天使と哲学者
罪を犯して地獄にいくか、罪を犯して天国に行くか、その差を僕に魅せてくれ
ここは…?
そういい目を覚ます私の名前はレイピア・ハルヴァール。しがない哲学者だ。目を覚ました私は周りを見渡す。そこは真っ白ななにもない部屋だった。
「おきましたか。」
「君は…誰なんだい?」
「僕の名前はサリエル…ここは虚無の空間だが…よろしくね」
「そんな天使さんが僕に何の用で?」
「僕は死を司る大天使、君のようなもうすぐ死ぬ運命を背負う人間が、どの様な生き様を魅せるのか、僕はとても興味があるんだ。」
「僕が死ぬ?そんな馬鹿な。」
「いいや?君は僕との話が終わったら確実に死を選ぶ」
「まるで僕が自ら死を選ぶかのような言い方だな」
「ああ、もちろんだ」
「くだらないな、そもそも私は神を信じない主義なんでね」
「まぁ信じなくても構わない、それよりも僕は君という哲学者と話したいんだ。最後の晩餐ならぬ、最後の会話と行こうか、」
「はぁ。まぁとてもくだらないが一応聞いてやろう」
「君は人がどうしていきたいと思うかわかるかい。ちなみに僕はわからない」
「愚問だな、人は自身の価値を付け表すために生きている」
「平凡で面白みのない回答だね」
「何故?」
「皆そういうからだよ。それにその程度の回答で僕が満足すると思うかい?」
「そもそも違う理由は?」
「それは単純さ、例えば仲のいい夫婦がいたとする。そこに子供ができた。もちろん夫婦は喜ぶだろう?」
「そうだね」
「だが、子供は流産してしまった、」
「それは悲しいことだね」
「この時、君の理論だと子供は生きていないから価値はないだろう?だがその夫婦は最高に近い喜びを手にし、最悪に近い絶望を手にする、このとき価値のない命は生きていないと言い切れるのかい?」
「確かに…言い切れないな」
「僕は色んな人間の生死を見てきた。君は人の生死に理由を求めてほしいんだ」
「時間をくれ、このたとえ話の末もう一度結論を出したい」
「いいよ、君が生死の意味と自身の死を理解すること、どちらが先か見てみたい」
「…私の中で結論が出た」
「そうかい。さぁ聞こう」
「人とは罪を犯すために生きる。僕はそう思った」
「何故?」
「先ほどの子供も人を悲しませるという罪を犯した。全ての人は生きるために罪を背負う」
「フフッ、そうかい、現実でそう思うとどうなるんだろうね」
「なるほど、サリエルいいたかったのはそういうことか…」
そういい僕は命を絶った。
天才だからこそ理解した。これ以上生きても地獄に近くに近ずくだけだと