実験とか考察とか
りとさんの行動の謎を解く。
りとさんが、深夜起こしにくる。
我が家の寝室は二階だ。わたしと夫、娘と二部屋に分かれて休んでいる。
りとさんは、自由にあちこちで寝ている。夜の間中、一階と二階を気ままに行き来し、ちょっとご飯をポリポリ食べたりして朝を迎える。
初秋のころは、わたしの布団で一緒に寝ていたりしたが、寒さが本格的になると蓄熱式暖房機のカバーの上で寝たり、電源を切ったコタツの中で寝ていたりした。
が、ここのとろこ三時前後くらい寝室へやってきて、控えめに鳴いたり、鏡台の鏡のところをシャッカシャッカ前足で掻いたりと、落ち着かない。起こされて階下へ行くと、たいていはご飯が空っぽなので、ドライフードをちょこっと上げると、それで満足して静かに朝まですごしていたのだけれども。
ここからが問題。
ごはんをあげたあと、わたしが二階へ戻るとまた呼びに来るのだ。
そのため、再び布団からフラフラと起きると、階段を転げ落ちないようにと階下へ行く。それで、わたしはそのままコタツをONにして、そこで休むということをしていた。
気づけば、そういう生活が二か月・三か月。
さすがに見かねた旦那が言った。「コタツで寝るのは健康によくない」と。うん、そりゃそうだ。なんたって、岩手県は女性の脳卒中死亡数が日本一なのだ。
それで、リビングの隣の和室に布団を敷いて、猫に起こされたらそこで寝ることにした。
そして、ここからがさらに問題。
「はたして猫の目的は何か」
普段のルーティン→猫に起こされる→わたしが起きてご飯をあげる→そのまま階下で休む
これを、
猫に起こされる→夫が起きてご飯をあげる→そのまま階下で休む……?
そんなふうにしたら、どうなんだろう。
それで、試してみた。
猫に起こされて、夫がご飯をあげて階下で休もうとしたら、いつまでも落ち着かなかったのだ。
結局、わたしが下の布団へ行って寝たら、静かになった。
そうなると、キーポイントは、やはり「わたし」なのだろうか。
そんなふうに考察していた昨夜、二階の寝室へ行ったら夫がスマホで音楽をかけたままで眠っていた。
わたしは眠りが浅く、真っ暗じゃないと寝付けない、静かじゃないとダメという性質なので、階下で寝ることにした。
朝までぐっすりだった。
猫は、起こしにこなかった。猫もまた、朝まで自分のお気に入りの籠の中で就寝だったのだ。
……最初から、和室の布団で寝ればいいんじゃね?
ここにきて、モテキなわたしであった。と
たんに、第一の下僕なだけではあると思う。




