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飛凰《ひおう》の姫君〜武将になんてなりたくない!〜  作者: 木村友香里
第一章 体罰子守に立ち向かえ!〜始まりの勇気編〜
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3.脱出劇その2

読んでくださり、ありがとうございます。

至らぬ点も多いかと思いますが、

皆さまに楽しんで頂けるよう、がんばります。

 ところが、先程の若い男がサッと先回りしてゆく手をはばむ。


 緋凰はとっさに片足でブレーキをかけると同時に、体の向きを変えて先程の部屋を、斜めに通り過ぎると廊下を走って行った。


 「お待ちを‼︎」

 部屋にいた男達が一斉いっせいに緋凰を追いかけ始める。


 二の丸御殿に戻ることは、もはや死ぬ事と思っている緋凰の全力疾走は早かった。


 だが、刀之介ら三人の武人達は日頃の鍛錬たんれんがすさまじいので負けない。

 すぐに追いつかれて捕まりそうになる。


 緋凰は身をひるがえして別の部屋に乱入すると、そこで座って仕事をしている男達の間をすり抜けて大人を足止めしつつ、閉まっているふすまをタックルしてはずすと、次の間からまた廊下に出てそのまま走る。


 「出口どこ⁈」


 初めての建物の中、完全に迷子になりながら廊下をさまよっていると、お待ちをーっと声が近づいてきた。


 また慌てて近くの部屋へ乱入したら、立っていたり座っていたり、たくさんの人達が一斉にこちらを向いた。


 緋凰はまた人の間をすり抜けていくが、途中で足がすべって転びそうになり、近くにいた老年のお坊さんの頭をガシッとつかんでしまった。

 ところが、頭があまりにもツルツルだったので、そこでも手がすべってお坊さんの上にドシンと倒れ込んでしまう。


 「大丈夫ですか⁈」

 追いついた刀之介が、腰をかがめて緋凰を抱き上げようと手を伸ばした。


 (帰らない!)


 すんでの所で、緋凰は体を横に転がして刀之介の腕からのがれると、起き上がりざま走り出す。

 刀之介はそのまま下にいたお坊さんを抱き上げてしまった。


 歳をとってはいても壮麗そうれいな武人のたくましい腕の中で、お坊さん(男)は思わずキャッ♡となる。

 その横を、おっさん三人がドカドカと緋凰を追いかけて通り過ぎていった。


 「失礼致した!」

 刀之介はお坊さんを元の所に立たせると、緋凰を追いかけて部屋を出ていく。

 去っていった方を見ながら、お坊さんはほぅ♡とため息をついた。


 「カッコええのう。ドキドキじゃあ♡」

 「おやおや、色欲ですかな?」

 隣のお坊さんが冗談混じりにからかった。

 「おぉ〜この年にして、まだまだ修行がたりんようだわい」

 ハハハと笑いあって、二人は雑談を再開したのだった。


 一方緋凰は、先程さきほど刀之介の後ろにいたおじさん武人に追いつかれそうになっていた。


 (ヤバい! あっ‼︎)

 前方に、先回りして待っていた若い武人が立ちはだかる。


 (止まっても後ろに捕まるなら…)

 緋凰はそのままスピードを落とさず走る。

 前方の男が、抱き止めようと両手を広げた。


 (二の丸はイヤ!)

 従兄いとこ鷹千代たかちよ(五歳)の得意技!


 手前で緋凰は大きく体勢を崩すと、スライディングで男の開いたまたの間をシュバッとくぐり抜けた。


 「え、早っ⁉︎」

 驚いた若い武人に、緋凰を後ろから追いかけていた男が、走りを止められずにぶつかってしまう。


 「おわっ! ちょっ、キショイわ〜。どうせなら女がいい」

 うっかりおっさんを抱き止めてしまって、若い男は盛大に文句を言った。


 「こっちのセリフだ! 阿保あほう‼︎ 何逃なにのがしている‼︎」

 言い合っているゴツい体の二人の横を、百敷と細身男の二人が通り過ぎる。


 わずかに間をおいて刀之介が、

 「何やってんだ!」

 とキレながら通り過ぎた。


 角を曲がると、百敷達が立ち止まってキョロキョロしていたので、刀之介が走りを止めて二人に歩み寄っていった。

ここまでお読み頂き、本当にありがとうございます。

これからも、どうぞよろしくお願い致します。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 可愛い緋凰と逞しいおっさん達の追いかけっこにドキドキ! お坊さんのキャッ♡ に笑ってしまいました。 時代劇風の長編は初めてですが、とっても読みやすいです(*^^*) キャラの名前も素敵…
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