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7話 魔の森に潜む脅威


 みんなの休憩時間が終わるまで、話していた。休憩時間が終わった後、軍部まで一緒に行った。


「今度、お休みの時双子宮に遊び来て」

「遊び来て」

「はい、今度行かせていただきます」


 二人とも気に入ったみたいだ。


「フォル。ごめん」

「ふぁ、ルノなの。あの件はありがとなの」

「……」


 ルノ?なんの件?なにをしたの?そんなあからさまに顔を逸らして。


「エレ、フォルの前では内緒に」

「ふみゅ」

「全部聞こえてるけど」

「エレは知らない」

「ゼロも知らない」


 計画したかのように、互いを庇い合う。でもね、エレ、なにも言わなければ、ゼロは知らないで終わったんだよ?


「ルノ、別件というのは終わった?」

「終わった。フォル、双子宮へ戻って話がある。いつもの件と言えば、分かる?」

「……ああ」


 いつもの件。それはギュゼルの件だろう。秘密裡に行われる事が多いから、人目の多い場所では話す事ができない。


 本来であれば、部外者には話せない内容だとしても、エレとゼロは別だけどね。


「ふみゅ。帰るの、魔法車……」

「今度、別の場所に行く時に乗らせてあげる」

「ふみゅ」


 主宮にでも行く時にで良いかな。


「じゃぁねー」

「じゃぁねー」


 みんなと別れて、双子宮へ帰る。家具は多分デューゼが、最低限は用意してくれているだろうから。


「エレはエレエレしているのー」

「ゼロはゼロゼロしているのー」


 エレエレとゼロゼロってなんなんだろう。


「魔の森を抜ければー」

「やっと帰れるのー」


 これ歌なのかな。笑うのは拗ねるかな?


「ゼロはーエレのー可愛いお洋服にー反応しなかったのー」

「エレはーお色気とか言ってー変な服着てーゼロをー追いかけたのー」

「ブホッ」

「ククッ」


 デューゼとルノは耐えられなかったか。


「退屈しないでしょ」

「ああ」

「そうだな」

「ふみゅ⁉︎エレはおとなしい子なの」

「おとなしい?」

「……エレお疲れなの」


 大人しくはないかな。散々振り回されてるし。


「おとなしいエレ」

「……」

「フォル?」

「デューゼ、エレとゼロのお守り頼める?ちょっと厄介なのいるみたいだ」

「まかせろ」

「ルノ、報告面倒だから一緒に来て」

「……」


 こういうのは、後で報告しないとなんだ。


 時々普通とは違う魔物が出てくる。その魔物は、色々と厄介でね。人里への重大な被害とかもあるんだけど、それよりも、その魔物が、本来では持ち得ない特異性を持つ事がある。


 普通は軍部が、市民の安全を守るために魔物討伐とかもやってるけど、こういった相手は関わってないんだ。


 こういった相手をするのは、僕らギュゼルの仕事だ。辺境にいた時も、時々やっていた。寝る間も惜しんで、泣く泣くとね。


「エレ心配」

「ゼロは良いから、エレだけでも連れてって」

「二人とも連れてかないよ。大丈夫だから。だから、心配しないで」


 そう言って、二人の頭を撫でると、泣きそうな顔で見送ってくれた。


 ……エレ達の望みを叶えれば、これを毎回見れるように……考えるのやめよう。


 幸い、双子宮から離れている。これなら、被害も来ないだろう。


「ルノ、ちょうど良いから聞かせて。ギュゼルの仕事」

「……業績の低下が著しい場所が見られる。そこで、祭りを開催する事となった」


 それなら話しずらい事なんてないと思うんだけど。祭りくらい……むしろ、知らせるべき事の気が


「それは良いんだ。ただ、ギュゼルを増やせと。仕事は俺たちのような仕事じゃないが、そこで、ギュゼルだけで店を開けと」

「稼いだ金は?」

「全額ギュゼルの経費へ」

「よし、業績一位を目指そう」


 個人資金はかなりあるんだ。でも、ギュゼルとしての資金が少なくて。毎度経費申請が降りないのが原因だけど。


 だから、これは、主様からのプレゼントとも取れるよ。自分達でやる事だけど、ここでたんまり稼げばあとが楽になるから。


「ついでに、双子姫も使って良いと。少し、人に慣らすべきとの事だ」

「それはそうだね。祭りなら、楽しい雰囲気でいられると思うし、良いかもしれない。でも、なんでみんなの前で言わないの?」

「みんなではなく、軍部に聞かれたくなくて。あそこは、売り上げを」


 あー、元々資金が多くて経費申請も楽な場所に、金を取られたくないと。


「発表まで言わないでおく」

「それが良いね」

「……都の宮きらい」

「どうかしたの?」

「都の宮ってだけで、マウントとる」

「お疲れ。ごめん。僕の代わりに何度も偵察に行ってもらってたから」


 ルノは僕の補佐。僕だと警戒されるからと、偵察に行ってもらっていたんだ。主様の命で。


 どこ所属かは隠すよう指示されてたけど、まさかこんな事が起きてたなんて。


「あっ、魔物いた」

「フォル、今機嫌悪いから、代わっていい?」

「ご勝手に。解析終わるまでは時間稼いでよ?そのあとは好きにしていいから」


 ルノが機嫌悪いなんて言うのは久々だな。それだけ嫌な思いをさせてしまったんだろう。


 これ系の解析は、三十秒くらいだ。ルノなら、この程度の魔物、十秒もせずに倒せるから、解析が終わんないんだ。


「解析完了だよ」

「ああ」


 待ってましたと言わんばかりに、魔物を倒す。


「……」

「どうかした?」

「手応えがない」

「……とりあえず、報告しとけば良いよ。向こうで何か調べてくれるでしょ」

「報告は俺がやっておく。フォルの帰りが遅いと、反対運動始めそうだから」


 えっと、うん。反対運動。時々やるあれか。


 エレとゼロは、器用なんだ。創造魔法でデモ板みたいなの創って、反対って言い続けるんだ。ベッドの上に二人で座ってやる時が多いかな。


「そうだね……というか、連絡しとけばよくない?」

「……あっ……」

「僕も気づくの遅かったよ。とりあえず、双子宮に行こうか」

「ああ」


 考えなくて良いとは言っても、気にはなる。でも、今は、僕の可愛いお姫様達を待たせるわけにはいかない。


「ルノ、双子宮の配給資金ってどのくらい?」

「知らない?」

「うん。調べてないから」

「主様が生活費だけは出している。本人達の希望で、自分達で稼いでいるらしい」

「魔物討伐?」

「そこまでは聞いていない。本人達に聞けば答えると思う」


 生活費だけであとは自分達でという事は、あそこに置かれていたはずの家具とかは、自分達で稼いで買ったのもあるだろう。


「……ルノ、元使用人達の事ってどこまで調べてる?」

「デューゼに頼まれて、調べてはいる」

「それ」

「だめだ」

「まだ言ってない」

「エレとゼロが不安がるから、側にいて、この件は俺に任せろとの事だ」

「……分かった。ルノ、あの二人の前では言えないから、伝えて。エレとゼロは、必要なものすら買えていないって」


 ほんとは、待ってるだけなんていやだけど。それでも、待っているしかない。エレとゼロのためにも。


「安心しろ。デューゼ兄様は、かなりお怒りだ」

「……良い報告を期待してる」

「大人になったな。前なら、待てないと言っていたのに。そんな返しができるとは」

「これでも、人の上に立ってずっとやってきたんだ。このくらいの事はできるようになっている」

「二人への愛情は全然隠せてないけど?」


 それはそれ。これはこれ。エレとゼロへの愛情は隠さなくて良いものだから。だからといって、甘やかしすぎないようにはしたいけど……昨日今日と、二日連続で、アイスとクレープ。だいぶ、甘やかしている気がする。


「……ねぇ、どうやったら、厳しくできる?あの可愛い生き物を見るとつい、良いって言っちゃうんだ」

「……なでなでで甘いものを忘れさせる?何か他で他を忘れさせれば……って、あの二人は、そういう事ばかり覚えてるか」

「そうなんだよ。しかも、断ると拗ねる」

「……甘いものを我慢したら、キスしてあげるとか言えば、キスを選んでくれそう」


 その手があったか。でも、両方が良いのとか言いそう。どっちかしかだめって言い続ければ……できるかな。こっちが先に折れそう。


「それか、諦める」

「その選択肢が一番やりそうだけど、二人のためにそれはやらないようにしておくよ」

「大丈夫だ。フォルなら、あの二人は嫌わないから」

「そういう問題?」

「そういう問題だろう。できる限り、あの二人が過ごしやすいようにする。二人の世話をして、ついでに護衛もする。そのために、俺達が選ばれたんだ。フォルだけは、二人の強い希望だけど」


 それだったら尚更だよ。あの子らが、僕を選んでくれたんだ。だから、僕は二人の側で守ってあげないとなんだ。世話も……


「ルノ、あの二人の教育ってどうなってるの?」

「頑張れ。俺達も協力する」

「答えを暗記させるようなのだったら得意な方だけど、やり方とかそういうのは苦手なんだけど」

「分からないからな。分からない人の気持ちなんて」

「うん。ルノに教えていた時もすごかったよね。僕が、ルノが分からないとこを何一つ理解しなかった」

「それでも、一から教えてくれて助かっていた。なんで分からないんだという顔をしながらも、覚えるまで付き合ってくれたし。デューゼ兄様は、こういう事は頼りにならない」


 そんなふうに思ってくれてたとは。分からないが分からないからって、教えるのにかなり時間かかっていたのに。


 ……軍部で教えていた時は、そんなふうにいってくれる人なんていなかったから。のう……武の方に偏っていて、勉強の方は、覚えようとすらしない人達ばかりだった。

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