


ジェナは嫌々立ち上がると扉を開け外に出て行った。


二郎はジェナの後を着いて外に出て行った。



二郎はジェナ、エルミナの後を着いて大通りに出た。


そこで二郎は今まで見た人間以外に鎧を着たミノタウロス、リザードマンが歩いていた。


「すげぇ!人間以外初めて見た!」


興奮する二郎にエルミナが説明した。


「向こうは強化の指輪がないのね。彼らは私たちと同じ人間で、城の兵士よ。強化の指輪を使って身体能力を上げてるの。見た目で大まかな能力の向上が分るわ。ミノタウロスは圧倒的な力だけど、スピードは人並みね。リザードマンは力、早さが上がるけどミノタウロス程の向上は無いわ。」


「へぇーそうなんだ。」


エルミナの説明で二郎は納得した。


「さっさと行くぞ。」


ジェナが立ち止まっている2人に言葉をかけると歩いて行ってしまった。




3人が着いたのは1件の建物だった。


「ここが冒険者ギルドだ。はぁ、行きたくないけど、さっさと行こうか。」


ジェナの口調が大人しくなり、元気がなくなっているのをエルミナは苦笑いしながら見ていた。


3人はギルドに入り受付に向かうと、ジェナが受付の女性と小声で会話した。


二郎はギルドの中を見回していたが、依頼を張る壁、誰かを待っているのか屈強な戦士達、南の大陸のギルドと変わりはなかった。


「こっちだ。いくぞ。」


ジェナが二郎に声を掛け、ギルドの奥にある部屋に向かった。


ジェナは1つの扉の前で立ち止まった。


ノックをせずに勢いよく扉を開けた。


「ジェナ――!!パパは会いたかったよ―――!!!」


勢いよくジェナに抱きついた中年男性は膝をついた。


「抱きつくなっていってるだろ!」


ジェナの膝が男性のデリケートな部分に当たるように立ててあった。


「パ、パパは会えて嬉しいぞ…」


脂汗を流しながら男性は痛々しい笑顔をジェナに向けた。



中年男性の復活と共に4人はソファに座り話始めた。


「それで、用件は何だい?」


中年男性、ギルド長でもあり、ジェナの父親でもあるフランク・マーレーンはジェナに笑顔で聞いた。


「実は…「まさか、この男と結婚するのか!結婚!?ダメだ!絶対に許さんべッ!」


フランクの顔面にジェナの拳が炸裂した。


「違う!こいつは南の大陸から来たんだ。あいつらは南の大陸にも侵攻してたんだよ!」


「そうか。向こうは安全なはずだったんだがな。…それで、どうやって彼の素性をしったんだ?」


フランクは二郎を見た後、ジェナを見たがジェナはフランクと視線を合わせようとしなかった。


「叔父様。ジェナが禁制の薬を使ったんです。」


エルミナがジェナの代わりに言った。


「そうか…。流石、私の娘だ!素晴らしく的確な判断だったぞ!」


フランクは禁製の薬を使った事を咎めるよりも褒めだした。


「はいはい、それで、こいつにあれを見せようと思うんだ。」


ジェナは真面目な顔をしてフランクに聞いた。


「あれか…。刺激が強すぎないか?」


「大丈夫だろう。エルミナも良い機会だ。私たちの敵を見るがいい。」


ジェナがエルミナの瞳を見つめて言うとエルミナも真剣な眼差しで頷いた。


「こっちです。着いてきて。」


フランクはソファから立ち上がると全員が立ち上がり、フランクの後を着いて部屋を出て行った。


ギルドの倉庫に入った一行は壁と見間違う隠し扉を抜け地下に降りた。


「ギルドにこんな所があったんですね…」


「まあ、ね。」


フランクは背中越しにエルミナに答えた。


階段を下りた先に1枚の鉄の扉があった。


フランクは鍵を開け中に入って行った。


二郎が部屋に入ると中央に人が立っていた。


背中に白い翼が生えた金髪の男。


見るからに肌が乾燥しきっていて、その目は硬く閉ざされていた


「これは…?」


二郎が立っているマネキンのような男を見た。


「これは、かつて自らを神と名乗り人間を粛清しようとした者の1人です。」


「神?」


「ええ、はるか昔の話です。神と名乗る者達は多くの魔物を率いて大陸に転移して攻め込んできました。人は戦い多くの犠牲を払いながら敵の指導者を打倒しました。しかし、敵の転移侵攻は止まりませんでした。多くの学者が敵の転移する魔法を突き止め、魔法陣の一部を書き換えることによって、こちらから敵の陣地に攻め込むことができました。そして神の軍勢を打倒し平和が訪れました。この昔話は今では知る人も少ないでしょう。しかし、ここにある古代の技法によって保存された神の標本が真実であったという証なのです。」


「すると、南の大陸では魔物と一緒に現れる魔族は…」


「この標本と同じ『神』で間違いありませんね。」


「北の大陸ではどうなんですか?魔物が現れる時にこいつも一緒に現れるんじゃないんですか?」


「ええ、翼を持った人が一緒に現れたというのは聞いています。ただ、我々には強化の指輪で神に匹敵する力を得ています。ですので、神は魔物と一緒に転移し、逃げるように再転移するそうです。」


「そうですか…」


二郎は顎に手を当て考えだした。


「…強化の指輪を見せていただけませんか?これを南の大陸に持ち帰れば多くの人が救われると思います。」


「ふむ、指輪は冒険者登録していれば無料で配られるから、あとで登録してください。指輪は冒険者カードと一緒ではないと発動できないんですが、個人別に認証しているのでこちらまで来て頂かないと…」


「冒険者カードはコレ使えますか?」


二郎は袋から自分の冒険者カードを取り出しフランクに渡した。


「ふむ、…ほほう…」


フランクは唸りながらカードを色々な方向から調べた。


「大丈夫です。では手続きをしますので上の受付までお願いします。」


ジェナが状況に追いついていないエルミナの手を引き階段を上って行った。


二郎はエルミナの揺れるお尻を眺めながら後を続いた。






指輪をもらう手続きは簡単だった。


冒険者カードと指輪を受付に渡すと水晶にカードと指輪をかざした。


「では、こちらが指輪になります。」


受付の男性から渡されたカードと指輪を二郎は受け取った。


「ジロウ、こんな所で変身しても困る。裏庭にいくぞ。」


ジェナの案内でエルミナと二郎は裏庭に向かった。


裏庭は小さな公園程度の広さで幾つかの家庭菜園があった。


「それじゃあ、変身!」


二郎は指輪に念、魔力を込めた。


二郎の体が輝くと二郎が変身した。


骸骨に…


「…」


無言で自分の姿を見る二郎。


「アハハハハ!!!」


二郎を指刺して笑うジェナ。


「ジェナ!止めなさい。」


笑うジェナを困った顔で窘めるエルミナ。


「な、なんじゃこりゃ―――!!」


驚き叫ぶ二郎がいた。


「ハハハ、運が悪いわね。骸骨は人よりも力が無く、脆い。ヒャハハハ、あー苦しい、笑い死にしそう。」


ジェナは笑いながら言った。


「えっと、あんまり落ち込まないでください。きっといい事ありますよ。」


エルミナが二郎を慰めた。


「…指輪変えれば他のになれるの?」


「…それは、出来ません。他の指輪に変えても同じ姿になります。」


エルミナは申し訳なさそうに言った。


二郎は指輪にもう一度魔力を込め姿を元に戻した。


「ジェナとエルミナは何になるんだ?」


二郎は2人に変身後の姿を尋ねた。


「私は、あれだ。気にするな。」


「ジェナはケンタウロスになるわ。下半身が馬で上半身はそのままね。私はラミア、蛇女です。」


エルミナがジェナの変身まで説明した。


「勝手にバラすな!」


「はいはい、それで、この後どうします?」


エルミナはジェナをスルーして二郎に予定を聞いた。


「そうだな…冒険者ランクは向こうと同じ?」


「向こうがどうだか知らんが、こっちは


 ランク D  駆け出し、半人前だな。


 ランク C  まぁ、一人前。通常だと半年から1年ほどかかるが才能しだいだな。


 ランク B  ベテラン。私たち2人もここだ。


 ランク A  普通の冒険者ではまずなれないな。1千人に1か2人いればいいな。


 ランク S  長いギルドの歴史でも100人いなかったと聞いた。英雄といわれるほどの強さだ。


 ランク SS 過去9人いた幻のランクだ。


まぁ、ランクアップは一定数の魔物討伐だからな。多くの者が散っていった。」


ジェナはギルドのランクについて簡単に説明した。


「なるほど、そんなに変わらないな。あの受付の水晶も同じだしな。」


「それで、どうするんだ?」


今度はジェナが二郎に訪ねた。


「そうだな…、まずは神を名乗る者を見たい。もちろん生きている状態で。」


「それなら。魔物が頻繁にでるロンドに行ってはどうだ?今から急げば大会に間に合うかもしれないな。」


ジェナがニヤリと笑って言った。


「大会?」


「ロンドで年に1回行われている武術大会です。強化の指輪を使ってもいいんです。それに上位に入れると高待遇で衛兵になれますよ。」


「優勝すると?」


「過去何十年もの間、優勝者は将軍職の連中だったらしい。あの連中は強化すると反則のような強さだからな。まあ、二郎は強化して弱体化するから優勝は無理だな。」


ジェナは二郎を見て鼻で笑った。


「じゃあ、俺が優勝したらどうする?」


「はは、まずあり得ないな。将軍の強さを知らないから言うんだ。」


「いや、例えばの話だ。例えば、俺が優勝したら何かくれるか?」


「いいだろう、ジロウが優勝したら下僕になってやる。ついでにエルミナの処女もくれてやる。」


ジェナの爆弾発言でエルミナは狼狽した。


「え、待ってよ!」


「いいだろう、ジェナが下僕でエルミナの初めては貰うからな!」


二郎はエルミナが止めるのを無視した。


「ええ!もちろんべぇ!!!」


ジェナが二郎に返事をした時、顔を真っ赤にした怒りの形相のエルミナがジェナに平手打ちした。


「勝手なこと言わないで!」


「ご、ごめんなさ…い…」


薄れゆく意識の中でジェナはエルミナに謝罪した。




二郎達3人はロンドに向かう乗合馬車に乗っていた。


この馬車は大会に出場受付に間に合う最後の馬車だった。


馬車には二郎達以外にも数名乗っていた。


「なあ、なんで君たちもいるの?」


二郎は隣に座っているエルミナに聞いた。


「ええ、ロンドに向かえば魔物がいます。魔物がいるという事は討伐報酬が出ます。」


エルミナは簡潔に答えた。


「ああ、誰かさんが剣を新調したおかげで私たちはお金がないんだ。」


ジェナがエルミナに嫌味を言うがエルミナは聞き流した。


「それにこの新しい剣の切れ味を試したいんですよ。」


エルミナは腰の剣を軽く叩いてみせた。


「この辺りの魔物は?弱いの?」


「この辺りは、軍によってほぼ無力化されていますから…」


「なるほど、倒す相手がいないのか…」


「ハイ…」


エルミナは残念そうに返事をした。


「じゃあ、ロンドまでの道は魔物が出ないのか?」


「はい、それどころか山賊すら出ません。」


エルミナが返事をすると、二郎は今まで口を開いていなかったジェナを見た。


「…寝てるな。」


「はい、揺れる馬車で熟睡は凄いですね。」


馬車の中では平和な空気が流れていた。


二郎はエルミナから北の大陸の一般常識や風習、ジェナの失敗談など多くの事を聞いた。



10日後


馬車はロンドに到着した。


ロンドの町から数キロの範囲内では街道沿いに数百メートルごとに魔物の監視小屋が建てられていた。


物々しい雰囲気の中、馬車がロンドの町の城門をくぐり抜けた。


「おお、すげ―――!!」


二郎はソーシャルの町でミノタウロスとリザードマンを見たが、この町ではさらに多くの者が強化の指輪を使った姿で町を歩いてた。


魔力が向上する耳の尖ったエルフ


鋭い爪と牙を持った各種獣人たち


高い防御力をもつ岩肌の巨人たち


二郎が興奮するのも仕方がなかった。


「はいはい、田舎者は少し静かにしてな。」


ジェナが二郎の腕を引っ張って座らせた。


馬車は城門のそばで止まった。


「さあ、行くわよ。案内は任せて。」


エルミナが二郎達を先導し武術大会の受付まで案内した。


そこで二郎は登録を済ませると、すぐに予選会場まで連れていかれた。


予選会場はロンドの町の西の外れにあった。


会場とは名ばかりの広い野原に3つの盛り土によって作られた舞台が3つあった。


3つの舞台の上では各々が武器を持ち参加者同士で闘っていた。


「ん、君は初めてかな?」


試合を眺めていた二郎に声を掛けたのはメガネをかけた虎の獣人だった。


「あ、はい。どんなルールですか?」


「ああ、ルールは簡単。舞台で20人連続で倒せば本戦出場だ。負けた場合のみ怪我の治療はされる。武器や防具は治してくれんがな。あと、負けても翌日以降なら再挑戦できる。それで、本戦出場者8人が揃ったら予選終了。今のところ3人決まった。」


虎の獣人は腕を組んで説明した。


「ちなにみ俺は予選で諦めた。何度も戦っても勝てやしない。決めるなら最初の消耗していない時だな。まぁ、俺の分までがんばってくれ。」


虎の男は人ごみに紛れるように姿をけした。


二郎は会場の隅に作られたトイレの個室に入ると姿を変えた。




ブーツを履いたカウボーイハットの男


開拓時代、西部では名の知れた男がいた。正確な早打ちが得意な男だった。


ある日、無法者のボスと早打ちの決闘になった。


彼はボスが銃を抜く前に後ろから撃たれてその命を終わらせた。


彼の銃と帽子は200年以上たった今でも開拓記念館に大切に保管されていた。


彼の命日になると、銃が異常に熱くなり、帽子から男の呻き声が聞こえると言われていた。


二郎はその真相を確かめるようと渡米し調査したが、原因は分からなかった。


その後、ラスベガスで大勝し娼婦との複数プレイをし病気を移されたのは懐かしい思い出だった。




二郎は自分の腰にある銃を抜くとズボンの右ポケットから銃の弾を装填した。


背中にある銃身の長い狙撃銃も状態を確認し銃弾を装填すると個室から出て会場に向かった。


「それでは!次の挑戦者は!自信がある者は舞台に、上がれー!!」


1つの舞台で決着がついたようだった。


二郎が舞台に上がると歓声が沸き起こった。


「それでは、サイモンの20人目の対戦相手だ!名前は?」


審判の男が舞台の下から二郎に聞いた。


「二郎です。」


「それでは、サイモン対ジロウの戦い!始め!!」


サイモンと二郎の戦いが始まった。


サイモンは片手剣と大楯を持つ肌に岩があるの防御重視の岩戦士だった。


二郎は迫りくるサイモンに向かって腰の銃を抜いた。


銃声は連続で3発


しかし、サイモンは両肩、両膝、両腕のそれぞれに1発ずつ玉を食らい仰向けに倒れた。


静まり返る会場。


「…勝者、ジロウ!!」


湧きあがる歓声に二郎は腕を上げて答えた。



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