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遠いバケモノ

作者: 幽霊配達員
掲載日:2026/03/04

 花火のように彩り輝く人たちを見上げていると、自分が地べたにへばり付く側だと気付かされる。

 あの人達とは生きている世界が違うんだ……何の接点もなければ棲み分けが出来ていた。

 ネット社会のこの時代、一歩を踏み出せば簡単に色んな誰かと繋がる事が出来てしまう。

 自分とは釣り合いが取れないほど高嶺の存在にも。

 幻のように触れる事が出来ないのに、文字と声は行き来してしまう。

 話し方や価値観、共感し合える事とかが気軽に行える。

 だから勘違いする。遠いバケモノと同じ高さに自分もいるんだって。

 乗り越えてきた道のりも、突き進んだ目標も、何もかもが雲泥の差だというのに。

 見上げるだけの花火の隣に並びたいだなんて厚かましい望みを持ってしまった。

 側にいたら眩しすぎて目が眩み、放つ熱量に焼かれてしまうというのに。

 結局は見上げるだけの存在なんだとわからされてしまう。

 だったらせめてとちっぽけな光を放って手を振るんだけれど、気付いてくれる気配はない。

 当然だ。夜空に咲く花は目立つけれども、地上で見上げるちっぽけな光なんて星の数ほどあるんだから。

 どれも似たり寄ったりで紛れて区別のつきようがない。

 そもそも興味もないだろうから見下ろして探そうともしない。

 もっと別の輝きを目指して邁進していく。

 向いてる方向なんて交じりっこない。

 気付かれもしないちっぽけな灯火なんて、いっそ吹き消してしまった方が楽になれる。

 湧き出て来る黒いモヤモヤを大元から潰せる。

 なのにそれさえ出来やしない。

 心地よい憧れがどんどん胸の内を蝕んで悪いバケモノを形成してしまう。

 爆発してしまったら余波で何を壊してしまうかわからない。

 見上げる憧れが瞬間に弾けて夜空へ溶ける輝きだったなら、諦めも簡単につけられたのに……

 強く大きく存在を輝かせているからこそ、手を伸ばせば届きそうでイヤだ。

 すり抜けるだけの虚しい幻。

 辛いのがわかっているのに、悔しいくらい魅入られてしまう。

 なあなあに時を過ごしたツケがこの距離感を生み出した。

 けどもそう生きなきゃ見つけられなかった……交わらなかった。

 何かの間違いで繋がった遠すぎるバケモノ。遠すぎたバケモノ。

 せめて色褪せずに夜空を飾ってほしい。

 この(いと)を引きちぎってどこまでも。

 どこまでも……

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