第1話
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放課後。夕日の光が差し込む教室。
外からは、部活動に勤しむ生徒らの声と吹奏楽部による楽器の音色がかすかに聞こえてくる。
そんな賑やかな外界の世界とは裏腹に、教室には人影が二つ、静かに佇んでいる。
僕と彼女だ。
彼女の名前はユイ。
身長は１５０㎝くらいで、肩まで伸びたサラサラな黒髪が非常に似合う女の子。
この教室で一緒に学校生活を送っている。
そんな彼女が今まさに目の前で、夕日の光が差している中でもはっきりと分かるくらい、顔を赤らめている。
言葉を出すに出せない状況をどうにかしようと、勇気を振り絞っている姿がとてもいじらしい。
そして、やっとのこと口が開くと、
「あの……。急に呼び出しちゃってごめんね」
そう。僕は放課後この教室に残るように、下駄箱に置かれていた手紙で頼まれていたのだ。
「全然気にしてないよ。それで、急に呼び出してどうしたのかな？」
なんとか平静を装って口に出したが、おそらく僕もユイと同じくらいに顔を赤らめていたに違いない。
だって僕は、
————彼女のことが、心の底から好きだから。
高校に入学してからもうすぐ１年が経とうとしているけど、彼女のかわいらしさ、頑張り屋さんなところ、周りに気を遣える気配り屋さんなところに気づき、自然と目で追うようになっていた。
そんな彼女と過ごしてく中で、惹かれないという選択肢はなかった。
これは運命だとさえ思っていた。
そんな彼女から呼び出してもらえたんだ。緊張しないはずがない。
「カイト君、あのね、私、ずっとカイト君に言いたいことがあったの」
「えっ？」
思わず驚いてしまったけど、これはもしかして……
「私、カイト君のことが好き。大好きです。この１年ずっと一緒に学校生活を送ってきて、カイト君の優しさに触れて、いつの間にか好きになってたの」
彼女の目には、夕日の光に反射した水の粒が、今にも溢れだそうとしていた。
勇気を振り絞って思いを伝えてくれたばかりか、はっきりと僕のことを好きと言ってくれた。
両想いだったのだ。こんな嬉しいことなんて他には何もないと断言できる。
ふと、今までのことが頭の中でフラッシュバックして蘇る。
彼女のためにしていたことは、決して間違いではなかった。
そんないとおしい彼女に対してかける言葉は、すでに決まってる。
「僕も好きです」
ボキャブラリーのない僕には簡潔に答えるしかできなかった。
すると彼女は何も言わずに僕の胸に飛び込んできた。
教室にあった二つの影が一つになった。
「……嬉しい」
ユイは僕の胸で顔を埋めながら、涙声の中にどこか安心と幸せを内包したようにつぶやいた。
この子を一生大切にしよう。絶対に手放さない。
もうすぐ夕日が沈み暗くなりかけた二人だけの空間で、僕はその言葉を心に誓うように、彼女の身体を強く、強く、優しく抱きしめた————
ＦＩＮ
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