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41 祝いの酒

<注>この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

新人のバイト君が店の方に顔を出す


「「「今日からお世話になります」」」


「うん、じゃぁ、そのテーブルに座って」


俺は席に座らせてフィリアンにアイスコーヒーを人数分頼む


「労働条件はトレミーに伝えた通りだけど質問ある?」


「お休みの件ですが、」


「定休日はユピの日、その日の食事は各自でって感じだが、他に休みたい日があれば聞くぞ

あと、前日や当日欠勤は避けて欲しい、事情があればやむを得ないんだが、できるだけ3日前には伝えて欲しいかな」


「わかりました」


「後は、質問があったらその都度聞いてくれ、仕事についてもだが、奴隷の子も多いが君達の先輩なので敬意をもって接してほしい」


「はい、わかりました」


ここで彼女達新人4人の紹介をしておこう、ざっとこんな感じだ


トレミー   24 最初に声を掛けてきたお姉さん 茶髪ショート

キャロット  17 可愛い子 茶髪ツインテール

ミーティア  21 真面目そうな子、ギルドでは経理もやってた事務系の子 緑の髪でショート メガネ

ミネルバ   168(見た目20) 結構ゴージャスなエルフのお姉さん 金髪のウェーブロング


お店の他の子にも4人を紹介しハンティとエミリアに指導を任せる


4人の制服を取り出し着替えをさせる。もちろん更衣室だ、俺はそっちに行ってない


着替えに行ってる間、スタッフ全員に今後の方針を伝える


今日のバイトの子達はホールに集中、演奏を交代でしていく事


今のメンバーから厨房担当の立候補が居ないか聞く


「私が・・・やりたいです・・・」


ミッフィーが立候補か、まぁホールで接客するより裏方向きの性格だよな・・・


「うん、じゃぁミッフィーには今後俺達と厨房に入ってもらうから」


そう言って仕事を割り振っていく


ちなみにミッフィーは俺を除けば唯一のバイオリニストだったりするが、


バイオリンが出てくる曲ってそんなに多くないからステージの影響も少なくて済む



バイトの彼女らを注意深く見守りながら今後の事を考えていた・・・



「これも悪くないっちゃ悪くないんだが・・・」


俺はある計画をしていた。


週に一度、定休日とは別に俺の休日を貰う、旧店舗で夜の間だけこっそり営業する


隠れ家的な店・・・週に一度しか開かない店


店名はそのまんま『ハイドアウェイ』隠れ家だ


商業ギルドは営業権の件で話を通さなくてはならないが、告知一切無しで俺がまた~~~~~り営業するための店だ。


ミスルトウが俺無しで回るようになったら俺はこっちに引っ込む予定だ。


原点にして理想の店


やっぱりバーってのはこうじゃないといかん・・・ってのは俺の拘りか?


その為にも、次の休みはレベリングに充てて、こっそり準備を進めよう・・・




そんなわけで定休日にカズキ達とレベリングに向かう


今回も三組だ


カズキが率いるのは俺、フィリアン、そしてミッフィー


マサノリが引率する、アラシャ、エミリア、そしてミネルバ


イッセーが引率する ハンティ、パルゥ、サキ、


何故ミネルバが参加かって言うと、彼女は元Bランク冒険者で精霊魔法の使い手だった。


カズキが面白がってレベリングに参加させることにしたのだ。他の三人には内緒で・・・


そんなわけでこのメンバーで早朝からレベリングだ!



いや~、俺が引率でレベリングでもいいんだがなぁって思ってたんだが、


「ハルは俺達勇者パーティーのバックアタッカーなんだから強くなっとけ」


って言われたんだが・・・勇者パーティのアタッカーなんてやった覚えは無いぞ・・・


と言いつつも新しい弓の試射が楽しくて仕方がない


ただ防御力の高い敵だと矢の方が砕けてる


「ハル、その矢は普通の?」


「店売りで一番安い木の矢だよ」


唖然とした表情のカズキ


「鉄の矢とか使った事は?」


「無いよ、そんなの銭投げと一緒じゃん」


納得するカズキが居たんだが、自分の使ってた矢筒を俺のと交換する


「あの弓と木の矢でワイバーンの頭吹き飛ばしたのは驚愕ものだが、次からこっちを使ってくれ」


今度はなんだ?ミスリルか?オリハルコンか?アダマンタイトか?


「鋼、ミスリル、オリハルコン、アダマンタイトそれぞれの鏃の物が数万本入れてある」

「木の矢は?」

「いれとらんわ!少なくなったら補充するから言ってくれ」


なんて話をしつつG36Cで稼いでいく


ミッフィーにも93Rを持たせてミッフィーの命中に合わせて狩っていく


効率は落ちるが、狩ってる敵の強さが別格なんでガンガンレベルが上がっていく・・・


俺じゃなくてミッフィーのレベルね、俺の方は最近ゆっくりになってきてる・・・


「ハルが本気で攻撃してくれんならもっと強いとこ行くけど?」


新装備に気を良くした俺は「行ってみよか」なんて軽い気持ちで言ったのだが、


そのセリフを後悔したのは2時間後の事である


折角レベルが上がってSP獲得したのにこうも敵が強いと戦闘スキルにも振らざるをえなくなる


速射スキルと射撃スキル、そして狙撃だ


「くっそぉ!もう1レベルアマゾン上げたかったのに!」


そんな悪態をつきながら矢を放っていく


鏃が鋼になっただけで攻撃力が全然別物だ


カズキの追撃前にはほとんど瀕死になっている


「ハル様・・・凄い・・・」


ミッフィーがめっちゃ驚いてる


その時ミッフィーの脇を通って矢が抜けて後ろの魔物に突き刺さる


「戦闘中によそ見をしない!ここは上級冒険者でも死人が出る場所だぞ!」


ってカズキから叱責が飛ぶ


「す・・・すいません!」


再び銃を構えて再開するミッフィー


カズキの提案でフィリアンもアタッカーとして戦ってみる事になった


元々はカズキの矢をフィリアンにも分けるとドラゴンブレイカーミニを装備する


取り回しの感覚が少し変わるくらいで矢は共有できるみたいだな


フィリアンは見える魔物に試射してみる


矢は狙い通りに魔物の眉間を貫く!


「素晴らしい弓ですね!」


フィリアンの腕もね・・・


フィリアンは電動ガンのレベリングで射撃、速射、狙撃の飛び道具三点セットを獲得済みで


SP振ってないのにレベルが少し上がっている


うん、普通に強いね・・・武器も含めて


フィリアンとカバーしあいながらミッフィーの撃った敵を潰していく


カズキは完全にフォローに回ってる感じだ


討ち漏らしの処理と被弾防止をしてくれてる



やべ、無双って楽しいじゃん


無双系のゲームが流行るのも理解できるわ!


勿論、レベリングに合わせた狩場だから少々強いと言っても大したことは無い・・・


俺が忙しく弓を撃つだけだ・・・カズキ任せならフルオートでBB弾撒いてればレベルが上がったんだがなぁ


そんな事を思いながら敵を始末していく。


程々倒した所でカズキに合図を送り休憩にする為セーフポイントに移動


おまちかねのお弁当タイムだ。


「今日のお昼はこちら!天然素材の海苔弁当!」

「ワォ!美味しそうねハルハル!」

「ん?またこのノリで行くのか?」

「いや・・・言ってみただけだが」

「ハル様残念です・・・」


フィリアン!やりたかったのか!?


そんな感じで雑談しながらの昼食


ホントに海苔弁でしたよ、ちくわの天ぷら、白身魚のフライ、キンピラもつけました


カズキが懐かしさに悶絶してましたが・・・


俺達が戦えることを知ったカズキが、今度は釣り役になって魔物を掻き集めて来る事になった。


これが地獄の始まりだったわけなんだが、今は思い出したくない。



疲れ切った俺達はフラフラになりながら帰宅する。


みんなも丁度戻ってきたから報告を聞こう


アラシャとエミリアはSPを歌唱と楽器に注ぎ込んだらしい、そこはパルゥとサキも同様だ


ミネルバはマサノリのアドバイスで精霊魔法を伸ばして行く事にするらしい


バイト組のスキルは俺の管轄外だ、好きにすればいい


ハンティは歌唱と料理にスキルを振ったって言ってるミスルトウの厨房に立ちたいらしい。


フィリアンは飛び道具三点セットのレベルを少し上げ酒知識のスキルを新たに覚えた


これで俺が店に居なくてもある程度は回りそうだ。


ここで俺はフィリアンにメルクの日水曜日は俺が休みでその間の店長代理を任せる事を宣言する。


メルクの日の厨房はハンティにも入ってもらう事にする。



休む理由は今の所内緒だ。

まず、向こうの店内の復帰からだな・・・




そこから数日の間はバイト組がいい感じに戦力になってくれて身体的には楽になった。


フィリアンにカクテルや酒を任せられる。


簡単なつまみはハンティがササっと作ってる


演奏部隊に人員が回せるようになったので、連日大盛況だ!


そんな中、俺は閉店後、旧店舗に通いながら立ち上げの準備をする。


『ハイドアウェイ』の地味な看板をアマゾンで注文


店内のテーブルやグラスとかも購入履歴から同じ物を揃えていく


棚に酒を並べ終わり営業できる所まで持って来るのに数日を要した


ミスルトウ閉店後、こっそり一人で出かけるのをフィリアンもハンティも気付いていたが何にも言わない


その気遣いが嬉しいんだよ、フィリアン・・・


そしてほぼ移転前の状況に戻した店のカウンターの中


魔石で明かりをつけると一杯のカクテルを作り出す


ゴードンのドライジン  40ml

ストリチナヤ(ウォッカ)10ml

キナ・リネ  10ml


シェイカーを振る 結構念入りにシェイクしていく。


シャンパングラスに注ぎレモンの皮を大きめにただ極限まで薄く切り出しグラスの中に


ボンドマティーニ(ボンドマテニーやヴェスパー・マティーニともいわれる)である。


ジンの代わりにウォッカを使いドライベルモットと合わせたマティーニも登場してるが、どちらもボンドマティーニって言われてる


俺はキナ・リネを使った奴をボンドマテニーって言ってるが、そこはなんとなく趣味と感覚で(笑)


ちなみにこのカクテルは007ことジェームスボンドが『カジノ・ロワイヤル』で注文したカクテルだ。


俺は嬉しい事があったりするとこのカクテルを自分に作ったりする。


キナ・リネは製造中止になってて今じゃなかなか手に入らないが、


ここなアマゾン様様である!売ってたんですよぉ!他にもマジ物のアブサンとか マイヤーズ ラムクリーム


なんかが普通に手に入る!バーテンダーにとっては夢の環境だ。


まぁ、話が逸れたが、レベリングのおかげで、うちの子達はみんなあの店さえあれば食うに困らないだろう。


音楽を趣味に楽しくやっていけるだろ!


ある意味、今日が彼女達の巣立ちの日になるんだろう。


そう思いながらゆっくりとボンドマテニーを飲む俺だった。







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