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6.初戦闘

俺は今優雅に海を泳いでいる。

そう優雅に…。


だれも俺を敵として認識しないんだが。

レベルを上げるに戦闘をしたいところなんだが、誰も俺を気に留めずすいすい泳いで行ってしまう。

時々、なんじゃこりゃ?とつんつん突っついてくる輩がいるがそれだけである。

そりゃそうだよな。だっておれただのほうきだし。まさか意志があるだなんて思わないだろう。

魚ならなおさらだ。

かといってこっちから奇襲しかけて一方的に攻撃するのも気が引けるが……。


ふむ。どうしたものか。

とりあえず、海の奥に進んでいくか。

こういうのって海底神殿とかあるんじゃないか??

誰にも発見されてないようなダンジョンが。

だが深海に行きすぎないように気を付けなければ。水圧でぺっしゃんこになってしまうからな。


俺はほうきの穂先を尾ひれのようにして動かす。

遠くから見たら魚の一種ではないかと見間違うほど水中での動きは軽やかだった。

いっそこのまま海で暮らそっかな。


んー。特に変わったものはないな。

強いて言えば光が届かず暗くなったくらいで、逆に上を見上げれば光がオーロラみたいに差し込んでいて神々しさがある。

めっちゃ綺麗だな……。こういうの絶景って言うんだな。こんなに感動的な景色は中学以来だなぁ。

そうだ!

誰にも襲われないんだったら別に強くなる必要なんてないんじゃないか!!?

そりゃある程度は必要かもしれないが、焦る必要なんてない。

こんままゆったり異世界観光なんてのも悪くないな……。なんかオラわくわくすっぞ!


俺は今までなにを焦っていたのだろう。焦るからあんな思いをしたのではないか。

急がば回れ。急いては事を仕損じる。ゆったりと行きましょう。


そう安穏とした気持ちに浸っていると……。

薄暗がりの中、なにやら前方に赤いランプが点々と光っている。

おー!新たな観光スポットか??ついに海底神殿への手がかりが…!


俺はスピードを上げて急いで光の下へと向かう。

が、やがて光は消えてしまった。

……なんだ?

俺はそのまま前方へと進み、なにかないかと見渡すがなにもない。

なんかのプランクトンかなんかだろうか。ま、いっか。

そう決めつけた時ー


ガン!!!


鋭い牙が柄の部分を掠める。

な、なんだ!!?


「ガガガガ!!!」


目の前に巨大なチョウチンアンコウが姿を現した。

うわああああああ!!!

しかもそのチョウチンアンコウは俺を敵か獲物のどちらかと認識したのか容赦なく襲い掛かってきた。

なんでなんで!!?俺ただの無害な道具だよ!!敵でも獲物じゃないよ!!

これはどういうことだ!さっきまでなにも……。


=======

相手があなたに溢れ出る生命力(マナ)を認識。生物と判断したと思われる。

=======


そう考えたら今までの俺はスーって流れるように泳いでたし、会ったのも弱そうな小魚ばっかり。

やはり現実は甘くない。あはは。

だがしかし喧嘩を売ったのなら買ってやろう。ここで返り討ちにしてくれる!

とりあえず相手のステータスを教えてください。マゴイさん。


=======

種族 魔物ー炎熱(ヒート)アンコウ

危険度…D

レベル…15

生命力…40%

力…120

魔法力…20

防御力…50

敏捷力…5


スキル ヒートタックル バーンストリーム ヒートファング 惑わしの光


状態異常:空腹

=======


割とつええ…!俺よりちょっと上くらいか?

初戦が強敵となると普通のRPGなら適性レベルを上げ、万全の体制で向かうが俺は逃げねえ!

ここで勝ってこそ真の強者と言えるだろう!ま、やばくなったら逃げるけど。

スキルや名前からして火というより熱を放出する系の魔物か。

力の強さが脅威だがそれ以外は大したことない。なにより足の遅さがこいつの欠点だ。いや足ないか。

案外やれるか!?

それとさっきから気になるのが状態異常の空腹。いや意味はわかるんだがここに書いてあるってことはなにかしらあるんではないかと思ったんだけど。


=======

空腹…長時間なにも食していない状態。この状態のとき自分のパラメータの最も高いものが2倍になり、それ以外はマイナスされる。

=======


まさかのバフ効果があるのか!?

腹が空きすぎてなにがなんでも喰らってやろうってか!?元デブとしてその気持ち、わからなくはない!

だがこちらもただではやられるわけにはいかない!

ということはだぞ、攻撃力240!!?やばくね??あんだけ息巻いてたのに早くもビビりになっている。

俺ただのほうきだぞ?おいしくねえがいいのか!?他あたったほうがいいんじゃねえか!?


「ガガガガ!!」


静止してこちらのようすを伺ってきたアンコウが突進してきた。

うお!!

間一髪のところで避けたが、あまりの力にその余波で数メートルほど吹き飛ばされる。

近距離まで接近された時に高温度の熱波が体に伝わった。

今のはヒートタックル……?

そう認識した瞬間、激しい熱が脳に伝達してきた。あっつ!木の部分がちょっと焦げてるし!!


俺が熱に悶えているすきにアンコウは次の攻撃態勢へとうつった。

大口を開けて、向かってくる。あれはヒートファングか!俺は再び避ける。

パラメータどおり動きはめちゃくちゃ遅い。数秒待っても避けれるレベル。

これならいけるだろ!


……。まて。


俺攻撃スキル持ってなくね???


ステータス…。

==============

名称 なし

種族 木の箒

レア度…D

レベル…3

生命力…90%

生命持続時間…二年

力…40

魔法力…160

防御力…50

敏捷力…90

進化力…10%


スキル 念話(テレパシー)弱 洗浄 賢人達の知(マゴイ) 暗黒魔法+

    魔力駆動


称号 「新品なほうき」「魂の込められし道具(ソウルアイテム)

   「童帝」 「クズ」 「転生者」


===============


サポート系のスキルしか持ってねえ!!!

暗黒魔法はよくわからんから除外するとしてこん中で戦闘として使えるの魔力駆動くらいしかない。

仕方ない。持てる武器で戦うしかねえ。


俺は魔力駆動の出力を上げ、素早くアンコウの後ろに回る。

そして穂先の毛を棘のように鋭くたたせて、アンコウの背中を狙った。

名付けて百棘ひっかき!通用するかわからないが、やってみる価値はあるだろう。


背中に接近し、回転するように掻き切った。


「ガガッ!!」


アンコウが苦しそうに水泡を立てながらのたうち回っている。

おお!!効いてる!

と安堵したとのも束の間、あっつ!と思ったら俺の穂先が焼け焦げていた。

直接攻撃はなるべく避けたほうがいいと言いたいところだが、遠距離攻撃がない。

どうにか急所を狙うか??どもアンコウの急所ってどこだよ。心臓の位置もわからない。


「ガッ!!」


アンコウは再び大口を開けた。俺は反射的に避けたが、奴は動いてこない。

な、なんだ…?いやこれは!

途端、渦を巻いた水流が勢いよくこっちにむかってきていた。


ま、まずい!

避けようと思ったときには遅かった。渦の流れに呑み込まれ、直撃した。

うあああ!!あっついあついあつい!!全身に熱湯を浴びさせられた。

俺はダメージで数秒、その場で止まってしまう。


アンコウはというと疲弊しているのかその場で静止している。


さて、どうしたものか……。

アンコウが疲れている間になにか手立てを考えなければ。


とりあえず相手と俺のステータスを見よう。


==============

名称 なし

種族 木の箒

レア度…D

レベル…10

生命力(マナ)…70%

生命持続時間…二年

力…80

魔法力…200

防御力…65

敏捷力…103

進化力…50%


スキル 念話(テレパシー)弱 洗浄 賢人達の知(マゴイ) 暗黒魔法+

    魔力駆動


称号 「新品なほうき」「魂の込められし道具(ソウルアイテム)

   「童帝」 「クズ」 「転生者」


===============


=======

種族 魔物ー炎熱(ヒート)アンコウ

危険度…D

レベル…15

生命力…20%

力…120

魔法力…20

防御力…50

敏捷力…5


スキル ヒートタックル バーンストリーム ヒートファング 惑わしの光


状態異常:空腹

=======


いつの間にかレベルがめっちゃ上がってるし100%あった生命力(マナ)がめっちゃ下がってる!

まあそれは後で考えよう。今は戦いに集中だ。


俺の持てる知識を全て思い起こし、作戦を練り上げる。

熱……熱は冷水で冷やす…ども水スキルもってない。

あんこうといえば、あん肝。意外とうまいって違う!!

深海魚…は……!そうだ!


これが異世界の魚に通用するかわからないがやってみる価値はある!!

幸いにもあんこうは動いてこない。


俺は魔力駆動の出力を最大限上げ、あんこうの下に潜る。

熱いかもだが我慢だ!!

柄の先を槍のようにあんこうの腹につきさし、そのままの勢いで上昇する。


うおおおおおお!!!あがれあがれあがれ!!

深海魚は水圧が急激に変化するとそれに耐えられず死ぬ。

もしこれでダメだったら退くしかない。


「ガガガギギ!!」


あんこうはあまりの勢いに体を動かせないみたいだ。

徐々に近づく光を恐れ、必死に熱を発生させ抵抗してくる。

熱いが我慢だ!勢いを落とすな!その瞬間負けだ!!

俺はロケットだ!!いやほうきだ!


そう自分を鼓舞し、アンコウを浅海まで持っていき、勢い余って。


バシャ―ン!!


海面を突き抜け、地上に放ってしまっていた。

あ、やべ。


再び海に落ちてくるあんこうを見守りながら恐る恐る近づく。

まだ生きてるか…?


アンコウは力が入っておらず、海面に体を平行に向かせ、そのまま浮いている。

死んでる?

ためしにツンツンと突っついてみる。アンコウに熱はなくむしろ冷たくなってどうやらたおせたみたいだ。

俺の勝ち……!!おっしゃああああ!!


初めての戦闘で初めての勝利!!

今までこれほどの達成感を味わったことはないってくらいの喜悦で心が満ちた。

勝った!!勝ったぞ!!

俺が快哉をあげていると、


=============

称号「幸運の持ち主」を取得。

スキル 火魔法、水魔法、風魔法、土魔法を獲得。これらは基本魔法にカテゴライズ。

    火耐性を獲得。

=============


タイミングがいいな!さすがマゴイさん!わかってるう!

えーとなになに、新称号か!ん?幸運の持ち主?

なんだよそれ、このタイミングだとまるで俺が運で勝ったみたいだな。

いやよくよく考えてみると、アンコウ弱ってたからな。運良かったのか。

そしてスキルが……。って、え!?

一気に四つも覚えちゃったよ!……ふふふ。これはきたぞ!

もう運なんかで勝負しない!なぜなら俺には武器があるからな!

こんだけ魔法があれば最強じゃないか!

おまけに熱を我慢していたおかげで火耐性をゲットしたみたいだ。


このままの勢いでどんどんいっちゃおう!


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