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7.海のボクサー

次の対戦相手を探そうと思ったはいいが、俺の今のステータスを見ると……。


==============

名称 なし

種族 木の箒

レア度…D

レベル…20

生命力(マナ)…50%

生命持続時間…一年

力…90

魔法力…250

防御力…73

敏捷力…126

進化力…70%


スキル 念話(テレパシー)弱 洗浄 賢人達の知(マゴイ) 暗黒魔法+ 基本魔法+

    魔力駆動 火耐性


称号 「ほうき」「魂の込められし道具(ソウルアイテム)

   「童帝」 「クズ」 「転生者」 「幸運の持ち主」


===============


マナが半分になりました。

アンコウ戦で調子に乗って魔力駆動を使いすぎてしまった。

おかげで体が最初よりも重く感じる。魔力を作る量を減らして激しい動きは抑えておこう……。

回復が出来ないのが地味に痛い。進化を待つしかないのって割とリスクたけえな。


でもあの一回の戦闘だけでこんなに減るもんなのか??マナ減るスピード早くね??


===============

海は木の箒の環境に適さないのでマナが激しく減退している。

===============


ああ。そういうのもあるわけね。一生海中生活も無理だったわけか。

それなら早めに海を脱出しないと……。


だが俺はデッキブラシ時代よりは焦っていない。

なぜなら次の進化まであと30パーセンと!

いろんなやつと戦えば案外簡単に溜まっていくかも!魔法もあるし!

でも魔法ってマナ使うし、どんくらい減るもんなのだろうか。


試しに使ってみよう。


今、俺が持ってるのは、火、水、風、土の四つ。基本魔法というらしい。

この海の中だったら一番わかりやすいのは風魔法??

そもそも技とかないけどどう使うんだよ。わかるか?マゴイさん。


===============

風をイメージし、魔力を操る。

===============


ふむふむ。風をイメージして魔力を……。魔力は魔力駆動で使えてたしなんとかなりそうだ。

俺は頭の中で風をイメージする。木すら切り裂くような激しい風の刃を……。


風魔法!風よおこれ!かまいたち(仮)!!


俺は魔力を前方に放出した。

すると水中でボコッ!と一瞬大きい泡が発生し、そのあと三日月形の水流が勢いよく進んでやがて消えていった。


おお!成功したぞ!よかった。暗黒魔法みたいにならなくて。

これでマナがどんだけ消費されたのだろうか……。


==============

名称 なし

種族 木の箒

レア度…D

レベル…20

生命力(マナ)…49%

生命持続時間…一年

力…90

魔法力…250

防御力…73

敏捷力…126

進化力…70%


スキル 念話(テレパシー)弱 洗浄 賢人達の知(マゴイ) 暗黒魔法+ 基本魔法+

    魔力駆動 火耐性


称号 「ほうき」「魂の込められし道具(ソウルアイテム)

   「童帝」 「クズ」 「転生者」 「幸運の持ち主」


===============


い、意外に減ってない??1%減っただけだが…。

といってもマナの用途って魔法だけじゃないからどちらにせよ地上は目指さなければ。


俺は地上を目指すべくそのまま浅海を急ぎ目で泳いでいく。

あっちから攻撃してこない限りは戦闘も控えることにした。ここで海の藻屑になるのはごめんだからな。

でも地上にたどり着いたらどうすればいい?

マナが自分で回復できないのは変わんねえし、唯一の回復手段である進化だってずっと同じ調子でできるわけじゃない。

あのギャル女神は「魂の誓約」を誰かと結べといっていた。強くなれるとかきいたけど、マゴイさん、具体的にはどういうものなんだよ?


===============

魂の誓約

相手と自分の魂を繋げ、一心同体とする儀。

これにより自分と相手の能力や身体を共有できる。

道具(あなた)の場合、生命と誓約を結べば相手と魂や生命力(マナ)をリンクするため、マナを自力で回復できるようになる。

===============


おお!そういう感じかよ!!相手の能力も使えるとなると確かに強いが、

だが心配なのは圧倒的に道具の俺は持ち主にこき使われることになるじゃねえか。

変なスパルタおっさんに無理やり誓約結ばれたら地獄でしかねえじゃん!

だが逆に考えればSっ気の大人のお姉さんと誓約結んだら……。いや俺がワンチャン上になる可能性もあるなぁ……。

それ以上はやめておこう。俺は童帝だ。

それよりも一番重要なのが、最後のところ。なるほど。

道具は自力で生命力(マナ)を回復できないが、人間とか自力で自然回復できるやつと誓約を結べば朽ちずに済むし、マナの心配もあんましする必要はなくなるってわけか。

そうはいっても簡単に見つかる気がしない。ましてや俺みたいなやつに。幸先が不安定だな。


先のことを考えたってしょうがない。今は地上に上がることだけ考えよう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


シュッシュ!!


しばらく泳いでいると俺に喧嘩を売ってくる輩がいた。

なんだなんだ!!


そいつは、海の中でも擬音が聞えそうなほど素早いパンチを放つ変な海老だった。

体長は俺の半分もない小さめの海老だが、目が痛くなりそうなくらい真っ赤な派手な色をしていて頭よりも巨大な握り拳を構えている。

俺はすぐにそいつを鑑定する。


=======

種族 魔物ーブラッディシュリンプ

危険度…C

レベル…18

生命力…70%

力…300

魔法力…10

防御力…43

敏捷力…221


スキル ウォーターストレート ウォーターリング ハイドロインファイト デッドアッパー カウンター


称号 「戦闘狂」

=======


え??強くね??

パラメータを見る限り完全な攻撃特化型だ。

称号に「戦闘狂」!魔物にもこういうのあるのかよ!

スキルやばそうなのいっぱいあるし……これは骨が折れそうだ。


だが俺も負けてはいない。なぜなら魔法を覚えた。

雑魚だと思ったら大間違いだぜ!

俺が攻撃態勢を取ろうとしたとき、


電光石火のスピードで俺に距離をつめ、拳を引いた。

は、はやい!

ドン!!と相手の右ストレートが体に直撃し、俺は吹っ飛ばされる。

いってええ!!これはスキルのウォーターストレートか!?

痛いというそれだけの言葉ではおさまらないほどの激しいパンチ。俺みたいなほうきは簡単に破壊されてもおかしくないが……。

自分の体を見てみるとわずかにひびが入っている。

逆にこれだけで済んでよかったとポジティブに考えよう。

だがあれを何度も喰らったらやばそうだ。遠距離から魔法で応戦するしかないか。


俺はブラッディシュリンプ……呼びづらいから海老ボクサーと呼ぶことにしよう。

海老ボクサーと距離を保ち、さっき成功した風魔法で攻撃を試みた。


風魔法!!くらえ!!


風魔法があたりそうなギリギリの間合いを取りつつ、魔法を放った。


シュッ!!!


すると海老ボクサーは俺の放った風の刃を素早いパンチで掻き消したのだ。

な!!

攻撃は最大の防御とはこのことをいうんだな。

だがまったくダメージを受けていないというわけではないっぽい。

その証拠に受け止めた拳に切り傷が残っている。

相手が俺に攻撃できないくらい魔法を連打して倒すのが一番良い方法な気がするが…。

マナの消費が心配だ。

しかし現時点での進化力は約70%。これは賭けだがこいつを倒して進化してやる!!


風魔法連打!!


風の刃を次々放つが海老ボクサーは素早いパンチで全て打ち消す。

いつかは倒れるかもしれないがこれではじり貧だ。

他の魔法は使えないか……水魔法はどうだ!

俺は激しく流れる水流をイメージし、魔力を放出した。

すると魔力が水の流れを作り出し、徐々に強くなっていく。


くらえ!!水龍波(仮)!!


風の刃を全てパンチで掻き消した直後、海老ボクサーに激流が襲う。


「ブビビ…!!」


激流はさすがにパンチで掻き消すことはできず、後方に飛ばされていく。

はは!!どうだ!

更にダメ押しで風魔法3発!!


しかし海老ボクサーはすぐに態勢を立て直し、俺の放った風の刃を打ち消した。

ぐぬぬ……。意外としぶといな。

ならもう一度水魔法だ!

おれが魔力を込めようとした瞬間、そうはさせまいと海老ボクサーは一気に間合いを詰めてきた。

や、やべ!!

俺が後ろに下がって距離を取ろうとするが、な、なんだこれ!!


謎の見えない壁見たいのがあってこいつから離れなれない!!

シュッシュッ!

俺がどぎまぎしているのをお構いなしにアッパーを放ってきた。

ぐああ!!

もろにくらい、ないはずなのに血がどぼどぼ漏れている錯覚を味わう。

くそ……なんだこの壁!マゴイさんこいつのスキルか?!


=============

スキル、ウォーターリングの効果。

水中で水の壁を周囲に展開し、相手を逃げれなくする。

並行してハイドロインファイトを使うことが多い。

ハイドロインファイト……打撃系スキルの攻撃力が2倍になる。ただし相手の間近まで接近しなければ効果はない。

=============


はは…これはけっこうまずいな。


「ビギギ!!」


マゴイさんのメッセージをよんでいたらパンチを喰らってしまった。

ぐはっ!!!!

くそ!!さっきより威力が上がっている気がする!ハイドロインファイトの効果か!!

どうする!!このままじゃ死ぬ!!


俺は風魔法で応戦しようと風の刃を放つが避けられてしまう。

ん……?避けた?


「ギッ!!」


避けた瞬間、素早く拳を引きながら間近まで接近し、強烈なストレートが直撃する!!

ぐっ!!!

か、カウンター……。今までの攻撃で一番強烈だ…。

痛みで俺は動けずにいた。だが俺がダウンしているのもお構いなしに海老ボクサーはパンチをやめず、ボコスカと殴ってくる。

お前、これが本当のボクシングだったら反則だぞ…って言ってる場合じゃねえ


ボカ!ボグ!ボコ!!


サンドバッグの要領で俺を軸に周りながら殴っている。

俺が倒れないようにしてんのか?ご親切にどうも!!


俺は長い柄横に薙ぎ払い攻撃を喰らわせようと思ったがひょいっとよけられ、またしてもカウンターを喰らってしまった。


ぐはっ!!


真っ白に燃え尽きそう。

もうやめてー、とっくにほうきのライフはゼロよー……意識が朦朧としてきた…。

だが……ここで終わるわけにはいかない!!


ほうきだけど第二の人生も同然!!今回は諦めてたまるか!!


俺は海老ボクサーのパンチをかわし、素早く魔力を練る。

ここは相手のスキルで閉じ込められた環境。一見相手にぶがあるように思うが、こっちにも好都合な環境だよ!


火魔法!インフェルノ(仮)!!


海老ボクサーは攻撃する手を止め、俺の動きを警戒し始めた。

するとあたりに充満する熱に気づいたのか、キョロキョロとあたりを見回し始めた。


俺は激しい炎をイメージし、魔力を放つがここは水中。火など起こるはずがない。

だが前に戦ったアンコウが火は起こせないが熱は伝わるとするなら……。

俺の火魔法でもそれができるのではないかと考えたのだ。

よって火は発生しないが、火をイメージした魔力は熱が発生し、それが数を増すごとにこの密室がサウナのように温まっていく。

いやサウナどころではない。海に生きる生物にとってはそれは灼熱の焦熱地獄だった。


ボコボコと熱により海水が沸騰し始める中、海老ボクサーはというと体を縮こませ、「ギ…ギ…」と声にならないほどの鳴き声で苦しんでいる。


ははは!どうだ!海老ボクサー!!お前に有利な状況と思ってただろ!!だが残念だったな!!

おまけに俺は火耐性をもっている!持っていないお前の方が確実に先に死ぬ!


お前はこのまま蒸し海老になって寿司屋で売られろ!!それがいやならこの閉じ込めスキルを解除しろ!!


「ギギ…!!」


海老ボクサーは丸めていた体を起こし、俺からかなりはなれていった。

解除したか!俺も同時に相手から距離を取る。


海老ボクサーはかなりダメージを負ったのか、俺から背を向け逃げようとしている。

おっと??ボクサーが試合終える前にそんなことしていいのかな??

喧嘩ふっかけてきたのはそっちだぞ!その責任を最後まで果たしやがれ!!


くらえ!!土魔法!とどめのロックキャノン(仮)!!


巨大な岩をイメージし、土魔法を使った。

目の前に俺の二倍くらいの岩が生成され、大砲の如く勢いで海老ボクサーに発射された。


「ギ!!」

岩に直撃した海老ボクサーはそのまま抗う事も出来ずに岩と共に海の彼方へと消えていった。



……。

勝った!勝ったぞ!!

ちょっと苦戦したけど楽勝だな!え、ちょっとどころじゃない??

ん、まあ正直死にそうでした。火耐性なかったらな。

称号「幸運の持ち主」ってのも案外間違ってないし、また助けられてしまった感はあるな……。

魔法にも大分慣れたし、このまま次に行きたいという気持ちはある。

だがしばらくはもう戦いたくない。だってへとへとだし……軽くピンチだったし。

ところで今ステータスってどうなってんのよ?


==============

名称 なし

種族 木の箒

レア度…D

レベル…25(Max)

生命力(マナ)…12%

生命持続時間…3か月

力…90

魔法力…250

防御力…73

敏捷力…126

進化力…100%


スキル 念話(テレパシー)弱 洗浄 賢人達の知恵(マゴイ) 暗黒魔法+ 基本魔法+

    魔力駆動 火耐性


称号 「劣化したほうき」「魂の込められし道具(ソウルアイテム)

   「童帝」 「クズ」 「転生者」 「幸運の持ち主」


===============


うわ!!マナがごっそり減ってるし!やべえ!!

と思ったがレベルと進化力がMaxになってる。

……さすがにここは俺の実力だよな!


======

進化力が100%に達した。

進化先を選択。


・魔法の杖

・魔法のほうき

・清浄なるデッキブラシ

・風の剣

・アクアランス

======


お!!進化先が5つも!!そんなに推薦してくださるんですか!

とりあえず詳細を!


======

・魔法の杖

魔法に特化するように魔力が生成しやすい素材でできた杖。

魔法力が大幅に上がる。


・魔法のほうき

魔法に特化するように魔力が生成しやすい素材でできたほうき。

魔法力が大幅に上がる。

魔法の杖との違いはあまりない。


・清浄なるデッキブラシ

全ての汚染を洗い流す清浄属性の魔力が宿ったデッキブラシ。

パラメータはあまり上がらないが、清浄系スキルを多数覚える。


・風の剣

風属性の魔力が宿った剣。

風以外の基本魔法は破棄されるが、攻撃力、防御力が大幅に上がる。


・アクアランス

水属性の魔力が宿った槍。一時的に水化することも可能。

風以外の基本魔法は破棄されるが、攻撃力、敏捷力が大幅に上がる。


======


ふむふむ。これはけっこう迷うぞ。

魔法の杖はその名の通り魔法特化だな。ほうきもあんまり変わらないって書いてあるし、この二択だったら魔道具としてレア度の高いほうきだな。

そしてここにきてデッキブラシ。なんだよこの謎のデッキブラシおし。やめてくれ。

しかも割と使えそう、でも俺はデッキブラシに二度と戻ることはない。

後の二つは完全なる武器だな。

風の剣。めちゃくちゃかっけええええ!!

俺がもし中高生だったら迷わずこれにしようと思うが、俺はそんな単純ではない。

アクアランスも捨てがたい!蝶のように舞い、蜂のように刺す。華麗なる槍さばきが余裕で妄想できる。

だけど基本魔法が破棄されるのは普通にいたいなあ。せっかく使いこなせてきたのに。

それに全く別の物質に変化するとなると、慣れるまでにじかんかかるしなぁ。


ここは無難に魔法のほうきだな。

魔法のほうきに進化!!


するとみるみるうちに俺の体は光に包まれた。

うお!!久しぶりだ!この感覚!!

ほんの数秒で光は消えた。ほうきのままだからそんなに時間がかからないのだろうか。

だけど体が前より数倍軽くなった感じがする。


うおー!!なんだこれ!!

うごくうごく!!

これでステータスはどうなった??


==============

名称 なし

種族 魔法のほうき

レア度…C

レベル…1

生命力(マナ)…100%

生命持続時間…6年

力…105

魔法力…420

防御力…66

敏捷力…210

進化力…0%


スキル 念話(テレパシー)弱 洗浄 賢人達の知恵(マゴイ) 暗黒魔法+ 基本魔法+

    魔力駆動 火耐性


称号 「新品のほうき」「魂の込められし道具(ソウルアイテム)

   「童帝」「クズ」「転生者」「幸運の持ち主」


===============


やったああ!!さらに強くなっちゃった!!

姿はというと、柄の部分が漆黒に染められ、穂先の部分は逆にベージュ色で明るい色合いとなっている。

柄の部分にはなにやらオシャレな模様が刻まれている。かっけえええ!!!

今のところ順風満帆にいってるな!けど、このあとフラグ回収しそうで怖い。

油断せぬようにいかなければ。


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