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1章13話 スキルCの男

遂に主人公の執事が登場します。彼は味方か敵か…


理想の国造りの話をしてから2日後、その翌日が誕生日で洗礼を受けに行く日なのだが、その前にハヤテハウスの執事を紹介される事になった。


「ねぇ、ジャウフレ。服って装飾品ジャラジャラの王子服?それとも、こっちの司祭服のほうが良い?」


ジャウフレ「そうだな。王子だけど神の愛し子ってのを全面に出したほうが良いだろうし、司祭服のほうが印象付けにはいいかもな」


「りょうかい」


天照大神の贈り物の中に、学祭の時に着たコスプレ用の王子服があったけど、今回はゼウス神からの贈り物にあった司祭服にした。


真っ白の貫頭衣にローブ、金の額飾りに腰に巻くチェーン、ブレスレットを3本、ダイヤモンドのピアス。全部身に付けて鏡の前で全身チェック。


「なんだこの成金感満載な司祭服は。凄いハデ!」


ジャウフレ「ハヤテ王子、完璧です。オーラも相まって、まさに“”子神“”って感じです」


子神ってなんじゃい。まあ、コレで良いみたいだし、貫頭衣だから締め付けがなくて良いわ。ラク。


ソファに座って紅茶タイム。今日の護衛兼お世話係はサリバンとヨンディル。


ヨンディルは、クマさんです。兎に角デカい。茶色の髪に赤い目で威圧感が凄い!喋らないから余計にね。圧がね。


「ああ」とか「うむ」とか「いえ」とかの2文字でしか返事しないし、無表情だからさ、何考えてんのか分からなかったんだよね。


「なんか言いたい事あったら遠慮無く言ってね、別に怒らないしさ」


と、任務に就いて、自己紹介と挨拶が終わってから伝えたら、「……あの、なら、抱っこさせてほしいんだな。頭も撫でたいんだな」ってさ、デカい図体をモジモジさせてお願いしてきたんだよ。


白いタンクトップでお握り食べるアイツを思い出したわ。


で、抱っこ&頭撫で撫でを許したわけだ。凄い安定感で、程よい力加減で撫でられて、うっかり寝ちゃったよ。


“”気付いたらベッド“”ってさ、地味にビックリするよね。


まあ、あれだね。ヨンディルくんは、恥ずかしがり屋の大将だね。もしくわ茶色のプーさん。


「ハチミツ食べる?」って、思わず聞いちゃったよ。




そんなプーディルくんは今、眼光鋭く一人の青年を見詰めています。


(怖いからね?見すぎだからね?はい、執事さん。自己紹介をどうぞ)


マーリオ「お初にお目に掛かります。王宮執事のマーリオと申します。他に黒騎士団総長セバスチャンの補佐もしております。本日より屋敷の管理、第3王子殿下の教育をさせて頂く事になりました、宜しくお願い致します」


リアルなスーパーなマ〇オかと思った。紺色髪を七三に撫で付けて、片眼鏡でチョビ髭なんだよね。個性的過ぎて吹き出しそうになってしまった。


「ん"ん"。え〜と、宜しくねマーリオ。屋敷の管理はお願いするけど、教育は良いかな。貴族に関わるつもりないし、王位に興味も無いからさ」


それに俺にはユエちゃんがいるからね。知りたい情報は彼女から聞くし、経営学は4度目の前世で習ったからね。教育はじゅうぶんなんですよ。


マーリオ「ですが!…………いえ、何でもありません」


何やら言い募ろうとしてたのを、ジャウフレが一睨みして黙らせた。良いね、番犬ならぬ“”番竜“”だね。


「うん。言いたい事は分かるよ。セバスチャンの補佐なんだもんね。言われた事を熟さないと怒られるかもだしね。

でもね、俺は神の子だから、この世界の事は教えて貰ってるの。あと、まだ2歳だけど、文字の読み書きは出来るし、計算だって、ちょちょいのチョイってね」


別にマーリオが嫌で拒否したわけじゃない。本当に教育は必要ないからそう伝えたんだが……


マーリオ「……神……デーメーテール神の子と……愛し子でも使徒でもなく、子だと仰るのですか?

確かに流暢に話をされるし、雰囲気は2歳とは言い難い。ですが、愛し子だとか使徒だとかは御伽噺なんですよ?

第3王子殿下、いや、まだ王子ではありませんね。“”仮王子“”様。そんな物語のような設定に憧れるのは分かりますが、現実を見ましょう?貴方はこの国の王子なのですよ?

王位継承権が4位なので王位には付けないと思いますが、歴とした王族なんです。勉強が嫌だから……」


プッチーンと何かが切れた音がした。途中からコメカミがピクピクしてた。話を遮って悪いが、言わせて貰う。


「……ごちゃごちゃ、ごちゃごちゃと煩いな。2歳児だと思って舐めてんの?貴方のそれは諭してるの?貶してるの?どっちもか?何も分からない子供だと思ってバカにしてんのか?誰が王位狙ってるって言った?

継承権4位の王族だからって何?国に忠誠を誓って国の為に働けって?腐った貴族を相手にして?」


グチグチグチグチと、人を小馬鹿にしたように話やがって。愛し子や使徒を信じなくていいさ。御伽噺だと思ってたって人それぞれだからな。

世界に向かって『貴方は神を信じますか』なんて言うつもりも無いからな、信じない奴がいたってどうでも良いさ。


マーリオ「…………」


「で?勉強が嫌だから『俺は神の子〜』って言って逃げてるって言いたいのかな?御伽噺を信じて憧れてるバカなガキだって言いたいのかな?ん?言ってみ」


マーリオ「……いえ。王族なら、必要な教育を受けて頂きたかっただけです。まだ幼いですから、それを分かって貰おうと……申し訳ございませんでした」


渋々、本当に渋々謝罪した感じがして、気分が悪い。黒いモヤは出てないけど、信用出来ないので調べて見る事にした。ちゃんと断りを入れてね。


「ふん。ちょっと信用出来ないんで、鑑定させて貰うよ」


マーリオ「え!?」


見られたくないんだろう。凄い焦ってる。これは何かあるな……


――――――――――――――――――――――――


名前:マーリオ・フェデーリ 年齢:21

種族:人族  職業:第3王子付き執事 闇夜の鴉

体力:150  魔力:560

攻撃力:720 防御力:460

幸運値:53


スキル:体術(C) 短剣術(C) 暗器(B) 隠密(C) 

土魔法(C) 執事(C) 


固有スキル:忍び足


称号:元第1王子殿下の側近  嫌味貴族  人族至上主義

神を信じぬ者


――――――――――――――――――――――――


わぁ。コイツ第1王子の子飼いか。それを知ってて、セバスチャンは執事としてコイツを寄越したのか?


「マーリオさ。第1王子の子飼いなんだな。人族至上主義って称号に出てるもんな。しかも元側近」


ジャウフレ「…………」(やっぱりな。見た事あったんだよ)


マーリオ「……だったらどうなのです?今は側近を外されて、第3王子様の執事ですけどね。首でも刎ねますか?」


ふてぶてしい。開き直りやがった。コイツは敵だな……


「いんや。首なんて刎ねたら、辺り一面が血だらけになって汚いじゃん。隷属してコキ使ってやろうか?」


もちろん、そんな事するわけないんだけどね。マーリオは本気と捉えたのか、ズサッとその場から飛び退いて、投げナイフを投げてきた。


そのナイフは、ハヤテに届く事なく、ジャウフレによって阻まれた。ナイス護衛。


「サリバン、ヨンディル、マーリオを捕らえろ」


「「はっ!!」」


「ジャウフレはソイツをセバスチャンに届けてきて。あ、手紙書くからちょっと待って」


ジャウフレ「了解した。サリバン、ヨンディル、犯罪者用の手枷を付けとけ」


「「了解!!」」



(貴族的な嫌味な言い回しで書いてやるか)


――――筆頭執事セバスチャン様へ――――――――――


“”拝啓、ご無沙汰しております。今回、貴殿より頂戴致しました最上等の贈り物に、心より感謝申し上げます。


マーリオという執事は、素晴らしい存在でした。恐れを知らぬ彼の振る舞いは、子供の如く。その質素な魅力すらも、私にとっては些細楽しみに過ぎぬものです。


彼を執事として寄越された事、有り難いことでした。ただ今回はご縁が無かった。と、心苦しく思う次第です。

恐らく、才覚に富んだ執事をご用意くださったのでしょう。しかしながら、我が家には人を貶す、品位ある執事は必要無かった。と、御理解下さい。


人族至上主義を掲げる彼は、命ある物に対しての誇りを感じられませぬ。私の屋敷には誇りある者のみ必要とします。


マーリオ氏には、アルカディアではない国のほうが住みやすいでしょう。何処かに存在しますでしょう、人族だけの村が。そこで生涯幸せに暮らしてほしいものです。


今後は私の元に余計な心遣いをなさらぬように伺いたく存じます。


貴殿の高潔なる品性と、さりげない洗練された心遣いに、心より敬服いたします。今後とも末永いご繁栄をお祈りいたします“”

――――――――――――名無しの第3王子より――――


(よし、こんなもんかな)


「お待たせジャウフレ。これセバスチャンに渡してね。内容に納得したら速やかなる対処をって言っておいてね」


マーリオ「何を!?対処って何です!?やめ、やめなさい!やめろ獣風情が!高貴なる我が肌に触れるなケダモノ!」


手枷を嵌められ、行く末が急に不安になったマーリオが、暴言を吐いて暴れ出した。

魔法を使おうとしたのか、モゴモゴと詠唱を始めたので、ヨンディルが手刀で意識を狩った。


一発でダウン。マーリオ弱い。さすがCの男。暗器だけBって、完全に裏世界の男だな。

職業の“”闇夜の鴉“”ってのが、裏稼業的な感じだろう。


マーリオを連れたヨンディルとジャウフレが出て行き、部屋にはサリバンが残った。


ソファに深く沈み込み、盛大な溜め息を吐き、紅茶を口に含んだが、すっかり冷めてしまってた。


サリバン「お疲れ様でしたねハヤテ様。紅茶入れ直しましょうか?」


「ん〜。いや、紅茶はいいや。それよりもうすぐ昼だしご飯作ろうかな。サリバン手伝って」


サリバン「畏まりました。本日は何に致しましょう」


「昼だし、軽めが良いかな?それより米?」


サリバン「そうですね…………」


先程までの殺伐とした空気をポイッと捨て、何事も無かったかのように動き出した。


すっかり料理に嵌ったサリバンを連れて、歩きながらメニュー決め。このスタイルが2日前から定着した。


「さぁ、今日は何を作ろうかな」


マーリオ....ダメ男だった。スキルがCだらけだと、暗部でも活躍出来なさそうですよね。



※アルファポリスでも同作品を投稿してます。そちらには挿絵投稿もしてます。

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