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24 魔導士と猫

本日もお時間を頂きまことにありがとうございます。

別ペンネームで出している同筆者作品が短編日刊ランキング37位に入ってました。

軽く宣伝でした・・・気が向いたら読んでやってください

今回もよろしくお願いいたします。


真っ黒なローブ、同じ色のとんがり帽子、アクセントは首に巻いた赤いスカーフか・・・


ゴテゴテした指輪をいくつもはめ、その手に持つのは古木の杖・・・


目を閉じ、ロッキングチェアに身を委ねる・・・


膝の上には黒猫があくびをする・・・


「あぁ・・・これぞ魔導士・・・」


自分に酔っている・・・


空中に光る文字を書き呪文を唱える・・・


テーブルの上にあるカップが手元に来る・・・


「フフフッ魔法って万能・・・それを操る私は神にも等しい・・・」


思案する・・・永遠の若さを得るための秘薬、エリクサー・・・


肉体を一番優れた状態まで完全に回復するといわれる伝説の薬・・・


それを作るための素材・・・


ソーマと呼ばれる神の酒それと妖精の秘酒・・・エンシェントドラゴンの心臓・・・エルダートレントの実


足りないものが多い・・・


古い書物からの研究で最低限これが使われたことだけはわかってる。


他の素材も貴重な物であるが・・・


さぁ・・・どこから手を付けようか・・・


思案に暮れる・・・


私が永遠に生きるため、永遠の若さを維持するため、それが世の為人の為・・・そしていつかは・・・


「フフフフ・・・」


妄想にふける・・・



膝の上の猫が呆れたように一鳴きした・・・




所変わって


俺、ハルヒト古い書物を読んでいる・・・ように見える・・・


「読めん・・・古代文字など知らん・・・」


鑑定スキルでも文字は読めないのだ・・・


古代の酒について書かれた本っていうのを行商人のウォルトが持ってきた・・・


即金で買ったさ・・・買ったのはいいがさっぱり読めん・・・


まだ見ぬ美酒に意識を持っていかれそうになる・・・


難しい書物を前にウンウンうなってる姿はフィリアンには理知的に見えた・・・


まったく全然さっぱりほとんど読めていないのだが・・・淡い恋心を抱くフィリアンの目は思いっきりフィルターが掛かっていることだろう



諦めた俺は立ち上がり



「仕方ない、フィリアン!次の休みもレベリング行くぞ」


待ってましたとばかりに頷くフィリアン、そんなに嬉しいんですか?休日が潰れるんですよ?給料出ませんよ?



見事なブラック企業ぶりである。


自分は趣味だからいい・・・奴隷に対して主人が行くと言ったら行くしかないのだ・・・


まぁ、カクテルの勉強をし始めたフィリアンにとっても願ったり叶ったり


元々奴隷に休日なんて無い物と考えてた、月に一度休めればいいと・・・


この世界のブラック思考に飲まれてるなぁ・・・



「ずるいです、わたしもつれてってほしいです」


ハンティ・・・君まで・・・ずるいって・・・


「フィリアンさんばっかり・・・えこひいきです!かいぜんをようきゅうします!」


難しい言葉がつかえるようになったね・・・うんうん


「行きたいなら来ればいいけど、休日なんだから休んでいいんだよ」


一応、自分はブラック企業じゃないという自己弁明・・・


まぁ、俺一人で行ってもいいんだが、自分より低レベルのメンバーが居ると経験値効率がいいのだ


それでバーテンダースキル上げたいっていうフィリアンに声をかけたんだが、まさか『えこひいき』って言われるとは・・・


幼児虐待にならんか?この世界はそんな法律ないのか?







そんなわけで休日になる・・・


街の方で準備を済ませる為に移動する・・・


今日は人が多いな・・・


一般人8割に対して冒険者がちらほら混じる・・・そんな感じだ


「今日ってなんかイベントあったかな?」


フィリアンに尋ねるもわからないという返答


「まぁ、後で聞くか・・・」


向かう途中で飲み物を買い、軽食を弁当代わりにケバブもどきをいくつか買って行く


そう呟いていつものダンジョンに飲みながら向かう・・・



地下5層まで難なく進む・・・


他の冒険者達も散々歩いてる道だ、トラップなんかもこの辺りの物はほとんど撤去されている・・・


まれに魔物が作った簡単なトラップがあったりもするが、ダンジョン特有のデストラップはもっと下の階層に行かないとお目にかかれないだろう・・・



「今日はこの辺りの湧きポイントを周回しようか」


フィリアンが使うのは今回もマ〇イの電動 M93R ハンティには取り回しのいい H&K USP 同じくマ〇イの電動だ


予備マガジンも持たせておく、使い方は説明済みだ。


ガス系はガス切れが怖いし、エアー系は一発ごとに引っ張ったりしなきゃだから非効率


忘れちゃいけない、ここはダンジョンなのだ・・・



少しは射撃スキルや速射スキル、狙撃スキルにもSPを振るように指示を出す。


これが上がってくれれば弓や魔法銃で自力レベリングができるようになる・・・


・・・ん?この子ら一人でダンジョン来るか?・・・来ないだろうな・・・


まぁ、命中率が上がるのは悪くないだろう・・・


そんな感じで地味なレベリングをしこたまやっていく・・・



ハンティもいるし、ちょくちょく休憩を入れながら狩っていく


「どう?」


フィリアンに尋ねると自信を持った表情で頷く


ケバブもどきを食べてる時にハンティが


「このあじがハルさまとのであいのあじです」・・・と嬉しそうに言う


大丈夫。俺も覚えてるから・・・




ちなみに、ハンティに至っては魔物狩りとエアガンで遊ぶサバゲーの感覚が一緒になってて、もはや遊びの延長だ・・・


とりあえず、フィリアンが納得したところで帰還を開始する・・・


俺が取るのは古代言語スキル一択だ・・・あんまりレベルも上がってない俺だったが、多少は読めるようになっててほしい・・・


最悪・・・勇者達に頼んで無茶修行・・・無茶修行・・・無茶修行・・・怖いよぉ~~~~



とまぁ駄目だった時の事を考えつつ帰路についた・・・


街中で妙な魔力に気づく・・・妖気?殺気は無い・・・害意も無い・・・


どこだ?・・・


周囲を見渡す・・・


・・・


・・・


・・・!・・・猫?


従魔の首輪をしてる所を見るに使い魔?


主人は?


・・・見るからに魔法使い・・・ベタ過ぎじゃね?


一瞬目が合う・・・こいつ・・・ヤバい奴だ・・・厄介事の匂いしかしねぇ・・・


さっさと目を逸らして歩き始めた・・・


魔法使いの方は座ったまま動かない・・・気配でなんとなくわかる・・・


ついてきてるのは猫の方だ・・・撒くか・・・


さっと路地に入りアマゾンでマタタビを購入し周囲に散らす。


回り道になったがそのまま店に帰っていった・・・



あの猫・・・ずっとこっちを見ていた・・・気色悪い・・・


嫌な予感しかしない猫の事を考えてるうちに俺は眠っていた・・・



翌日・・・開店からフィリアンは元気にシェイカーを振っている。


卵の白身と氷を入れてのシェイクの練習だ。


氷を解かさないように混ぜる練習。


俺もバイト時代散々やったなぁ・・・その時の練習法を教えておく。


スキルが上がってて問題無いようにも見えるが、俺も通った道だ、満足いくまでやっておけばいいと思う。


この時は猫の事なんて頭に無かった・・・



んで店が暇な時間、例の古い書物を読みだす・・・かろうじて読める・・・ところどころわからない部分もあるからレベルが足りない感じだな、


神酒の存在とそれに至れなかった失敗作の話・・・


それにまつわる争いの話・・・失敗作を作った酒神の従属神が邪神に身を落とした話・・・


至れなかった酒が別の酒、現在の酒の基礎となった話


そしてこの世界で完成品を作り出すことができないという理論


足りない素材、失われた素材、そもそもこの世界に存在しない素材


邪神が伝えたという神酒の製法・・・


作り方だけ伝えて素材がこの世に無いとかどんないぢめだよ・・・


ただ、完成品を邪神が持ち逃げしたという事まで記載されてる・・・


物語とか伝説レベルの突拍子もない話だが・・・


読める所はこんなもんだ、読めなかった部分に大事な記載があるのかもしれない・・・が・・・


「神酒・・・ソーマか・・・飲んでみたいな・・・」


ボソッと呟く俺


ソーマの存在を認識した俺が邪神騒動に巻き込まれた瞬間はこの時だった・・・と後の自分は語る・・・




「まぁ、つまりこの世界には邪神とやらが持ってきた完成品しかなくて、作成も不可能・・・っと」



ダメダメ過ぎて話にならん・・・


その時はこれ以上の追及をやめた俺だった・・・





夕方、一人のお客様のご来店である・・・


「いらっしゃいませ、お好きな席にどうぞ・・・」


猫と一緒に入ってきた女魔法使い・・・この世界にはペット同伴お断り・・・なんてのは基本的に無い・・・


超大型とかは別の話だが・・・


猫を膝に乗せ魔法使いの注文を聞く・・・


「ソーマを」


耳を疑った・・・こいつアフォじゃね?


「申し訳ございません、残念ながら当店では取り扱っておりませんが・・・」


「隠すつもり?貴方が持ってると占いで出てるわ!」


オカルトかよ・・・だが本当に持ってないぞ・・・


「私も神酒には興味があるのですが、残念な事に入手出来ておりませんね・・・」


正直に言う・・・


「そう・・・外れたかしら・・・」


「ご注文されてお出しできないのは残念ですが、他のご注文はいかがですか?」


一応聞いておく・・・俺の心のセンサーはレッドシグナル点灯中だ・・・こいつは危険だ・・・


「何も注文しないのはさすがに悪いわね、白ワインをグラスでいいわ」


「かしこまりました」


言葉少なくカウンターに戻る




白か・・・黒猫を連れてるからアレでいいか・・・


お手頃ワインの定番ツェラー・シュバルツ・カッツである


飲みやすさと価格で女性にも人気のワインだ。



グラスとワインボトルを持ち目の前で注ぐ・・・


「お待たせいたしました」


「ニャァ・・・」


猫が一声鳴く



なんだかなぁ・・・


あのテーブルの一角だけ異様な雰囲気になってるが、俺の方は涼しい顔でグラス磨きをする・・・



「ここに欲しい素材があるって占いで出てるのに・・・」


ん~、聞かなかったことにしよう・・・いわゆる中二病のアレだな・・・と判断し流す事にする。



結局、その一杯だけを飲んで帰っていった・・・



なんだったんだろ・・・なんの素材だ?ソーマが素材って何を作る気だ?



そして、あのセリフ・・・ここに素材がある?


まさかフェアリーズネクター?ソーマだけに気を取られてそっちを忘れてる?


いかんいかん、頭を横に振り首を突っ込みたくなる自分を抑える・・・




ーーー所変わって魔女の部屋ーーー



「おかしいわね、こんなにはっきり出てるのに・・・」


不機嫌そうに呟く・・・


「ニャウン?にゃにゃにー」


猫が答える


「え?そうか!そっちだったの?」


あの店からフェアリーの匂いがしたらしい・・・


占いの結果・・・


そこから導き出される答え


「あの店に妖精の秘酒があるの?」


ソーマもフェアリーズネクターもどっちも希少な酒・・・


ソーマの方が遥かに入手しづらいのだが、他の人にとってはどっちも入手できそうにない酒って事で同じような感覚だった・・・


「もう一度行くしかないわね・・・」


「にゃうん・・・」


少し呆れている猫だった・・・



「手に入れられれば野望に一歩近づくのに・・・」


ドラゴンの心臓はどうする討伐できるのか?、エルダートレントが実をつけるのは100年に一度だ次がいつになるかなんて誰にもわからんぞ・・・



計画自体穴だらけの彼女だった・・・



猫はわかっていたけど言えなかった・・・猫だけに・・・


そうしてエリクサーの事を妄想しながら眠るのだった・・・

次話

粘着する魔導士


次もよろしくお願いします。

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