49 兄弟盃
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累計PV 600,000を超える勢いで読んで頂き読者様には感謝の言葉で一杯です。
多数の高評価も頂き恐悦です。
まだまだ足りない所や抜けてる所の多い自分ですが、これからも生暖かく見守り、時に厳しくツッコんでいただけたら幸いです。今後ともよろしくお願いいたします。
美味い酒を人数分差し入れにもらったドワーフ達の団結力は凄まじく、ワンルームマンション40部屋の内装を次々と終わらせていき、あっという間にマンションが完成した。
「大丈夫、寮費で十分元は取れる」とはハルの弁である。
予定より早く建物ができた事で予定を前倒しにすることに決め商業ギルドに向かった。
「新しく作った従業員用の住居に家財を入れたいんで大急ぎで40部屋分手配してくれ」
ハルも勇者達に毒されてきたのか、容赦ない無茶振りをする。
受付のお姉さんも顔を引きつらせながら連絡がつき次第家具の商会を向かわせることで決まった。
あり合わせで使えればいいってレベルの物という形での注文にホッとする受付のお姉さん、オーダーメイドで40部屋分など時間がどれだけかかるかわかったもんじゃない
某所からの情報でハルが奴隷を従業員としてかなりの数買い集めたらしい事、その奴隷の納品が今週である事を掴んでいる。
つまり、今回の件はその従業員の為の物だと結論付けて大至急で担当の商会に連絡を走らせる。
ここからの商業ギルドは蜂の巣をつついたかのような騒ぎになった。
そして俺はその足で奴隷商の所に向かう。
「受け入れの建物はできたから早めに連れてきてくれ」
端的に、用件のみ伝えるとささっと奴隷商の所から出る。
出た所で数人のガラの悪い男に囲まれた
「ハイドアウェイのハルヒト様でいらっしゃいますね、ウチのオヤジがお連れしろという事でお迎えに参上しました」
「もしかして盗賊ギルドの若い衆ですか?」
「へぇ!よくおわかりに!ナガレイシですなぁ」
と背中を叩きながら大笑い
ナガレイシって・・・流石・・・さすがって読むんだぞ・・・と心の中でツッこんだのだが、
そもそもこの世界の文字は漢字ではない事を思い出す。どこから聞いたネタだ?
世の中にはまだまだ不思議が一杯だ(笑)
とりあえずお招きに預かろう・・・今日は手土産無いけど
そんな感じでドナドナされていく俺でした。
ーーーーー盗賊ギルドーーーーー
若い衆がズラッと並んでる
盗賊ギルドって言うよりまんまヤ〇ザだな
「お疲れ様っす」
ズラッと並んでOJIGIである・・・
なんだ?この異様な空間は?
「若旦那、こちらへどうぞ」
若旦那?なんかおかしくね?そう思いながらも案内通りに応接間の方に向かう。
「おう、来たな!若旦那!」
大きな声で呼ばれたわけだが、一瞬誰だって思っちゃう、だってすげぇフレンドリーだったんだもん。
「お招きありがとうございます。」
とりあえず一礼
「まぁ楽にしてくれや、先日の件は全部丸飲みでエエワ」
ん!?自体好転?まぁ元々悪くはなかったが、いきなりの話に驚きを隠せない。
「よろしいのですか?」
「お前さんらの力ならワシらに話通さんでも上手くやるだろうに、ちゃんと裏の筋を通しに来とるんだ、ワシらもその気概に応えんと」
「ありがとうございます。今、会場を作ってる最中でして、オープンはまだ先になるのですが」
「わかっとるよ、デュオ坊が軸になっとるんだろ?お前さんも大変だな」
デュオ坊って・・・どんな関係だよ?ツッコみたいけどツッコめない。
気を取り直して話を続ける。
「つまり、お前さんの用意した酒をうちの用意した姉ちゃんに売らせて酒の値段で追加報酬があるっちゅーわけやな」
「そうです、お客様の席でお酌のサービスをする基本給とは別にお酒の追加報酬で」
「その姉ちゃんの利益をうちらが上前跳ねればええんやな」
「そうですね、女性の衣装や化粧道具なんかはこっちで用意しますよ」
「身体一つで姉ちゃん送り出せば何もせんでも金が入ってくるわけか、いいじゃろそれで決定打、男に二言は無い!ワシが嘘こいたらエンコ(小指)詰めちゃるけん」
いや小指はいらんのだが・・・まぁ、それだけの覚悟で話をしてくれてると見るべきだろう。
「ありがとうございます。俺も酒の値段とかは一切誤魔化さない事をこの腕に賭け誓います」
そう言って腕をまくって見せる
親分は二カッと笑って「肝が据わっとるな、うちに来る気は無いか?」
「いえ、俺は一介のバーテンダーですので」とさらっと断る
「ふん、まぁええ、代わりにこれをやる」
そう言って金色のバッチを投げ渡される
ってかよぉ、これ代紋じゃねぇか!どう考えてもこれ貰ったら構成員じゃないのか?
「やんちゃな馬鹿に絡まれたらこれ見せてワシの名前出せばええ、なんもできんよってな」
「はい、ありがとうございます」
その時の俺の笑顔は相当ひきつってただろうと思う
接客スキルでそれほど酷くはなかったらしいが・・・
「そういえば、こないだ貰った酒は滅茶苦茶うまかったぞ!」
唐突に振ってくる点はおねだりと見た!
俺は迷わずアマゾンで発注、インベントリから久保田 純米大吟醸 萬寿を2本出す
「お気に召されたようで何よりです。勧めた酒を喜んでもらうのがバーテンダーは何よりの喜びですから」
そう言って一升瓶を2本差しだす。
「わかってるじゃねぇか!よし、お前さんに杯をやろう、おいゴウケイ、兄弟盃の準備をしろ!」
俺の返答を聞かずに決定事項として用意が進んでいく
ぉ~ぃ、おいてかないでくれ~
俺は着替えを促される・・・黒の紋付である・・・おかしい、ここは異世界のはず・・・
「最初はとりあえず昼から夜中の12時までの営業にして最低5人は女の子に待機してて欲しいです」
「なるほど、そっちのスタッフが揃ってきたら交代で休まず営業ってとこか」
「はい、そのつもりです」
「ワシの方からも奴隷商の方に圧力かけておいてやるから早めに人数揃えて24時間戦ってもらおうか」
リゲ〇ンみたいな発言だな、おっかねぇ・・・
つまり、スタッフを早々に揃えろっていう俺に対する圧力だな・・・容赦ねぇ
「わかりました、早めに揃えるよう努力します」
すいません奴隷商人さん、購入人数が倍の30人になりました。
女の子の住む場所とかは?
「それはこっちで面倒見るから気にせんでええよ、商品の管理はこっちでするわ」
女性を商品ってみる辺りがやっぱり風の業界系の人だなぁって
ちなみに風の業界ってのは風俗業界、水の業界ってのは飲み屋とかの水商売である
まぁ、盗賊ギルドに話を持ってきた時点でこうなるのは予想の範囲・・・じゃねーよ!
そんなわけあるかぁ!俺が有利に話を運ぶつもりだったのが、初手に完全降伏の姿勢を見せて
その後丸飲みしたんだから俺の意見も通せって圧力かけてくる、これが極道か?
そうこうしてるうちに準備が整い広間の方に案内される。
俺と親分が上座に並ぶ、その前で盃の用意をする女性、
若頭のゴウケイさんがおかみさんと呼んでた事から親分の奥さんだろうと予測
凛と響く綺麗な力強い声で
「この盃は義兄弟の契りを結ぶ盃です、この盃にお互い血を一滴入れてお互いの血を身体に入れる事で兄弟になります
この血と盃の契りは血の繋がった親よりも強く結び、双方の発展に力を合わせ尽力するものである」
長い口上だがそういう事らしい
俺と親分は数字で5と書かれた盃に一滴ずつ血を入れて盃を交換する
互い顔を合わせ頷いた後一気に杯を呷る
そしてその盃を紙にくるんで懐に入れる
年齢的にも親分が兄貴という事になった、ってかそうじゃないと俺が苦しいわ!
満場から拍手が起こり
「親父殿、いい兄弟貰いましたな!」
「叔父貴!今後ともよろしくお願いいたしやす」
と口々に挨拶される
後で知った話 盃の数字は何分の兄弟盃かを表すもので、俺と親分・・・(以下兄貴に呼称を変更)は五分の兄弟になったらしい
「兄貴も機会があったら俺の店に飲みに来てくださいね、いい酒用意してますから」
ニヤッと笑う兄貴だったが思い出したかのように
「まぁ、無茶を言ってるのもわかってるから、うちから一人奴隷を出そう」と言い出し
それを聞いたメンバーの一人が「例の女を叔父貴に!」って叫んでバタバタと準備する
そして連れてこられたえらく美人の女性
「こないだウチに仕掛けてきた馬鹿から巻き上げた戦利品だが、ワシからのちと早い開店祝いだ」
そう言って奴隷紋の主人交代で俺に譲渡される
「器量もいいし顔もいい、お前の好きにしたらええ」
下品な笑いをする兄貴に俺は苦笑い
見た目はタイプ、ちょっと辛口に見ても評価は下がらない
スタイルはまぁスレンダー系の美人で胸は普通?巨乳さんではないから俺的にはポイント高い
対抗してた盗賊団の頭の娘だったらしい
「名前は?」
「メアリー」
暗殺者じゃないよな・・・って、気付いた人は何人いるだろ?
まぁ丁度いいかな?この子をカジノの代表に仕込んじゃおう・・・
そう思い「兄貴、ありがとうございます!助かりましたよ、ほんっとに」
乾いた笑いを見せる
「おう、近いうちに店にも顔出すからな!」
って最後は軽いあいさつで〆て話も終わりとりあえず帰る事に
ハイドアウェイに向かう前に奴隷商の所にもう一度顔を出す。
「悪いが店主いる?」
「は、ハルヒト様、ただ今呼んでまいります」
そう言ってダッシュで駆け上がっていった
「これはこれは毎度お世話になっております、本日はいかがされましたでしょうか?」
「これから連絡が入ると思うが、盗賊ギルドの親分からの指示でこないだの注文倍量だ30人で頼みます」
俺はそう言いながらもらったばかりの金バッチを見せる
「蛇と蜘蛛の金のエンブレム!?」
俺が盗賊ギルド系でも幹部級であることの証である。
ここに睨まれると奴隷商はやり辛くてかなわない、むしろ盗賊ギルドの金貸しのおかげで借金奴隷が定期的に入るのだ
「わ・・・わかりました・・・早急に手配いたします。」
さすが盗賊ギルドの金バッチ、予想以上の効果だ!
追加注文をしたところでハイドアウェイに帰っていく。
店に戻ると商業ギルドからの使いで来たエドランド商会の人が挨拶に来る
「この度は当商会をご利用いただきまことにありがとうございます。」
面倒な挨拶はすっ飛ばし、裏のマンションに連れて行く
「同じ間取りが40部屋、住むのはうちの従業員だから普通に安物でいい、
ベッドとタンスと小さいテーブル位でいいか、それと寝具だな、大至急手配して」
大口の注文である、一も二も無く了解すると駆け足で出て行った
さて、手配は済んだ。後は現物が届くのを待つばかり・・・っと
俺は一つ大きな伸びをして深呼吸する。
夕方過ぎてからカズキ達との相談で、今回の奴隷っ子が30人になる事
出来れば一日でスタッフとして全員使えるようにしたいって事で午前午後4時間ずつで一人5人ずつ連れて行く事で合意
カズキとマサノリ、イッセーが五人ずつ連れて行く感じだ
そして俺はその間にメアリーを数日連れまわしてレベリングするかな
カズキ達にEXP増加のアクセ借りてこなきゃだ。
俺とハンティ、フィリアン、メアリーでレベリングだな、連れて行かないとキレるだろうし、
そんな感じで予定はどんどん埋まっていく。
俺の長期休養とバカンスはどこに消えたんだろう・・・
釣り・・・行きたいなぁ。
お茶会、レベリング、カジノの営業、そして一番大事なBARの営業!
まだまだ楽はさせてもらえないらしい、
一段落ついたら思い切って一週間くらい店を休みにして社員旅行に行ってやる!
そう心に誓う俺だった。




